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愛する子供たちのために、理不尽さと闘う父。誰もが幸福な世の中になるために。

【第174回国会】衆議院法務委員会 第7号 平成22年4月16日

衆議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。結構長いです。

 

登場人物:下村博文 衆議院議員自民党

     菅直人  副総理

     千葉景子 法務大臣

     西村智奈美 外務大臣政務官

 

○下村委員 菅副総理が、私とは大分立場は違うんですが、その私からすると、菅副総理でさえ、四月三日、北京に行ったときに、温家宝首相と会談しているんですね、このとき、この問題について、日本の基準からすると罰則が厳しいと思う人が多いと述べて、死刑執行の判断に異を唱えた。これは明確に温家宝首相に対しても伝えているんですね。これは、やはり日本国の法務大臣として、邦人がほかの国で処罰を受けるということについて、それは異を挟む云々ではありませんが、しかし、我が国の法基準とそれから国際的な基準からして、いかがなものかという程度のことをこれは発言していただかないと、邦人に対して日本国が守るときは徹底して守るというのが国家の役割ですから、私は、それが問われるのではないかというふうに思います。
 ただ、きょうはちょっとこれがメーンではありませんので、その問題提起をさせていただきたいと思います。
 きょうは、共同親権と面会交流について御質問させていただきたいと思います。
 これは、千葉法務大臣と一緒に超党派の国会議員の勉強会をずっとさせていただいている中、このことについては問題意識は共有をさせていただいているというふうに思いますので、これはぜひ前向きに、きょう、踏み込んだ答弁を私はぜひ期待を申し上げたいというふうに思います。
 私は、この共同親権と面会交流について、子供の視点から問題提起をさせていただきたいと思いまして、きょうはお手元に資料を配付させていただきました。
 この資料をごらんになっていただきたいというふうに思うんですが、まず資料一、これは「貧困率の国際比較」でありますけれども、我が国は、OECD三十カ国の中で、相対的貧困率が二十七番目子供の貧困率は十九番目ですが、特に親が一人の家庭においては貧困率が五八・七で三十番、一番びりなわけですね。これは数年前のイメージからすると、本当にもう考えられないような我が国の状況であるというふうに思います。
 さらに、資料の二を見ていただきたいというふうに思うんですが、これは「母子世帯・父子世帯の状況」でありますが、一人親世帯といっても、実際は母子家庭が九割近くあるわけですね。この中で、母子世帯の場合には、常用雇用している母親はわずか四二・五%ですので、平均年間収入が二百十三万円。これは、全世帯の平均年収が五百六十四万、この全世帯の平均年収の半分以下が貧困世帯と言われますので、平均ではありますけれども、母子世帯はほぼ全世帯が貧困世帯ということになるわけで、結果的にこれが三十カ国の中で最下位、こういう数字になるわけです。
 それから、資料の三を見ていただきたいと思うんですが、これは「婚姻及び離婚件数・率の推移」。一九七五年から二〇〇八年までの中で、特に二〇〇〇年になってから、二〇〇〇年が婚姻件数が七十九万八千百三十八件で、離婚件数が二十六万四千二百四十六件。二〇〇五年にしても、直近の二〇〇八年、婚姻件数七十二万六千百六件のうち、離婚件数が二十五万一千百三十六件ということですね。三組に一組ぐらいが二〇〇〇年代に入ってから離婚をしている、こういう状況なわけです。
 さらに、この中で、離婚件数が約二十五万一千件あるわけですけれども、子供がある夫婦の離婚というのが、このデータには出ておりませんが、このうち十四万四千組あります。そのうち、子供の延べ数でいうと、二十四万五千人が子供の延べ数になります。ですから、子供のこのときの出生率が百九万人ですので、子供の四・五人に一人が成人するまでに親が離婚をしている、今こういう我が国の状況なわけですね。これがこの貧困問題とも深くかかわりを持っているというふうに思います。
 一方、この貧困問題のもう一つとして、我が国の養育費。大体、今の数字のように母子家庭が多いわけですね。ですから、別れた元夫といいますか、夫婦は別れたら赤の他人ですが、親子は永遠に親子なわけですね。ですから、父親からの養育費、子供が成人するまでは、これは子供からすれば受給をするのは当然なことだと思うんですが、残念ながら、直近のデータでは一九%。それが、アメリカでは五〇%、それからヨーロッパ諸国では五〇%から七五%ぐらいは養育費が支払われているということで、我が国においては一九%ですから、ほかの国に比べても大変厳しい、それがこの子供の家庭における貧困率を世界で最下位にしているという要因の一つにもなっているのではないかと思います。もちろん、その母親、女性の職場をどう確保するかという雇用の問題も大きな課題としてありますが、子供の立場から見ると、この養育費の問題があります。
 我が国において、この一九%をほかの国並みに上げる方法はないのかということがまずは問われると思うんですけれども、これは、なぜ日本が少ないのか、また、この養育費の受給を上げる方法というのは考えられないのか、これについて御意見をお聞きしたいと思います。

