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【第177回国会】衆議院法務委員会 第9号 平成23年4月26日

衆議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:馳浩 衆議院議員自民党、前共同養育議員連盟会長、現石川県知事)

     城内実 衆議院議員(無所属)

     江田五月 法務大臣

     豊澤佳弘 最高裁判所長官代理者

 

○馳委員 続いて、共同親権、共同監護権の問題について質問をさせていただきます。
 このテーマで質問をする私の意図は、離婚をしても親としての機能は共同で果たすべきであるという、この大原則にのっとっての私の質問の趣旨であります。
 まず最初に、今回の改正で子の最善の利益を軸に改正が行われましたが、このような流れの中で、さらなる進化形が共同親権、共同監護の導入だと私は考えており、伺います。
 先進主要国で共同親権、共同監護権を導入している国はどこですか。選択導入も含めて教えてください。

 

○江田国務大臣 私も直接にそれぞれの主要先進国の法制に自分で当たったわけではございませんが、私が知っている限りで言えば、ドイツにおいても、フランスにおいても、あるいはアメリにおいても、選択肢ということも含めて、いずれも離婚後の共同親権制度を採用していると承知をしております。

共同親権・共同監護は、「さらなる進化形」。いいですね。

 

○馳委員 我が国では、共同親権、共同監護権について法制審議会等で検討されたことはありますか。もしされていないのなら、これだけ学界やマスコミ等で議論をされているのに、なぜされていないのでしょうか。

 

○江田国務大臣 これも直接存じ上げているほど知識が博学ではありませんが、法制審議会民法部会の身分法小委員会というのが昭和三十年七月にまとめた親族法の仮決定及び留保事項中において、離婚後も共同親権とするか、なお検討を要するというようにされたと承知をしております。
 さらに、法制審議会民法部会身分法小委員会が平成三年から婚姻及び離婚制度全般について見直しを審議して、平成六年七月にまとめた要綱試案では、これも共同親権の制度については今後の検討課題とするとされたということで、検討はされたがいずれも今後の課題とされているということでございまして、検討していないわけではないです。

共同親権の導入は、これまでも検討はされてきたが、今後の課題として先送りされた。

 

○馳委員 では、伺います。
 どうして単独親権でなければいけないんですか。


○江田国務大臣 これは、私なんかが民法を勉強したころには、共同親権ということになりますと、子供の監護、教育方針がどちらか統一されない、子供の価値観の分裂とかそういうものにつながって、やはり子供がすくすく育つには、監護、教育方針というのはどちらか一方で専ら行われた方がいい、そういう考え方であって、さらにまた、離婚に至った夫婦のトラブルがそのまま離婚後も持ち越すことになってしまうとか、あるいは共同親権だとどうしても適切な合意がなかなか難しいとか、いろいろそういうようなことが言われたということだと理解をしております。
 そのいずれもが、今も妥当するかどうか、これは今日においてはなお議論を要する、そのとおり今も当てはまると単純に言える問題ではないと思っております。

⇒共同監護策定計画を立てたらいいのでは。

 

○馳委員 今回の改正で、離婚後も親子のきずなを絶つべきではない、親子の継続的交流が基本的には子の最善の利益に資すると価値判断されているのであるならば、当然、離婚後の共同親権、共同監護権も、選択的にでもできるようにすべきではないですか。いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣 面会交流が離婚の際の監護について必要な事項の具体例として条文に明示されて、しかも、この決定については「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」という理念を明記したのは、これは委員の御指摘の考え方を踏まえたものだと思っております。
 ただ、そのことと離婚後の共同親権、共同監護権といった制度とがそのままストレートに結びつくのかというと、必ずしもそうではないので、親権を持つ親が監護親になり、しかし、非監護親、つまり親権のない親も親子関係というのはあるから、子がすくすく育っていくためには、もちろん適切に行使されなきゃいけませんが、面会交流が非常に有益だという考え方で今のようなことを導入しているわけで、繰り返しですが、そういうことを導入するから直ちに共同親権の方がいいんだという結論には結びつかない。しかし、それがだめだという趣旨でもありません。

 

