miwasan0216’s blog

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【第183回国会】参議院法務委員会 第5号 平成25年5月9日

参議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:真山勇一 参議院議員みんなの党

     山田滝雄 外務大臣官房参事官

     谷垣禎一 法務大臣

 

真山勇一君 本当にこれからだというふうに思うんですけれども、ただ、これからだからこそ、あらかじめ、やはりこのハーグ条約が締結され、そして海外で国際結婚して不幸にしてトラブルがあったときは、いろいろどういうふうにしたらいいかということというのはある程度その情報があるとどれだけ安心できるかという面があると思うんです。ただ、まあ結婚ですから私は自己責任だと思うので、その辺というのは国がそれほどきめ細かく、先ほども申し上げたようにできることではない。
 そういう中でのおっしゃったような法システムの研究というのをしていっていただくということになると思うんですが、例えばアメリカなんかは結構もうその辺具体的にかなりいろいろ情報があるというふうに実は聞いていて、例えば日本へ向かって来る人にとっては、日本というのはこういうことだというような説明をしている部分があって、その中に大きな問題として共同親権あるいは単独親権というような話まで出ていて、日本はこうだよというような説明もあるというふうに聞いているんですけれども、日本ではこの辺りというのは具体的に説明すべきと考えていらっしゃるのかどうか、いかがでしょう。

○政府参考人(山田滝雄君) 外務省の方でしておりますのは、アメリカ側の法律についての調査は外務省でしております。これは、各州によって法律も違いますし。ですから、まず、私どもの領事館、大使館の領事それから領事以外の館員を含めてきちんと検証をさせて、現地の法律家の方々から意見を聞く、また支援団体の方々の協力をするといった体制を取っております。
 ただ、国内法の問題となりますと、これは法教育の問題となりますので、これは法務省の御所管ではないかというふうに考えます。

真山勇一君 そうですね。おっしゃるように、国内法の問題になってくると思うんですけれども、やはりアメリカ側から見ると日本は、日本の紹介のところには、日本は単独親権であるというような説明があるというふうに伺っているんですけれども。
 谷垣大臣にお伺いしたいんですけれども、日本政府としては、そうしますと、例えばハーグ条約締結して、この実施法案ということになりますけれども、その中で、共同親権それから単独親権というのがありますけれども、これは日本政府としてはどちらの方が望ましいというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

国務大臣谷垣禎一君) 現行の法律は、婚姻中は共同親権、そして離婚をした後はどちらかの親が単独で親権を取ると、こういう構成になっておりまして、私としては当然それでいくということでございます。
 ただ、平成二十三年に成立した民法等一部改正案、これは衆議院参議院それぞれの法務委員会で附帯決議を付けていただきまして、離婚後の共同親権制度の導入も含めた検討をせよということでございます。そこで、現在、この点に関していろいろな諸外国の制度を調査している最中でございまして、各国に照会を行ったりして、今基礎的な研究をしております。
 したがいまして、現行法は先ほど申し上げたとおりでございますが、この二十三年の法改正のときの附帯決議に基づく調査、これはまだ結論を出しているわけではございません。ただ、離婚後の共同親権制度の導入につきましては国民の間でもいろんな意見がある状況でございまして、実際にも、離婚に至った両親が、じゃ共同親権、海外で共同親権の場合があるわけですが、共同親権の場合に本当に、離婚した夫婦が子供のいろいろな育て方の方針で一致できないような場合もかなりあるわけですね。そうすると、かえって子供の順調な生育に障害があるというような例もあるわけでございまして、これは相当慎重に検討する必要があるのではないかと、このように思っております。

⇒父母双方で「共同監護策定計画」を策定すれば、意見の対立も解消できる。

 

真山勇一君 私自身の考えを申し上げますと、共同親権と単独親権ということでいえば、やはりアメリカは共同親権という考え方が強い、日本の場合は、今大臣から伺ったように、結婚中は共同親権ですけれども離婚した場合は単独親権になるというような考え方だと。私も、これはやはり長いそれぞれの国民の文化というのがありますので、一概に今すぐどちらがいいかって、こっちかこっちかどっちか選べというものではなくて、やはり文化というのは大事にしなくちゃいけないし、家族制度もあったと思うので、そういうものが時代によって少しずつ変質、変わってきて、その結果どちらがいいのかという選択になってくるんだろうというふうに思いますし、まだまだやはり、むしろ逆に言えば、ここでハーグ条約が締結されるから、じゃ共同親権だ、いや単独親権のままでいくというものではないというふうに私も思っております。
 私も、どちらもやはり、それぞれの国の事情ということも考えれば、いきなり決めるという問題ではないと思うんですけれども。ただ、大きな時代のやっぱり流れということになると、やはり子供を離婚した後も両方の親で面倒を見るのが一つの理想的な形だと思うんですけれども、実際にはいろんな障害があるけれども、その理想を追求するためのやはり一つの体制づくりということも言えるんではないかと思うんです。
 今、日本の法制度ではそうですけれども、谷垣大臣御自身は、やはり法律の専門家、弁護士さんということでもあったわけですから、その辺りで、一つハーグ条約ということを考えてくるとどうしても共同親権ということが避けられない問題になってくるわけなので、大臣御自身は共同親権についてどう思っていられるのか。
 実は、先日の衆議院の法務委員会で、共同親権について少し何となく消極的な答弁ではなかったかなというふうに、私はその議事録を見てそんな感じを受けるんですけれども、今のこの社会情勢の中で谷垣大臣御自身は、この共同親権、単独親権、そして今、日本の決まりということ辺りを踏まえてどういうふうにお考えか、お聞かせいただけると有り難いんですが。