⇒日本の「子どもの貧困率」は世界最下位。養育費の支払い率も世界最下位。

 

○千葉国務大臣 先生御指摘のとおり、我が国では、子供に対して、監護していない親からの養育費の支払い、これが大変低いということ、大変残念ですし、子供にとっても大変つらい問題だというふうに思っております。
 なぜこういうことになっているかということ、これも一概にはなかなか言えませんけれども、よく指摘をされることは、養育費が支払われない理由として、まず、離婚の際、やはり非常に感情的な対立等があるものですから、養育費について十分にお互い冷静に取り決めたり、あるいは考えたりする、そういう状況がなかなかできない、こういう問題。それから、支払い能力。今、貧困率のお話がございましたけれども、離婚した後の親の側にもなかなかその支払い能力がない、こういう問題。それから、適切な養育費の支払いということが、子供の福祉、そしてまた、親にとっては、離婚をしようとも、直接監護者になっていないとしても、それが当然の責任なんだという認識、こういうことがまだまだ十分に理解をされていないということがあるのではないか、こういうふうに思います。
 ただ、本当に養育費が支払われないということは、私も大変心配をしていることでございます。
 これまでも、確かに、民事執行法の改正などによりまして、例えば、養育費に係る定期金債権について、弁済期の到来していない将来分の債権も一括して差し押さえをすることができるとか、あるいは、給料債権等の差し押さえ禁止の範囲が四分の三から二分の一に緩和をされたというようなこと、それから間接強制制度も使うことができる、こういうようなことはされているんですけれども、それだけで養育費の支払いはなかなか上がっていないというのが実情だというふうに思います。
 ぜひ私も、制度のあり方を含めて、養育費の取り決めをまずきちっと行う、履行の確保についても今のようなことも活用しながら促進をしていくということも当然していかなければいけませんが、さらに、いろいろな諸外国の制度なども十分に勉強しながら、養育費がきちっと子供のために支払われる、そして子供に大変厳しい貧困をもたらさない、やはりこういうことを考えていかなければならないというふうに思って、今勉強もさせていただいているところでございます。

 

 