○馳委員 今回の改正で、民法の親権規定の体系からも、共同親権、共同監護が認められないのはおかしいのではないかと私は考えています。
 なぜなら、今回の民法第八百二十条の改正で、子の利益のために親権が行使されること、そして民法第八百十八条第三項で、子の利益のために、婚姻中の親権は共同行使、すなわち共同親権と定められていること。しかし、それが離婚すると、いきなり単独親権と決め打ちされてしまいます。子供の最善の利益といいながら、離婚したら、何が子供の利益になるかを考慮せず、単独親権を押しつけています。これでは法体系上も、単独親権を定める第八百十九条第一項自体が孤立をし、破綻していると言わざるを得ません。いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣 今日まで、離婚後は単独親権ということでやってまいりました。それはそれなりに、その当時の一応の理由はあってやってきたわけですが、単独親権を直ちに共同親権というのは、やはり一つハードルが高過ぎるのかなという感じはいたします。
 それよりもむしろ、単独親権ではあるけれども、非監護親も親子の関係は続いているという、これはもう厳然たる事実でございますし、非監護親と子との信頼、愛情、教育、そうしたものが監護親との協力のもとで上手に果たされていけば、これは子の利益、子の福祉に合致するのでありまして、単独親権といえども、そうした離婚後の親と子の関係が樹立されるならば、これは大変好ましいことだと思っております。

⇒協力しない監護親(同居親)が多くて、子の福祉に合致していない状況にある。

 

○馳委員 大臣、ちょっとこの話を聞いてくださいね。
 カナダで国際結婚をしていた女性が、カナダで離婚をして、共同親権ですね、諸般の事情があって子供を連れて日本に帰ってきまして、日本の家裁で審判の結果、最終的に単独親権となった。これはやはり、共同親権としてカナダで離婚をした一方の親にとっては、なかなか釈然といかない問題でありますよね。いわば、こういうことが起こり得ますし、実際に起こっているんですよ。
 したがって、国際結婚、国際離婚は一般的になってきましたよねというこの間からの大臣の発言は、実際、現場では、やはりそのとおりなんですよ。そうすると、大臣、今も高いハードルというふうにおっしゃいましたけれども、だから私も、選択制のある共同親権ということも視野に入れながら、いま一度、法制審議会に諮るときじゃないかなと思っているんです。
 今回、親権制度について、子の最善の利益、また、離婚後も継続的に親との交流が大切ですよねという理念をうたった改正をした以上は、離婚をした後の子供の利益を考えながら、まさしく親権の中でも一番重大な事案である共同養育、共同監護については、選択的に認めてもよい、つまり選択制と。このことはぜひこの段階で検討に入ってほしいと私は思っておりますし、今回、残念ながら、我々が要望してきた親権の一時・一部停止のうち、一部停止は入りませんでした、これも議論がございましたが。私は、この一部停止の問題についても、やはり事案によっては一部停止も必要ではないかとずっと思っております。
 このことも含めて、今回の民法改正で一区切りではありませんよ、さらに検討を深めましょうよ、こういうふうに御理解をいただきたいと思っております。大臣の御所見を伺います。

 

○江田国務大臣 今、カナダで結婚、離婚して、日本に帰って、カナダでは共同親権、日本では単独、そういう事例も恐らく現実にはあるのかと思いますが、私は余り国際私法というのは詳しくないんですが、婚姻と離婚の準拠法が、もしカナダならカナダ、日本なら日本、どちらかになるのではないかと思いますが、現実には、今委員がおっしゃったようなこともあるのかなと思います。
 そうした混乱も乗り越えていかなきゃいけない。共同親権を選択制にすること、親権の一部停止、そうしたことも、議論は、特に一部停止ということについては今回法制審議会でも検討されたということでもございますし、委員の今の問題提起というのは卓見だと思います。

⇒今は、選択制よりも原則共同親権がいいですね。

 

