miwasan0216’s blog

愛する子供たちのために、理不尽さと闘う父。誰もが幸福な世の中になるために。

【第177回国会】参議院法務委員会 第13号 平成23年5月26日

参議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:木庭健太郎 参議院議員公明党

     桜内文城 衆議院議員みんなの党

     江田五月 法務大臣

 

○木庭健太郎君 最後にお尋ねをします。
 大臣に、是非こういう、今回の児童虐待という問題、いつまでたってもなかなか絶えていかないこの問題の中で、法務省としても民法の改正という大きな問題まで踏み込みながら、今回こういった制度が、親権停止というような新たな制度まで設けてこの児童虐待を防止しようということの取組を、そして子のためにということを初めて打ち出した。是非、これを実効あらしめるものに対する、そういう大臣の決意とともに、ここで論議されたように、やっぱり今回改正しても親子の関係、家族の関係、そしてまた児童虐待の問題についても、この改正だけでどうなのかなという様々な問題提起もなされました。つまり、家族の在り方というものについて今の民法の規定が本当にこれで十分だろうかという問題もありました。例えば児童虐待一つの問題についても、この懲戒という問題はもう終始議論になったわけでございます。
 そういった意味で、今回、この改正を行うとともに、もちろん実効あらしめるものということで大臣に頑張ってもらいたい一面とともに、残された課題がかなりあるんではないか。大臣はこの参議院の法務委員会の中で、離婚後の共同親権の問題についても一度真剣に議論をしてみる価値あるテーマだというようなこともおっしゃっております。まさにそういった子の親権という問題、ひいては家族法全般についても今後とも検討していく必要が求められていると私は考えますが、併せて大臣から御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

 

国務大臣江田五月君) 木庭委員の方から包括的な問題提起をいただきました。細かくあの点この点と法律的なお答えももちろん必要かと思いますけれども、私も包括的な観点から答えを探ってみたいと思います。
 戦後、民法、親族、相続が大改正されました。やはり一番大きな改正点は、戦前の民法にあった家、これをなくして、それぞれの家族ごとに戸籍の筆頭者がいてそこに配偶者がいる、子がいる、そういう制度にしたわけだと思っております。それはそれで私は家の中でがんじがらめになった一人の個人を自由に羽ばたかせる、そういういい改正であったと思うんですが、現実にはなかなか付いていかない部分があって、先ほどの有田委員の御質問のところでしたかね、現実がまずあって、法律はその後を追っていくという言い方をされましたが、そういう場面もあるけれども、この戦後の家制度の改正については、これは法律が先にあって、そして現実がだんだん追いかけてきたのだと思うんです。
 しかし、現実が追いかけながら、今度はその現実がいろんな問題を抱えることになっているというのもまた我々が抱えている問題で、今の子の虐待など、これはもちろん行政はもっとしっかりしろと、行政の対応はそれじゃ駄目じゃないかというお叱りをいろいろいただく、それはそれでもちろん当たっている面もあり、私どももそうした御指摘を受けながら精いっぱいのことをやっていかなきゃいけませんが、同時に、子の虐待などは人ごとじゃない、私たち社会が抱えている今の病理現象なのだと思うんですね。大変な虐待をする親がいる、もう人の顔はしているけれども、あれは鬼じゃないかというような親がいるのも事実です。事実ですが、鬼の顔をしていても、やっぱりそこに人なんですね、そういうことを行う鬼のような所業に出る、それもまた人としての弱みを持って、そこをやっぱりみんなで覆い包み込んでいかなきゃいけない。
 岡山の例を挙げられましたが、高校一年の子供、これが、まあ私は新聞でちょっと見ただけですが、やっぱり発達障害を抱えている。そういう発達障害を抱えた、しかも母親一人でそうした子を育てていくというときには、だんだんだんだんそこに問題が内向き内向きになって煮詰まってしまうというようなことがあるわけで、今抱えている社会のそうした問題を包括的にとらえ、それを改めていくには、やはり、例えば懲戒という言葉がいいのか、あるいは共同親権というのに取り組むべきじゃないのか、様々な課題があるので、これからも皆さんのお知恵を借りながらよりいい親族、相続制度にしていきたいと思っております。

⇒親権の所在、家族法全般について、議論する必要があると、子の頃も言われていた。

 