○下村委員 我が国は子供にとって幸せな社会システムになっているかというと、残念ながら、時代の大きな変化の中で、例えば家族制度なんかも、核家族化、あるいはその制度そのものが崩壊しつつある中で、それに対して離婚を禁止するということはできないわけですけれども、しかし、そういう家庭においても、新たな社会的なフォローアップをしながら、子供の福祉、子供の幸せ、子供を健全に育成していくような新たな社会システムを時代の変化に対応してどうつくっていくかということがやはり問われてくるというふうに思うんですね。
 ですから、今のお話も、養育費については確かにそれまでも履行率が大変低かったということで、平成十五年、それから十六年の民事執行法の改正によって、養育費についての強制執行の特例や間接強制制度を導入したわけです。しかし、にもかかわらず、今申し上げたように、平成十八年度において、離婚した父親から現在も養育費を受けている母子世帯の割合は一九・〇%。
 ですから、これは養育費だけの問題ではなくて、単独親権、養育をするのであれば、これは同時に、やはり永遠に親子は親子ですから、子供が成人するまでの間は精神的にも父親がフォローするという意味での例えば面談、それからあとは、ほかの国がほとんど取り入れられておりますけれども、共同親権とか、そういう時代の変化に対応して、各国がそのような法改正をしているわけですね。
 ですから、我が国においても、子供が健全に育つための対応として、やはり親はずっと親であってほしいという中で法律改正を考えていかなければならない、そういう時期に来ているのではないかというふうに思うんですね。
 その中で、今、国際的には、非常にその部分が日本はおくれているのではないかという批判がある中で、例えばハーグ条約というのがあるわけですけれども、これは、子を不法な連れ去りにより生ずる有害な効果から保護する、面接権の保障を確保する、つまり、国際的な子の連れ去りは親の監護権あるいは面会交流の侵害になるということで、このハーグ条約について、ほかの国において締結されているのにもかかわらず、日本は締結されていないというような問題もあります。
 そういう中で、ほかの国から見て、つまり、子供の問題というのは国際的な問題にも今なっているし、同時に、国内のそういう貧困の問題もあるわけですね。その国際的な問題がある中で、今、日本は、子供の連れ去りについて直近においてどんな問題があるというふうに外務省として認識されているのか、お聞きをしたいというふうに思います。

⇒日本は世界から遅れている。世界は「共同親権」の時代。

 

○西村大臣政務官 お答えいたします。
 国際的な子供の親権の移動ということについてのお問い合わせでございますが、近年、国際結婚とその破綻がふえており、その中で、日本人女性が、外国からみずからの子を配偶者または元配偶者に無断で日本に連れ帰る事例が増加をしており、外国政府から問題提起をされているところでございます。また、日本から諸外国への子の連れ去りに関する事案についても、外務省に対する支援要請や問い合わせが増加しております。
 欧米諸国政府のハイレベルからは、子を移動前の居住国に返還するための仕組みを定めるハーグ条約の締結について申し入れがなされており、本件問題についてはアメリカ議会の関心も非常に高く、下院で、ハーグ条約を締結していない日本を含む各国に対して、その締結を求める決議が採択をされております
 以上です。

ハーグ条約の批准に、欧米諸国の高官から批准申し入れがあった。アメリカ下院で締結を求める決議まで採択された。

 

○下村委員 今、ハーグ条約を締結している国が八十二カ国ですね。日本は締結をしていない。これは現在なぜ締結をしていないのか、その理由についていかがですか。

 

○西村大臣政務官 なぜということに対する直接的なお答えはないのでありますけれども、私ども、政権担当してまだ七カ月でございますので、今ようやく、この締結の可能性については真剣に検討してきているというところでございます。
 条約の締結に当たっては、さまざま検討を十分に行わなければならない課題がありますところ、外務省としては、それに対してできるだけ早く結論が出せるように、法務省を初めとする関係省庁とともに協力をして、この作業を加速化させていきたいと考えております。



○下村委員 別に鳩山政権を責めているわけではなくて、我々の政権のときからの課題でもあって、これは我が国において不作為の作為であってはならないわけで、現実問題として、特に近年、国際結婚がふえていて、その中で破綻をしてしまったという夫婦もふえている中で、子供の連れ去り問題というのが、より国際的な大きな問題になっているというところから、早目に対応していく時期に今来ているのではないかと思うんですね。
 その中で、日本においてはほとんど意識されていないんですが、子の連れ去りが犯罪とされて刑罰刑が科せられる、そういう国があるというふうに聞いておりますけれども、どんな国があるか、また具体的にどういう刑罰刑があるのか、おわかりであればお答えいただきたいと思います。