○馳委員 一事例ではありますが、参考にということで、もう一度お聞きください。
 カナダで結婚していた日本人同士が、カナダで離婚をした。カナダの法的根拠のもとで、共同親権。一方が、何かあったんですよね、日本に帰ってきて裁判を起こして、単独親権だと。カナダに残された日本人はたまらないですよね、これは。御理解いただけると思います。紛争がいまだに継続している事案もあります。
 これはやはり、国際結婚といっても、日本人同士が海外の法制度のもとで結婚した場合というふうな事案もあるそうであります。国によって、共同親権、選択制共同親権、あるいは共同監護ということを考えると、私は、今から申し上げるこの点が一つのポイントかなと思うのは、離婚するときには、ちゃんとお互いに話し合って、共同の養育計画、養育費の支払い、やはりこの計画書をちゃんとつくって、石井さん、よく聞いておいてくださいよ。離婚するときにつくっておいて、その上でないと離婚できませんよと。もちろん、計画をつくっていたものが、なかなか履行されないこともあるかもしれませんが、それだけの心構えを持ってやはり対応すべきではないのかな、私はそういうふうに思っているんですが、大臣の所見をまず伺いたいと思います。

 

○江田国務大臣 委員の御意見は大切な御意見だと思います、説得力も随分あると思いますが、別の見方もまたありまして、養育計画などをちゃんと決めないと離婚ができないということになりますと、離婚が随分おくれてしまって、その間に人間関係がもつれにもつれというような心配をする向きもあります。
 委員のお話のとおり、十分に話し合って、十分な理解のもとで、面会交流も、費用の分担も、そして養育計画についても、子の父親、母親で合意がきっちりできて、それが実行される、それなら二人は別れる必要はないのじゃないか、いや、そうではないので、夫婦でいることと親子の関係とはまた別ですから、夫婦としては、そろそろ、そろそろといいますか、終わりにしたい、しかし、親子の関係というのは、父親も母親もちゃんと持って育てていきたい、そういうことがちゃんと社会で一般的に行われるようになれば、それは、別れるのがすばらしいとは言いませんけれども、まあ一つのあり方だと思いますが、現実には今なかなかそこまでいっていないので。
 特に日本の場合は、まあ日本の場合といいますか、婚姻は両性の合意によってのみ成立するということになっていて、離婚も同じですから、なかなかそこまで、離婚の条件と離婚の効力要件というようなところまで法制化するのは困難があると思っております。

 

○馳委員 離婚をするに至るさまざまな事情があって非常に大きなストレスを抱えている夫婦にとって、やはり、共同養育についての要件あるいは養育費の支払い等を、その計画を立てないと離婚できないよというふうに法的に課すのはいかがかというふうにおっしゃいますが、あえてまたもう一度言います。
 今回の改正はやはり子の利益を考えてという、そこのスタンスに立っているものでありますから、子供の利益、子供の最善の利益ということを考えた上で、そこまでのいわゆる歩み寄りを求める、あるいは、これは社会的な規範として、あんた、子供のことを考えて離婚しなさいよ、二人が別れるのはいたし方ないとしましょう、子供のことを考えた面会交流、そして養育費の支払い、それこそまさしく親としての責任を、親同士が離婚した後でも親としての責任を果たしなさいよというふうな言い方は、これはむしろすべきなのではないかなと私は思っていて申し上げているんですが、いかがでしょうか。


○江田国務大臣 先日、青少年特別委員会との連合審査会のときも申し上げましたが、私などの若かりしころは、子供のことを考えたら離婚しなさんな、そういう時代だったんだと思います。しかし、今はそこは変わってきた。子供のことを考えたら離婚しなさいというのもあるいはあるかもしれませんし、離婚というのはやはり夫と妻のことで、だけれども、子供のことは一番に考えなさいよ、だから、離婚は離婚でいいけれども、子供のことはちゃんと考えて、これから先、責任を持った父親、母親でありなさいよ、これが社会の常識になっていってほしいと、本当にそう思います。
 ただ、法規範としてそれを書き込んでしまうところまでいけるかどうかで、私は、いろいろな場面場面で、子供の将来についていろいろな計画をするなり、あるいは折に触れて相談して育てていくなり、そういうことが成熟していくことは大切なことだと思っております。

⇒父母双方が互いにいがみ合っていては何も解決しない。子どもの視点に立って、葛藤を下げていく必要がある。子どもの視点に立てば、答えはおのずと出る。

 