桜内文城君 ありがとうございます。
 現実の問題といたしまして、やはり協議離婚の場合、大臣御指摘のように、まず合意に至る前ですね、特に子の監護に関する事項として、親権あるいは監護権をどちらに決定するのか、それからまた、一旦決定された後に、その後の面会交流の実績ですとかあるいは養育費の不履行等々いろいろあり得るわけですけれども、そういった場合に、親権者の変更ですとかこういったことも考えていかなくてはならないと思うんですけれども。
 立法論としてとなると思うんですけれども、特に今現実の問題としてよく耳にします問題点というのは、協議離婚の場合、合意に至る前に子供を合意なく一方が連れ去る、連れ去りという言い方が悪いかもしれませんけれども、子連れ別居ということがまずあって、その上で離婚の協議に入っていく、事実としてはそういう場面が多いとも聞くわけですけれども、こういったときに、これは立法論として、監護権者、親権者の決定の際に、例えばまだ相談が途中である、あるいは相談なくして一方的に、合意なくして子を連れ去る。事実上子の監護を行うことを通じて、その後の家庭裁判所での離婚の協議において、今裁判上の一つの準則として継続性の原則というものが言われておるそうですけれども、子供を監護してきたという実績を積み重ねて、それによって親権を取るという事例が多数あると聞いております。
 これに対処するためには、やはり合意なくして一方的に子供を連れ去る行為ですとか、あるいは連れ去った後にこれを取り戻されないように虚偽のドメスティック・バイオレンスの申立てをDV防止法に基づいて行うようなことも実際にはあるやに幾つかの報道等で言われておるところでございます。
 何が申し上げたいかと言いますと、今回の七百六十六条で面会交流、そして養育費について明文化されたのは大変いいことなんですけれども、その基となる親権の所在ですね、あるいは監護権の所在について、ある種立法的に、これは法律なのかあるいは政令、省令なのか分かりませんけれども、こういった意に反して子供を合意に至る前に連れ去る行為がある場合には、それを親権の決定の際に考慮する等々、あるいは面会交流をさせない親の場合、親権者の変更について家庭裁判所が判断するときには、これこれについて配慮すべきであるというような、そのような条文というものは立法論としてあるべきだと私は思うんですけれども、その辺について大臣の御所見をお伺いいたします。

 

国務大臣江田五月君) 結婚している夫婦の関係も、あるいは離婚した後の元夫、元妻の関係も、さらにそうした親と子の関係も本当に千差万別でございます。こうした千差万別の夫婦、親子関係をどういうふうに法律的に規定をしていくかというのはなかなか大変なことで、やはりある種の一般的な法規範を作るしかなかなかできないということがあると思いまして、しかし、具体的な事例にそれをどう落とし込むかと。これは事案に応じて、協議離婚ならばそれは二人で決めることですが、そうでなければ家事審判官が個別に判断をすると、そこに委ねざるを得ないんではないかと思います。

 一般論で言えば、専ら子の福祉の観点から、父母それぞれの意向であるとか今までの養育状況とか、あるいは双方の経済力、家庭環境、子の年齢、子の心情や意向、子の情緒の安定性等の諸事情を総合的にと、こうなってしまうわけでございますが、今委員が御指摘のようないわゆる継続性の原則、これは今言ったようないろんな事情から、合意ができる前にあえて無理して子を移動させてそして自分の管理下に置けば、後は継続性の原則で守られるという、そういうことはやっぱりあってはいけないと。全てのことがもし同じならば、それは子供にとって環境が変わることが必ずしも好ましいわけじゃない、同じ環境の下で育つ方がいいとは言えますが、継続性の原則があるから、だから連れ去った方が得だと、そういうことがあってはいけないことは御指摘のとおりだと思っております。

 

桜内文城君 ありがとうございました。大変重要な御答弁をされたと感じております。

 やはり継続性の原則が言わば家庭裁判所における準則のように今現実としてなっていることから、実際に弁護士の、これ日弁連そのものじゃないんですが、財団法人日弁連法務研究財団というところが出している本ですけれども、「子どもの福祉と共同親権というタイトルの本なんですが、その中に、実務家である弁護士にとって、親権をめぐる争いのある離婚事件で常識と言ってよい認識がある。それは、親権者の指定を受けようとすれば、まず子供を依頼者の下に確保するということである、このようなくだりがあります。