 

○西村大臣政務官 おっしゃるとおり、欧米諸国の中では、一方の親が他方の親に無断で子供を連れ去る行為が犯罪とされる可能性がある国があると承知をしております。
 具体的にどの国かということでありますけれども、例えばアメリカ、カナダにおいては、そういった可能性のある国であると申し上げることができると思います。
 そしてまた、その刑罰でありますけれども、これも各国の法制度、そしてその解釈、運用の問題でありますので、日本政府として一概にお答えをすることは困難でございます。

⇒子どもの連れ去り問題が国際問題になっている。「立法不作為」は国賠裁判でも指摘されている。


○下村委員 一番典型的な国の事例、おわかりになりますか。
 これは外務省からいただいた、例えばカナダの事例ですけれども、領事情報として、在カナダ日本国大使館が出している資料があるんですね。この中に、
  カナダや米国の国内法では、父母のいずれもが親権または監護権を有する場合に、または、離婚後も子どもの親権を共同で保有する場合、一方の親が他方の親の同意を得ずに子どもを連れ去る行為は、重大な犯罪(実子誘拐罪)とされています。
  例えば、カナダに住んでいる日本人の親が、他方の親の同意を得ないで子どもを日本に一方的に連れて帰ると、たとえ実の親であってもカナダの刑法に違反することとなり、これらの国に再渡航した際に犯罪被疑者として逮捕される場合がありますし、実際に、逮捕されるケースが発生しています。
ということで、邦人に対してこのような領事情報を提供しているわけですね。
 ですから、犯罪を犯しているつもりはないけれども、結果的には、もし、またカナダに戻った場合には、我が子を誘拐したということでそこで逮捕されてしまう、そういうことがやはりあるわけですね。
 ですから、これは本人の問題というよりは、やはり国際ルールは国際ルールですから、先ほどの中国の例もそうですけれども、その国の法律が決まっているんだからそれはもうしようがないという話じゃなくて、特に邦人問題というのは、日本国政府としてどんなバックアップができるか、それが明らかに我が国から見たら不当であれば、もちろん、抗議をしながら改善を求めることは当然ですけれども、ただ、このような子供の親権については、ある意味では世界における共通コンセンサスが成り立ちつつある中で、日本だけがその部分の法的な整備がおくれているとしたら、それはそこの不幸に陥っている方々に対してどうフォローアップするかということこそが、やはり問われるのではないかというふうに思うんですね。
 その中で、今、外務省と法務省との間で、このハーグ条約の締結についての検討を議論しているというふうにお聞きしておりますが、どのような議論をしているのか、どのような点が問題となっているのか、具体的にお聞きしたいと思います。

 

○西村大臣政務官 御指摘のとおり、今まさに外務省と法務省で議論をスタートさせているところでございますし、また、必要によって関係省庁交えての協議も必要になってくるかと思っております。
 この条約の締結に当たりましては、先ほど申し上げました、本当にいろいろ検討しなければならない項目がございまして、今その項目について両省の間で論点整理から始めているところであります。恐らく最も大きな問題は、例えば、我が国の家族関係の法制度との整合性、そしてまた中央当局の指定、こういったところが主たる争点でありますけれども、そもそもこのことからして、いろいろ、解釈上どういう解釈にするのかということも作業しながらでありますので、ここは協議を密にしてやってきているところでございます。

 

 