国務大臣谷垣禎一君) 余り私個人の見解を申し上げる場ではないと思いますが、実はハーグ条約、この審議に臨むに当たりまして、私、学生時代の親族法の教科書、我妻栄先生のお書きになったものを引っ張り出して見ますと、もう古い本でございますから、共同親権なんてどこ探しても出てこないわけですね、離婚後の。それで、海外の例についても、当時の注釈民法なんというのをひっくり返してみても出てこないと。それで民事局長に、あのころは全然なかったのかなと。あのころというのはつまり昭和四十年か、四十年代のころですが、そのころは諸外国でも離婚後の共同親権というのは余りなかったようです。ところが、その後、アメリカでも御承知の、先ほどおっしゃったとおりですし、ヨーロッパでも、ヨーロッパというか、そのほかの国でもどんどん共同親権のところが増えていったと。それで、確かに一時の時代の流れはそういうふうに行ったんだと思います。
 ところが、共同親権といってみても、結局別れてしまった夫婦でどう実際に子供を育てていくかということになると、意見が合わないような場合がたくさん出てきて、現在は少しその反省が出てきている状況なのかなと。これは法務省の公的見解というわけではありません。私、この間、若干勉強してみますと、そんな感じを私自身は持っているところでございまして、ちょっと後ろ向きという、先ほど真山先生がおっしゃいましたが、そんなことを踏まえて実は衆議院の議論でも答弁をさせていただいたということでございます。

⇒どの国を指しているのかわからないが、現時点において、共同親権制度を導入した国が、単独親権制度に戻ったという実例はないことは、法務省民事局長が国会で答弁している。共同親権制度が世界の潮流である。

真山勇一君 そのくらいこの親権の問題、監護権の問題というのはやっぱり難しいし、先ほど大臣もおっしゃいました民法の七百六十六条、これにもこうした離婚の場合は子の利益を最も優先しなければならないものとすることというふうに書いてあるわけですね。やはり子供のことを考えなくてはいけないということなんですけれども、ただ、どうしてもその前に、子供の利益を優先する前にやはり離婚というとその当事者間、つまり夫婦の問題になってしまって、やはり子供のことを大事にはしているんだけれども、自分たちの事情も大事という、その辺が離婚のいろんな問題の難しいところがあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども。
 子の立場から見た場合、その七百六十六条には子の利益を最も優先しなければということが書いてあるし、ハーグ条約のその一つの基本精神というのが、片方へ連れ去られてしまうということが子供の福祉にとって有害であるというようなことと、子の連れ去りによって子の監護権を獲得することは許されないというふうに精神は書いてあるわけなんですけれども。ただ、日本の場合はやはり裁判所で、例えば不幸にして別れた場合、面会交流などというものについては月に一回、そしてしかも監視付きで二時間のみというようなそういう日本の裁判所での判断というのが、判決が出ているわけですけれども、こういう辺りを見ると、やはり離婚で単独親権になった場合、やはり片っ方の子供を引き取っていない方の親というのは会いたいという気持ちがあるけれども、この辺りがどうしてもなかなか希望どおりいかない、制限されてしまうというその辺り、子供を一方の親から離してしまうような事態になってしまうということは果たして子の福祉にかなうことなのかどうか、この辺りの認識を伺わせてください。

国務大臣谷垣禎一君) 今、真山委員がおっしゃいましたように、一般的には両親が離婚してしまったと、その後であっても双方の親と接触を保ち、いろいろ愛情も受けて育っていくと。そういう意味で、平成二十三年の法改正で子の面会交流というのを考えて規定を作っていただいたわけですが、それが適切に行われるということが子の福祉の観点から見て望ましいというのは、私、そのとおりだと思います。だからこれを、離婚後の面会交流を促すことが平成二十三年の民法改正の目的であったんだと思いますね。
 それで、離婚後の面会交流がきちっと話合いでこうしようということになったのに執り行われないということになれば、それは子の利益の観点からこれまた問題になってくると、これは当然のことだろうと思います。ですから、法務省としては、この平成二十三年の趣旨に基づきまして面会交流の趣旨をきちっと広報していくということは引き続き行われなければならないと思います。
 ただ、後半におっしゃった問題ですね、日本の裁判所の、家庭裁判所の実務の問題。私は、巷間、何というんでしょうか、もう連れ去ってしまったらそういう事実状態を重んずるというようなことがしばしば言われたりするわけで、実は連れ去り勝ちみたいな表現もないわけではないと思います。
 今日は家裁も、家裁は来ておられないのか、しかし、家庭裁判所の実務を私、拝見しますと、それまで子を監護してきた者が連れ去って監護しているじゃないかと、今、それまで子を監護してきた者が誰かということだけを判断基準としているわけではなくて、その監護者が監護を開始するに至った経緯、無理やり連れてきたのかどうかとか、いろんなことがあると思います。そういう経緯、あるいは父母双方の子供に対する愛情、あるいは監護に対する熱意とかそういったもの、それから面会交流に対する姿勢、それからもちろん、当然、養育能力、居住環境、それから子の心情ということもあると思います。そういったことを私は総合的に判断して裁判所はやっておられるんじゃないかと。余り裁判所の判断に法務大臣がいいとか悪いとか言ってはいけませんが、私は、決して一つの要素だけでは判断されていないんではないかなという認識を持っております。

法務大臣自ら「連れ去り勝ち」という言葉を認めている。現在も続く社会問題である。法務大臣が、監護の判断基準では総合的に判断しているという認識を持っているのだから、家庭裁判所も監護の継続性だけではなく、総合的に判断してもらいたいものだ。