miwasan0216’s blog

愛する子供たちのために、理不尽さと闘う父。誰もが幸福な世の中になるために。

「親子交流の頻度」と「自己肯定感の涵養」は比例する!

 77年ぶりの家族法改正に向けて、国会で議論が続いている。

 「子の最善の利益」というワードは漠然としているが、「子の自己肯定感を育む」ことが子の最善の利益に直結することは誰も異論ないだろう。そこで、親子交流と自己肯定感に関する統計調査の実施を、公明党の日下正喜衆議院議員にお願いしたところ、今国会で3回に渡って取り上げてくれているので紹介したい。

 

 法務大臣の答弁で触れているが、心理学研究の中では、「別居親と親子交流をしていた子の方が、自己肯定感が高い」ことは実証済みである。したがって、結論は決まっているのだが、法務省が調査研究することで、その結果を立法事実として、“共同養育を原則とする社会”へ、法改正を進めていくことができる。

 

 4月3日の参考人質疑で明らかになったように、共同親権導入(骨抜き論は置いてといて)に賛成派も反対派も、統計調査の実施には賛成意見を表明したので、法務省は速やかに実施すべきである。

 

 現在、開催されている通常国会では間に合わないが、今後、法務省による調査研究が実施・公表されたら、親子断絶は間違いなく無くなる。そして、同居親の気分で親子交流の実施可否が判断されることはなくなるだろう。DVや虐待がないにも関わらず、「間接交流」という数か月に一度写真だけが送られてくるという、別居親にとって屈辱的なこともなくなるだろう。

 

<1、2024年3月14日開催 衆議院本会議>

 

〇日下正喜 衆議院議員公明党

 私は公明党を代表して、共同親権の導入を柱とする民法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。父母の離婚が子の養育に与える影響は深刻なものであり、毎年十数万人のもの子が父母の離婚に直面している 現状を考えると、父母の離婚後の子の養育に関する法制度の見直しや各種の支援策の拡充は極めて重要な政策課題であります。

 今回の改正案の最大のテーマは、父母の離婚に際して子の利益をいかに守るか、確保するかということです。江戸時代の名奉行と言われた大岡越前守の大岡裁き(子争い)という話があります。2人の女性が1人の子どもを巡り、「自分の子だ」と言い張って裁判となった話です。どちらも主張を譲らず、子どもの腕を両方から引っ張ることになり、片方は子どもが泣き叫ぶ姿を見て、思わず手を離してしまいます。勝った女は喜んで子を連れて帰ろうとしました が、越前守は「実の母親なら、子どもが痛がっていれば手を離すものだ」と手を離した方に子どもを引き渡したという話です。

 

 私はこの中に子の利益、子ども真ん中の視点があるように 思います。双方の主張のみならず、子の姿、子に接する親の姿を通して、子の最善の利益を考えていくことの大切さを教えてくれているものと感じます。

 

 では、子にとっての最善の利益とは何か。様々な要素はあろうかと思いますが、離婚に際して、私は何よりも子が 自分を産んでくれた両親から愛情を注がれていると感じること、自分の前で両親が争わないこと、結果的に離婚に至ったとしても、そのような環境で育つ子は幸せであると 思います。自己肯定感の涵養にもつながると考えます。77年ぶりの家族法制の見直しは、子を持つ父母のあり方を考える上でも、大きな転換をもたらすものになると考えますが、まず本法案の柱になっている子にとっての最善の利益とは何なのか、小泉法務大臣、そして、子ども家庭庁を所管する 加藤内閣府匿名担当大臣のご所見を伺います。

 

〇小泉法務大臣

 子にとっての最善の利益の意義についてお尋ねがありました。何が子どもにとっての利益であるかは、それぞれえその子が置かれた状況によっても異なると考えられるため、一概にお答えすることは困難ですが、その子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され 、そして新身の健全な発達が図られることが、子の利益であると考えております。


〇加藤こども政策担当大臣

 民法等改正法案における子にとっての最善の利益についてお尋ねがありました。法務大臣からの答弁でもありました通り、何が子にとって最善の利益であるかを一概にお答えするのは困難ですが、子の人格が尊重され、子の年齢及び発達の程度に配慮され、養育され、心身の健全な発達が図られることが、子の利益であると私も考えます。こども基本法におきましては、子ども施策の基本理念として、全ての子どもについて、その最善の利益が優先して考慮されることが掲げられており、こども家庭庁としては、こうした理念に乗っ取り、こども施策を推進してまいります。