○下村委員 今の答弁は、抽象的でよくわからないんですけれども。
 大臣、事ほどさように、実態がよくわからないという部分があると思います。しかし、先ほどの数字で申し上げましたように、毎年相当数の子供たちが、離婚によって、成人するまでそういうような境遇に陥っている。その中で、実際に、一たん離婚すると、日本は単独親権ですから、一緒に暮らしている親とはもちろん生活していますけれども、別々になった親とはほとんど会えないという子供がたくさんふえているんですね。それで、超党派の勉強会の中で、親子面談、面談交流が法的な整備を含めてできないかという方々との勉強会をしてきたわけですね。
 これは、恐らく百万人、二百万人ぐらいおられるのではないかと思います。しかし、それは今まで、離婚を含めて、個々の人たちの個人的な問題である、親子の交流ができない云々も自分が悪いというふうな、ある意味では自分自身に対する罪の意識等を持っている中で、なかなか外へ出して発言できなかった、表明できなかった。しかし、実はそういう人が、百万人、二百万人、子供の立場から見てもいるかもしれない、こういう我が国の状況があるのではないかと思うんですね。
 ですから、この辺、日本の現状は今どうなっているのか。会えないという訴えが実際にマジョリティーにはなっていないかもしれないけれども、しかし、潜在的には相当の数の方々が困っておられるのではないか。また、先ほどのように、外国との関係で、国際結婚して残念ながら離婚するということになって、そのときになって、実は子供を日本に連れて帰ったというのが犯罪だったということで大変な目に遭っている、あるいはそもそも子供にも会うことができないというような方々の事例というのは、これは枚挙にいとまなくあるわけですね。
 これを一度、日本政府としてきちっと実態調査をまずすべきではないかというふうに思いますが、これについてはいかがでしょうか。

 

○千葉国務大臣 御指摘のとおりに、多分表にはなかなか出にくい、しかし、潜在的に、子供さんに会うことができないとか、国際結婚のもとで離婚等されて、それによって大変なトラブルや、あるいは法制度の違いによって先ほどのような犯罪扱いをされるというような事例、私もかなりの数に上るのではないかというふうに思います。
 いろいろな形で直接意見を聴取させていただいたり、あるいはちょうだいするということはできるのですけれども、実態調査というのを一体どういう形で、大変プライバシーにかかわることですし、それから、事実上の離婚状態とかあるいは法的な離婚、さまざまな実情があるというふうに思いますので、そういうものをどういう形で調査するかというのは、なかなかセンシティブなところもあるというふうに思います。そういう意味では、一般的に、そういう離婚された皆さんにどうですかと聞くわけにもなかなかいかないと思いますので。
 ただ、実情を把握するということはやはり大切なことなので、先生にもいろいろお知恵をもしおかしいただければ、そういうことも踏まえて、お声をできるだけ、潜んでいるものを聞かせていただく、あるいはどのようなお困りのことがあるのか、こういうことを私たちもしっかりと認識できるようなそういう姿勢を持って、ちょっと考えていかなければならないというふうに思っております。

⇒別居親と会えない子どもたちは、100万人から200万人いる。今も、別居親も、子ども、困っている。

 