○馳委員 そこで、一つの提案をしたいと思います。親教育プログラムについてであります。
 アメリカの多くの州で、子の監護や面会交流で争っている夫婦に対して、親教育プログラムの受講が義務づけられています。韓国でも、二〇〇七年法改正で、未成年者の子供がいる場合は、協議離婚書を提出する前に親教育プログラムの受講を義務づけております。
 ここで言う親教育プログラムとは、離婚の子供への影響についての知識をふやしたり、子供をストレスにさらすことを減らすことなどを目的として、講義を受けたりビデオ鑑賞をしたり、場合によってはディスカッションなども行われております。
 このような試みは、日本でも一九九九年から数年間大阪家裁で試行されております。それはどういう内容で、どういう結果だったんでしょうか。さらに、なぜ、現在において広く一般化されて実施されていないのでしょうか。日本でも親教育プログラムの受講義務づけを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者 大阪家裁で試行されておりました件につきまして、この取り組みは、家庭裁判所におきまして当事者への働きかけを行う際に、適当な事案を選んで、リーフレットであるとかスライドビデオを用いる、そういったことによって、そういったことの有効性について研究したものでありまして、個々の事件における夫婦への効果的な働きかけあるいは助言のあり方について研究した事例でございます。
 研究の結果といたしまして、スライドビデオの視聴やその後の助言によって、一定の望ましい効果が得られたものもございます。他方で、当事者の態度の硬化を残念ながら招いたという例も紹介されております。
 そのため、こういった働きかけによって十分な効果を得るためには、当事者において面会交流に向けた心の準備がどの程度できているのかといった点を見きわめた上、いつ、どこで、また、だれの同席のもとでこういったビデオを視聴するのか、そういったあたりのところを適切に選択していく必要がある、そういった指摘が研究の成果の中で指摘されているところであります。
 これらを含め、その他の研究の成果も含めまして、現在では、全国の家庭裁判所において、必要に応じて、リーフレットであるとか絵本、あるいはDVDなどを利用して、当事者夫婦に対して働きかけが行われているところでありまして、家庭裁判所といたしましては、個々の事案に応じて、その当事者の状況であるとか葛藤のさまざまな原因等に応じて適切に対応しているものというふうに考えております。

 

○馳委員 我が国の協議離婚は、親権者を決めて離婚届を提出するだけで離婚が成立いたします。しかし、未成年者の子供がいる場合に、離婚後の子供の養育問題について何の取り決めもなく離婚を認めることは、余りに安易で、無責任で、まさしく子の最善の利益に反していると思いますが、いかがですか。

 

○江田国務大臣 親権者の定めだけで、面会交流も、それから費用の分担も何も定めずに離婚届を出す、あとは非監護親の方は知らぬ顔というのがよくないということは、本当にそう思います。
 今、親教育プログラムの話がございましたが、私は、行政の方が司法に余り口出しを、余りといいますか、口出しをしない方がいいんですが、私の知っている限りのことで言いますと、家庭裁判所は、少なくとも、調査官がいろいろなカウンセリングもするように体制をとっていることが期待をされているのでありまして、家庭裁判所、頑張れと言いたいところです。
 ただ、おっしゃるとおり、家庭裁判所に行かない離婚というのが、つまり協議離婚届け出だけ、これが常態ですので、そこのところは、社会一般の離婚夫婦の支援体制というのが必要なんだと思います。

 

○馳委員 改めて質問いたします。
 協議離婚が成立する法的要件として、離婚後の子供の養育計画、養育費の支払いも含めて、その提出を義務づけるように民法を改正すべきであると私は提案したいと思いますが、いかがでしょうか。この制度化は、母子家庭における児童虐待の防止にも大変役立つと考えておりますが、改めて大臣の所感を伺います。

 