 

 

<2、2024年4月3日開催   衆議院法務委員会>

 

〇日下正喜 衆議院議員公明党

 子どもの、今回、子の利益っていう事なんですが。幸福度の大切な指標というですかね、自己肯定、それと親子交流の意義についてお聞きしたいと思います。

 

 私は、子にとっては、父と母は自分をこの世に生み出した直接のルーツであり、自身のアイデンティティの形成にも深く関わっていると思います。本来、子供は父・母との交流、触れ合いを求めるものだと思いますし、離婚後も子どもは出来るなら、両親からの愛情を感じながら成長してもらいたい、と考えております。この幸福感というか、自己肯定感っていうのは、「自分が必要とされているのか?」「居てもいいのか?」なっていうふうな事ですね。あと、「役に立つ存在なのか?」「自分に満足しているか?」っていうような事なんですけれども。

 

 DV虐待を考えると、様々な状況や意見の違いもあると思いますが、適切な親子交流は、子どもの自己肯定感の形成にどのように影響するものか?それぞれが私見で論じるよりも、統計的に調査する事も必要ではないのか、というふうにも感じております。これについて北村参考人、そして原田参考人のご意見を伺いたいと思います。

 

参考人北村晴男 弁護士)

 仰る通りだと思います。我々も、検討の中で諸外国の統計資料の調査結果を確認しました。今、手元にありませんけど、後で送ることは可能です。それによりますと、月に1回しか会えない別居親、と。月に1回しか会えないお子さん、と。月に4回、或いは月に半月近く継続して会えるお子さんと比較すると、自己肯定感が継続的に会えるお子さんの方が、遥かに高いと言う調査結果が出ております。これは後で、お送りさせて頂きますという意味で、大変重要だと思います。

 

参考人(原田直子 弁護士)

私自身も、お父さんやお母さんから、愛されるという事が実感できるという事は、とても大事なことだと思っています。(以降、省略)

 

〇日下正喜 衆議院議員公明党

 私、質問したのはですね、「自己肯定感」と「共同親権」の話じゃなくてですね。「自己肯定感」と「親子交流」、触れ合いっていうかですね、父親から声を掛けてもらう、母親から、別居の母親から声を掛けてもらう。また、子どもからも、いろんな事を親に伝えられる。どのような交流がですね、果たして自己肯定感の醸成にどうつながっていくのか。また、そういった事は、個々に論じるんじゃなくて、一度やっぱり統計をですね、取るという事も必要ではないのか、と言うふうな事での質問をさせて頂きました。改めて、何かありますか。

 

参考人(原田直子 弁護士)

はい。統計を取る事は必要だと思いますし、私も、そうして頂きたいと思います。

 

 

<3、2024年4月5日開催  衆議院法務委員会>

 

〇日下正喜 衆議院議員公明党

 私は本会議で、子の最善の利益について、父母からの愛情を注がれていると、子どもがですね、感じる事、それは子ども自身の自己肯定感の涵養にも繋がるのではないかと申し上げましたが、実際にはどうなのか。日常的に、親子交流が出来ている子と、片親と会えない子で、自己肯定感の形成に、ですね、違いがあるのかないのかですね、これ様々なご意見あろうかと思いますが。統計的な調査があれば、お示し頂きたいのですが。なければ、ですね、これは子の利益、親子交流のあり方を考える上でも大切な指標になる、と思いますので、是非、調査研究の中に加え、実施して頂きたい、というふうに思います。

 

 先日、参考人質疑でもですね。その旨、原田参考人、また北村参考人も、ですね。是非、それは進めて欲しいという風なご意見でございましたので。これについて、大臣のご所見をお伺いします。


小泉龍司 法務大臣

 親の別居、離婚を経験した子どもを対象とした、心理学分野の複数の研究結果がございます。それによりますと、DV等がある事案を除いて、親子交流が、継続して行われている分の方が、親子交流が行われた事がない、または親子交流が中断した分と比べ、自己肯定感が高く、親子関係も良好である事が指摘されています。

 

 今後、ご指摘のような調査を行うかどうかについては、本・法案の施行状況と共に、注視しつつ、適切に対応したいと思います。

 

 