○下村委員 ちょっと違う角度から御質問させていただきたいと思いますが、お手元に資料四を用意していますのでごらんになっていただきたいと思います。
 これは「ハーグ条約と国際離婚 国内法整備についての対応表」という表でございます。
 例えば、連れ去りケースの中で、日本国籍の妻あるいは夫が子供をハーグ条約加盟国から連れ去る、八十二カ国が加盟しているわけですね、連れ去った場合、現状において日本それからロシアがこのハーグ条約は未批准ですけれども、もし現状のままだったら、日本政府は対応はできない。先ほどのカナダとかほかの国のように、連れ去った親は指名手配になるという国も中にはあるわけですね。
 それから、ハーグ条約を批准したということになると、返還と面会交流についての日本国内の法整備がないため対応できず、それから、条約批准と子の返還のための法改正、特別法をもしつくったら、これは子の返還のみ対応可、それから、条約批准と子の返還のための法整備、共同親権とか面会交流実現のための法整備が行われれば、対応可という表をとりあえずつくらせていただきました。
 この共同親権と面会交流という問題なんですが、これはほかの国においても、もともとは今の我が国のように単独親権だったわけですね。しかし、アメリにおいては、一九八〇年にカリフォルニア州において共同監護法というものができて、そして、共同監護の法制化と、それから、共同親権、法的共同監護、この選択ができるようになってきた。それから、ドイツにおいては、一九八二年に単独親権そのものがドイツの基本法において違憲判決になり、一九九七年に親子関係改正法で原則共同親権に改正された。また、イギリスにおいても、一九八九年、親責任、親権ですね、これは、離婚とか別居によって消滅しない。
 こういうことで、一九八〇年代から、ほかの国々においても我が国以上に、当時、多分離婚が相当ふえてきたのではないかと思うんですね。先ほど申し上げたように、この中で、子供の立場から見て、やはり別れても親は親ですから、父親だったり母親だったりするわけですから、子供が成人するまではきちっと監護しよう、監護する場合においては、先ほどの養育費を含めた、あるいは精神的なフォローアップも含めて、面会交流もできるようにしよう、こういう法整備がされてきているところであるというふうに思います。
 もちろん、我が国においても、単独親権であっても、共同監護はできませんが、面会交流は可能ではあるわけですけれども、実際、今までの裁判の結果等を見ると、面会交流が実現されているというのは半分ぐらいしかない。それから、実際、裁判所において面会交流、つまり、別れた親と会うことができるというふうになったとしても、月に一回二時間ぐらいとか、それから、二カ月に一回が大体一般的であるけれども、しかし、なかなかそれも実際は実現されていないというのが我が国における今の状況です。外国における相当な面会というのは、隔週二泊三日で必ず監護権を持っていない親の方に子供が泊まるとか、日本から見たら、その辺についてかなり法的な強制力を持って親子交流ができるような形をとっているというところであります。
 その辺で、我が国の民法、第七百六十六条ですけれども、「離婚後の子の監護に関する事項の定め等」というものがありますね。これは、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。」とありますが、この七百六十六条の中に面会交流というのも入れる時期に来ているのではないか、そういう法改正が問われてもいるのではないかというふうに思いますが、御見解をお聞きしたいと思います。

⇒面会交流 (日本)月1回2時間または2ヵ月に1回、(外国)隔週2泊3日で別居親のもとで宿泊 日本と外国では大違い。

 

○千葉国務大臣 御指摘のように、現行民法におきましても、離婚しても親子関係というのは決してそこで消滅するわけではございません。ただし、親権あるいは監護、実際に監護権は片方が行使をするということになります。
 ただ、今御指摘の七百六十六条第一項、子の監護について必要な事項というところに面会交流、こういうことも含まれているというふうに解釈をすることができますし、そういう定めをして面会交流を行っているという実情でございます。
 ここをもう明文化する時期ではないかという御指摘でございまして、実は今、先生にも別な面では御批判をいただいておるわけですけれども、今国会にぜひこれも含めて民法の改正というのを提案させていただければと考えておりまして、その中では、この民法七百六十六条、ここに、父または母と子との面会及びその他の交流、そして子の監護に要する費用の分担その他子の監護について必要な事項は協議で定めなければならない、こういう形で明確に面会交流が、当然、権利として子供には認められるべきなんだということをはっきりさせていきたいというふうに思っておりますので、ぜひこの面は御理解をいただければというふうに思います。
 そしてもう一つ。やはりこれを実効あらしめるためには、多分、そこをコーディネートするようなそういう体制というのも、やはり離婚後ということになりますので、なかなか親同士連絡をとってということも困難なところもあるかと思います。そういう社会的なコーディネートのような制度もあわせてやはりしっかりと組んでいかないと実効力のあるものにはならないのかな、こう思いますが、ぜひ、改正あるいは明確化させていただきたいと思いますので、よろしく御協力のほどお願いをしたいと思います。

 