○江田国務大臣 そのようなことが社会一般の十分な理解を得るようになれば、それは大変いいことだと思います。


○馳委員 関連して、共同養育計画の義務づけは、民法の改正をしなくても特別立法でも対応可能ではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
 すなわち、民法第七百六十五条第一項は、「離婚の届出は、」云々とありまして、「その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。」と規定されております。共同養育計画義務づけ法という特別立法を、同条の「その他の法令」と位置づければよいのではないでしょうか。いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣 法形式上は、それは、一般法であれ特別法であれ基本法であれ同じ法ですから、そういうことは不可能というわけではございません。しかし、これは家族のあり方、親族法の一番の基本のところで基本法ですから、基本的には、市民社会基本法である民法において規定されることが望ましいと思っておりまして、いずれにせよ、離婚の成立要件に養育計画を付することを義務づけるということは、慎重な検討が必要であると思います。

⇒「親教育プログラム」は必要!家裁のパンフやビデオは誰も見ていないし、意味がない。家族のためのADRセンターが実施している講座が良かった。全国で実施してほしい。

⇒「共同監護策定計画」も必要!取り決めることで、子どもの貧困なども解消できる。

 

○馳委員 面会交流の件について、一件お伺いいたします。
 先般の質疑において、民法改正の趣旨がいかなるものか、大臣の答弁によって明らかになりました。特に、面会交流が原則なんだという趣旨は家裁等の実務者側によく伝わったと思いますし、大臣に感謝したいと思います。
 そこで、あるべき面会交流の具体的な標準といいますか基準といいますか、こうあるべきだという欧米等との比較を私もいろいろ資料を拝見してみましたが、最高裁法務省厚労省が連携して、あるべき面会交流の回数、面会の質の向上を目指して、面会交流のあり方、監護親の同伴の是非などを含めて、これは外部の専門家も交えてしっかりと研究していただきたいと思います。政府のしかるべき審議会において諮問をし、答申を得て対応していただきたいと思っております。
 大臣、親権の問題は、今回、児童虐待防止法改正等々からの積み残した宿題として私も随分と質問させていただきましたが、離婚した後の子供の立場を考えたときに、引き離されたといいますか、一緒に同居していない一方の親の立場、それから、子供の成長に、お父さん、お母さん両方との交流がいかに重要であるかということの観点において、面会と交流の重要性というのは大臣にもおっしゃっていただきましたし、継続的な交流の必要性ということもおっしゃっていただきました。
 改めて、そういった観点からも、具体的に、面会交流、一カ月に何回ぐらい、何時間、あるいは泊まりがけ等々を含めて、ちょっと検討を深めてほしいと思っているんですよ。先般、最高裁は月に一回以上というアンケートしかとっていなくて、それはあんまりだよというふうなことを私も申し上げましたが、この観点についての大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わります。

 

○江田国務大臣 どの程度の頻度でどのような態様の面会交流を行うのが子の利益にかなうかということは、これはやはり個別事件の事案ごとに判断するしか仕方がないので、あるいはまた各国の文化や社会環境の違いにもよるので、単純に比較することはなかなか難しいと思います。
 いずれにしても、そうした面会交流の頻度、態様などについて、子の利益の観点から適切に取り決められていかなきゃいけないと思います。
 そして、今法務省では、親子の面会交流に関する調査研究を委託し、報告書が取りまとめられつつあるところでございまして、そのほかにも、家庭裁判所で面会交流事件の分析とか、今の調査研究では、家裁の面会交流の分析のほか、民間面会交流支援団体からのヒアリング、当事者からのアンケートなども実施をしておりまして、こうしたことを踏まえつつ、関係府省庁と連携しつつ、可能な対応について考えていきたいと思います。

○馳委員 終わります。ありがとうございました。

⇒家裁は「月1回2時間」を相場と主張するが、なんら根拠はない。法務省は、海外の事例をしっかり学ぶべき。

 