 ここから先は弁護士の仕事のやり方の問題になりますので、大臣、常々おっしゃっています弁護士自治というのもありますので、なかなか当委員会で議論して決着の付く話ではないんですけれども、とはいえ、問題視されている、報道等でされる事案というのは、いわゆる離婚ビジネスといいましょうか、このようにまずクライアントが親権を得たいという場合に、協議が調う前にまず事実上子供の監護権といいますか、実際に手元に置く。その場合、もう一方の配偶者、まだ離婚前ですので配偶者の意に反しておったとしても問題視はされないんですけれども、これは諸外国では誘拐罪に当たる場合もあると聞きますけれども、日本の場合、その後協議離婚をして単独親権になった暁には、面会交流の約束があったとしても会わせてくれないということで、お父さんが、元裁判官の方だそうですけれども、無理やり会いに行ったところ誘拐罪で逮捕されてしまったと。

 もちろん、何が真実か分からない、また家庭内のことですので、なかなか法的な評価をするのは難しい事案だとも思うんですけれども、必ずしも子の連れ去り、子連れ別居ですとか、正当なといいますか、お互いの合意を得て一方に子供を預けるというようなことがなされてないのを利用してといいますか、あるいは継続性の原則というものが事実上家庭裁判所の準則となっていることをうまく利用して離婚ビジネスをやる弁護士さん、実際、私のところにもハーグ条約の関係で陳情に来られました。そのとき知らなかったんですが、二度預り金を自分の弁護士報酬に充てたとかで懲戒処分を受けられた方でもあります。

 そういった意味で、やはり先ほど大臣がおっしゃいましたように、親権をどちらに決定するか、監護権をどっちに設定するのかという、あるいは変更の場合の考え方、これはもう家庭裁判所の判断ですので、我々立法府なりあるいは法務省という行政府がどうこう言うべきことではないんですけれども、やはり子の利益あるいは当事者の公平ということを考えるのであれば、何らかの継続性の原則に代わる準則、例えば今申しました面会交流を実施しない、履行しない親が親権を持っている場合には、この変更についてその事情を考慮するですとか、あるいは子供を返したくないという親がドメスティック・バイオレンス防止法に基づいて虚偽のDVの申立てをしたりするケースも間々あると伺います。こういった虚偽が明らかになった場合には、それも親権の変更において考慮すべき事項とするなど、やはり家庭裁判所の準則の話ですので、これは立法的な手当てが私は必要ではないかと考えておりますけれども、大臣の御所見、もう一度お伺いいたします。

 

国務大臣江田五月君) この離婚に伴う子供の育て方などについての今の委員の御指摘、これはそのような弁護士活動に対する批判もあるということは承知をいたしております。

 しかし、先に連れ出し確保した方が勝ちだよと、そういうようなアドバイスが法律の専門家によってなされることがどれだけ問題をこじらせるかと、そうしたこともやっぱりそれぞれ考えていただきたいと、本当につくづくそう思います。実力行使よりもやっぱり話合いで、話合いの中に法律というものがちゃんと生きていく、そうした仲介をしていくのが法律専門職である弁護士の仕事であろうと思いますが、まあそれ以上言いますと弁護士の仕事に介入するようになりますので、申し上げません。

 しかし一方で、先ほども申し上げましたとおり、親子の関係、千差万別、どれがいいとなかなか言うことできないんで、むしろ、例えば継続性の原則なら継続性の原則、これをルールとして、指針として出すというようなことになると、これは逆にやっぱり妥当でない結論についつい安易に流れてしまうようなことも出てくるので、やっぱり私は、個別の事案に応じて個別に、家事審判官であり、あるいはその関係の皆さんが一生懸命に悩んで子の福祉、子の利益のために結論を出すように努力をすることが一番重要であって、何らかの準則を、指示を出すといったことよりも、むしろそっちの方が大切だと思っております。

 

桜内文城君 ありがとうございます。

 ここは立法論の話ですので、準則を、法律の形なのか、あるいは政令、省令なのかは別として、私自身の意見としましては、お示ししないことにはなかなか家庭裁判所も判断付かないことが多いんではないかなというふうに考える次第でございます。

⇒この頃、離婚ビジネスが横行していた。家庭裁判所は継続性の原則だけで判断するところがあるが、何か基準を設けた方がいいという指摘。離婚ビジネスや家庭裁判所の不条理な運用は今も変わっていない。