○下村委員 予算委員会で選択的夫婦別姓については意見を申し上げました。
 私は、今回の民法改正は切り分けたらいいのではないかと思うんですよ。
 まず、我が党でも、全部反対ではなくて、例えば婚姻、女性を十八歳に上げるとかというような、ほかの項目について賛成できるところが多々あるわけですね。ただ、選択的夫婦別姓については、これは明確に反対です。
 なぜかというと、先ほど申し上げたように、親子のきずなが、今、家族のきずながどんどん崩れつつあるということの中で、夫婦別姓というのは子供からすれば親子の姓が変わるということですから、自分の姓が、父親、母親、どちらかは違うということですから、あえて親子でそこまでする必要があるのかと。今、実際に困っている方々がおられれば、旧姓使用とか通称使用することによって、社会生活の中で、あるいは仕事をされる中で何ら問題点がないような形でのそういう法改正をすれば済む話であって、そもそも、本当に選択的に夫婦別姓を求めているというのは、平成十八年の内閣府の調査では七・七%の方しかおられないんですね。
 ですから、便宜的に通称使用することによって、実際お困りの方がおられるのであれば、クリアする部分ができるというふうに思います。それはちょっとまた別のとき、重要な問題ですから、きょうは時間がありませんのでこれ以上は議論は控えたいと思います。
 ただ、大臣、そもそも予算委員会のときでもそうでしたが、これは閣法はもう不可能ですよね、明確に亀井大臣は反対されているわけですから。ですから、今国会において閣法で出されるということは不可能なことなので、それにもかかわらず閣法で出されるということであれば、これは切り分けて、例えば今の七百六十六条の改正等を含めて、ほかの部分でコンセンサスの得られるところだけ出されたらどうですか。それは賛成できると思いますが、いかがですか。

 

○千葉国務大臣 ありがとうございます。
 下村委員とも本当に共通して取り組みをさせていただいてきたという問題もあり、ぜひ一緒に実現すべきものを実現してまいりたいというふうに思います。
 民法については、今、最終的にもまだまだ努力をさせていただいているところでございますので、面会交流のことも含め、そして、確かに見解を異にするところは先生ともあるかもしれませんが、ぜひ、民法全体、これからの子供のために、あるいは、本当に家族、多様な、いろいろな形でみんなが幸せになれるような、そういう気持ちを込めて今まとめをしておるところでございますので、そういう中で、ぜひ、親子の面会交流も実現を目指して引き続いて頑張っていきたいというふうに思っております。

 

○下村委員 何か、わかったような、わからないような答弁ですけれども、子供の視点から、子供にとっての社会福祉とは何か、子供にとってより幸せに生きるためのこの国の法改正は何かというスタンスからぜひ考えていっていただきたいというふうに思うんですね。
 ちょっと時間の関係で、また戻るかもしれませんが、次の項目に移りますが、あわせて、共同親権についてお聞きしたいと思います。
 共同親権は、我が国においては単独親権なわけですね。民法八百十九条、ここに、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」とあるわけです。先ほど申し上げましたように、子の福祉から考えれば、中には、すべてがすべてうまくいくとは限りませんが、協議離婚の中で、やはり子供が成人するまではお互いにきちっと責任を持とうという方々は、我が国においても相当おられるんだろうというふうに私は思うんですよ。
 ですから、この単独親権のところに、「その一方を」じゃなくて、あるいは両方とか、つまり、我が国においても、単独親権も今までどおり認めるけれども共同親権も認める、つまり共同親権も可能である、まさにそれは選択ですね。そういうことをすることによって、子供が成人するまでは親はきちっと責任を持つということを民法改正として明確にすべきではないかと思いますが、いかがですか。

 