○城内委員 今民事局長から、一義的な基準を設けることはなかなか難しいというような御答弁がありましたけれども、やはり実態として、監護者である親が非監護者となった一方の親に対してなかなか会わせないという実態が多いわけですから、何度も言うように、絵にかいたもちにならないように、やはり面会交流が促進されるような基準をしっかりとつくって、それにのっとって運用を実施すべきではないかというふうに私は考えております。
 次の質問に移りますが、七百六十六条の改正によりまして、今後、面会交流が実際に促進されるということになるのであれば、どうせなら、将来的に親権ないし監護権を離婚後も両親が、いわゆる共同親権ですか、共同で行使することを認めることにしよう、つまり、民法八百十九条では単独親権のみ規定されておりますが、それを改正して共同親権を創設すればいいではないか、こういう議論があったというふうに承知しております。
 ただ、私は個人的には、親権を単独親権から共同親権に変更するとしますと、日本におけます離婚観、家族観が大きく影響を受けるのではないかなというふうに考えております。これはそういうことを主張する学者の方もいらっしゃるところです。
 つまり、離婚で婚姻が破綻した以上、男女には何の関係も残らない、どちらかというと、そういう伝統的な離婚観というのが日本にあります。もし仮に共同親権が導入されますと、夫婦関係は解消されたとしても子の両親としての関係は残っていくという、何か準夫婦というか、非常にあいまいな状態が生じるわけです。
 そもそも、日本では、子はかすがいという表現があります。子供がいるからこそ、両親が多少のあつれきや価値観の違いを乗り越えて、お互いがちょっと我慢をして、妥協して、まあやっていこうじゃないかというような考え方があります。私は、これは非常にいいことではないかと思うんですが、もし共同親権となって、簡単に離婚して、子供に両方の親が会えてしまうとなると、これは子供から見ると大変結構なことではありますが、日本の夫婦観も変わってしまうのではないかなということを私は懸念するので、共同親権には基本的には慎重な立場ですが、この点について大臣はどのようにお考えになっているんでしょうか。

 

○江田国務大臣 これは、日本ではずっと単独親権でやってきましたので、今、共同親権ということにすぐ乗りかえるというのはなかなかハードルが高いと思っております。
 ただ、子はかすがいだから別れるなというのも、どうもなかなか言いがたい一般の夫婦関係についての理解となってきておりまして、子供はできた、しかし、夫婦は一緒にやっていけないさまざまな事情がある、ここは別れましょう、しかし、子供はそれぞれの責任を分担しながら育てましょうというような離婚も、これからは珍しくなくなってくるんだろうと思っております。
 いずれにせよ、今回は、単独親権制度のもとでも非親権者との面会交流というものが適切に実行されれば、子の利益は図られていくので、子の利益を図るために共同親権でなければいけない、そういうところまでは今まだ至っていないんだと思っております。

 

○城内委員 私は、戦後の行き過ぎた個人主義で、子供がいるにもかかわらず、安直な離婚というのが非常にふえているような感じがいたします。もちろん、DVだとかいろいろなさまざまな理由があって離婚をするということは、これはもう当然認められるべきだと思いますが、やはりそうした風潮に歯どめをかける必要はあるんじゃないかな、私は個人的にはそういう立場で考えておる次第でございます。
 もう一点ですが、民法七百六十六条の改正に関連しての質問ですが、特に現行法の規定では、裁判所の面会交流命令に監護者が従わなくても、その監護者が親権を喪失したり、あるいは監護者から子供を取り上げて非監護者の方に移すというようなことはほとんどないというふうに伺っているんですね。それを知っていて、確信犯で行動している監護者が、一方の非監護者に子供を一切面会させないというようなこと、いわゆる連れ去りですね。それで、いや、どうしても会いたいといって、その一方の元配偶者、あるいはまだ協議離婚が成立していない配偶者が来て、子供に会わせろと言ったら、警察を呼ばれて追い返されたとか、誘拐だとか言われたとか、そういう実態がどうもかなりあるそうです。
 これは、私は、明らかに子供の利益、児童の利益に反するというふうに考えておりますけれども、この点について最高裁の方の見解をいただきたいと思います。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者 親権者、監護権者の指定等につきまして、いずれも、各個別の事案に応じて家事審判官が判断いたしておるわけでございます。
 その種の事件におきましては、双方の親あるいは子供に関するさまざまな事情を総合的に検討する、そういった判断枠組みのもとで、一方の親が他方の親の同意なく子を連れて別居し、その後、面会交流に応じないといった点につきましても一つの事情として考慮されており、事案に応じて、子の福祉の観点から、適切な考慮、判断がなされているものと承知いたしております。

⇒監護親のエゴは今も続いている。

 