小泉法務大臣の答弁の根拠になった(と思われる)心理学分野の複数の研究結果を紹介する。

<1、青木聡教授・臨床心理士大正大学人間学部臨床心理学科)の見解>

 

※論文「面会交流の有無と自己肯定感/親和不全の関連について」

① 共同養育の法制化に弾みをつけた非常に有名なウォーラースタインらの縦断的研究(親の離婚を経験した子どもたちを25年以上にわたって追跡した調査)によると、離婚後の生活によく適応し、心理状態がもっとも良好であったのは、別居親と定期的に面会交流を持ち続けた子どもたちであった。逆に、面会交流を実施しなかった場合、子どもは「自己肯定感の低下」、「基本的信頼感の低下(対人関係の問題)」、「社会的不適応」、「抑うつ」、「ドラッグ/アルコール依存症」、「離婚や片親疎外の世代間連鎖」等で苦しむことが報告されている。

 

②バウズマンは、離婚後の共同養育と単独養育の比較研究について詳細なメタ分析を行い、「全般的な適応」、「情緒面の適応」、「行動面の適応」、「対人関係」、「家族関係」、「自己肯定感」、「学業成績」、「離婚に対する認識」といった複数の側面において、共同養育の方が単独養育よりも子どもの適応度が高いことを明らかにしている。

 

③別居親と面会交流をしていない子どもは、「自己肯定感」が低くなり、「親和不全」が高くなることがあきらかになった。一方、たとえ親の離婚を経験した子どもであっても、別居親と面会交流を続けている場合、両親のそろっている家族の子どもと比較して「自己肯定感」および「親和不全」の得点に差が出ないことも明らかになった。この結果は、離婚後ないし別居中の子育てにおける面会交流の重要性を明白に示している。今回、家族観や離婚観、子育てに関する文化の違いを越えて、欧米諸国の先行研究とまったく同様の結果が得られたことは、非常に重要な意味を持っている。前述のように、欧米諸国ではこうした実証的研究を地道に積み重ね、実証的根拠に基づいて共同養育の法制化に針路を定めた。日本でも同様の調査結果が得られた以上、国際的な常識に倣って子どもの福祉を中心に据え、離婚後の共同養育の法制化を早急に実現すべきではないだろうか。

 

 

<2、小田切紀子教授・公認心理士(東京国際大学)の見解>

 

※論文「親の離婚を経験する子どもの発達に大切なこと 共同養育と子どもの意思の尊重」

子どもは、共同養育により両方の親と定期的に交流し愛情と養育を受けることができ、自尊心やアイデンティティの確立に好ましい影響を受けることが明らかになっています。子どもは親から愛されることで自分を受け入れ、人を愛することができるようになります。また、子どもは、別居親と交流ができることで、別居親が自分と会おうとしない理由は何だろうか、自分は望まれない子どもだったのだろうかなどと心配しないで済みます。さらに、両親は相手への敵意や憎しみの感情をわきに置いて、協力して子育てをするという人間関係の築き方のモデルを子どもに示すことができます。子どもは、両親の相手への態度を見て、将来恋人ができたときの異性への接し方を学び、職場に大嫌いな上司や同僚がいても、その気持ちを抑えて、仕事上の付き合いができるようになるのです。

 

※「離婚と面会交流」の序章「子ども中心の面会交流に向けて」

親が離婚した子どもの75~80%が精神的健康や自己肯定感、学業成績などの問題を抱えておらず、親の離婚による長期的影響は受けていないという報告もあり、両親がともに子どもに育に関わり続け、子どもに愛情を注ぎ、温かさと権威をもったしつけをすれば、子どもの離婚による影響を最小限に抑えることができることも明らかになっている。

 

※「離婚と面会交流」の第Ⅰ部第3章「離婚と子どもの研究と必要な支援」

離婚後も子どもが両方の親と日常的な交流を持つことで,離婚による子どもの心身への影響を和らげることが国内外の研究で分かっている。(中略)調停や審判で決まる日本の面会交流の多くは月1,2回。一方,私が専門に研究している米国では,子どもが日常的に別居親と会っている。例えば3歳児は記憶の容量が小さいので,月に1度ではすぐ忘れる。発達段階に応じて,別居親も対等な立場で子育てに関わるべきだ。共同親権の導入によって,離婚後も2人で子育てする「共同養育」がスタンダードなことだと社会の意識を変えていける。