○城内委員 今御答弁ありましたけれども、実態は、私はいろいろ調べたら、やはり連れ去っちゃった方が勝ちみたいな、その後、連れ去られたと感じている方が言ってもなかなか会わせてくれないという実態があって、強制力もありませんし、さらに、会わせてくれと行ったら、まだ離婚が成立していないけれども、既に事実上の内縁の夫ないし妻がいて、追い返されるというケースが非常に多いというふうに伺っております。
 この民法七百六十六条の改正で面会交流をどんどん進めようということは大変結構なことではありますけれども、では、実態が本当に改善されるかというと、やはりそこら辺は、きちんと運用を各裁判所がやっていかないと、改善されないんじゃないかと思います。
 この点、実は、アメリカのカリフォルニア州では、離婚時に裁判所が子供の監護権者を決定する際に、友好的な親かどうか、要するに、離婚はするけれども、一方の親にちゃんと会わせますよと約束をしてくれる、そういう場合を監護者として指定する一つの判断基準にとっている。いや、もう離婚した以上は絶対に会わせませんよというようなフレンドリーじゃない親は、なるべく監護者にさせない、そういう基準を採用しているようですけれども、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

 

○江田国務大臣 別れる場合に、子の監護者を決める。そのときに、相手に対してどちらの方がより寛容であるか。片方が、いや、月一回会わせます、もう片方は、いやいや、月に二回は会わせます、それなら、その月二回会わせる方を監護者に決めよう、そういうルールといいますか、裁判所のやり方、これは一つの考え方だとは思いますが、子の利益の判断に当たって、そのほかにもいろいろ考えなきゃならぬ点はいっぱいありまして、この点だけを判断基準とするのはちょっと相当でない。しかし、重要な指摘だと思います。

 

○城内委員 いずれにしましても、監護者のエゴ、あるいは監護者が親権を既得権として一方の非監護者の権利を排除するような事例、これはやはり児童の福祉、権利という観点からも、あってはならないことだと私は思います。虐待といったような特異なケースを除いて、やはりこれは運用面、あるいは基準をしっかりつくって、そういったエゴあるいは既得権化が行われないようにしていかないと、何度も言いますように、法律は改正しました、しかし、絵にかいたもちで、実態は余り変わっていませんということになりかねないのではないかと思いますので、その点についてぜひ今後の検討課題としていただきたいというふうに思っております。
 最後に、もう時間がほとんどありませんけれども、人権侵害救済機関の設置について質問をさせていただきたいと思います。
 これは報道によることですが、今月十三日に民主党が、川端達夫衆議院議院運営委員長を座長として、人権侵害救済機関検討プロジェクトチームを開いたというふうに報道されております。その中で、内閣府の外局として、人権侵害を調査し、勧告する権限を持った独立機関を設置する法案を今国会に出す方向で協議を始めたとされております。川端座長は、その中で、一刻の猶予も許されない、政権交代をしたのだから、大きな一歩を踏み出したいと述べたとあります。そしてさらに、来る五月上旬までに党内合意を図るという方針である、そういう報道がされています。
 私は実は、民主党の中にも、若手の議員の方と何人か交流しておりますが、彼らは反対だと。党内にそういう反対論が根強いというふうに私は理解しているんですが、大臣はこうした反対論が所属されている民主党内にあるというふうに認識されていますでしょうか。

 

○江田国務大臣 民主党もなかなか幅広く、いろいろな意見があることは承知しております。

 

○城内委員 もう質問時間が終了しましたが、幅広い意見があるという意味ではなくて、それはもう当然ですよ。しかし、そういった反対意見にもぜひしっかりと耳を傾けていただいて、これまで大臣にも何度も質問させていただいているように、人権委員の選出方法をどうするのかとか、あるいは、まさに人権救済機関をつくったらどれだけコストがかかるのか、こういった点もしっかりと数字を出していただいて、私は反対の立場ですけれども、つくるというのであれば、どれだけ効果があるのかというのはしっかりと数字と証拠で示していただきたいと思います。
 以上、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

⇒フレンドリーペアレントルールを適用すべき。今の家裁は絵に描いた餅にすぎない。