○千葉国務大臣 今御指摘の、親が離婚をしたとしても、当然、成人をするまで責任があるのだ、こういうことは、現行法でも、これはある意味では当たり前といいますか、そういう責任があるということだというふうに思います。ただ、実質的に、その監護をする、離婚をしたということになりますので、どちらかが監護をするとか、あるいは、その生活については養育をどういう形で分担するかという、そういう形になろうかというふうに思います。
 共同親権という形をとりましても、これは確かに、責任というものが両方に引き続いてあるのだということを明確にするということにはつながると思いますが、例えば、その養育費、あるいはどうやって養育するか、あるいはまたどういう面会をするかということは、共同親権と形を整えたとしても、そこをどう具体化するかということについては、やはり現在の状況と同じような問題点は出てくるのだろうというふうに思っております。
 そういう意味で、私は、まずは実質的に、本当に面会交流が、それから、子供のためにきちっとした生活の保障ができるような、そういうことを、共同親権、あるいは面会交流の明確化、あるいは養育費の負担をどのように担保していくか、形よりも実質的なところで、できるだけ早く子供のためのきちっとした体制が整えられるようにまずは考えていくことがよいのではないかというふうに思っております。
 ただ、共同親権ということを全く否定するという考え方を私はとっているわけではございませんけれども、共同親権という形になると、法的に改めて精査をしなければいけないということにもなりますので、まずは実際的に、子供を救済する、そして子供の福祉を図るという現実的なところからできるだけ早く対応をしていくことの方が実益が大きいのではないかというふうに思います。

⇒「共同監護策定計画」の作成を必須とすればよい。

 

○下村委員 これは何か千葉法務大臣らしくない発言ですね。これは、言われていることはそうかもしれませんけれども、では、現実問題としてどうやって解決できるのかというのは、この国において相当難しいですよ。
 一番最初に御指摘しましたように、子供の貧困率というのは世界で最下位なわけですね。これは、それだけ日本において、確かに格差社会が拡大していることは事実です。これをどう解決するかということは政治の課題であるというふうに思うんですね。
 しかし、それだけで解決できるかというと、そうではなくて、子供の貧困率の中でも、特に片親家庭ですね、母子家庭、ほとんどはそこが対象になる。これは職業の問題もあるし、それから、先ほどのようなフォローアップ体制というのが、母親たった一人でやるという部分で、それがある意味では日本の今までの流れだったかもしれませんが、しかし、それが本当に子供にとっていいのかという視点から考えてきたときに、一方で、別れた親はやはり子供に会いたい、しかし、逆に言えば単独親権という権利に守られて、会えるものも会えないとか、フォローするのもフォローできないという部分も一方で弊害としてある部分もあるわけですね。
 ですから、法律として、やはり子供が成人するまでは親が責任を持つという意味では、今の法制度でもあるわけですけれども、では、実際に養育費がどこまで履行されているかというと、ほかの国に比べても極端に少ないという事例があるわけです。ですから、そういうようなことの中で、同時にいろいろな法整備をしながら、子供にとってのより生きやすい日本における社会状況は何なのかということを、あらゆるレベルで考えていく必要があるんじゃないですか。その中で阻害要因があればそれを一つ一つクリアするというのは、これは立法府としての当然の責務だというふうに思うんですね。
 ですから、共同親権の問題においても、例えば何がマイナスなのか。私が申し上げているのは、単独親権を共同親権に全部変えるという話ではなくて、単独親権は単独親権で、それの方が子の養育上望ましいという家庭も確かにあると思います、DVの問題とかいろいろな問題がありますから。一方で、共同親権とすることによって、別れた元夫か、元妻かもしれませんが、やはり子供の養育に対してはきちっと責任を持ってもらうという意味で、そういう部分があったとしても、それがさらに民法改正で、八百十九条の改正でつけ加えられたとしても、何ら問題になることではないのではないかというふうに思うんですね。
 ですから、慎重に考えるということであれば、何が問題だと思われているのか、お聞きしたいと思います。

 

○千葉国務大臣 慎重にというよりは、現在の制度をより一層生かす形でも、子供との面会交流あるいは養育費、こういうものをきちっと実現するということは決して否定することではありませんので、まずは現行法でも、やはりそれを十分に実効あらしめるということを考えていくことが大切なのではないかというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、決して共同親権という考え方を私も否定するというものではありませんし、これは大変新しい御指摘をいただいて、選択的共同親権という、なるほどと、こういうことも今私も先生から御指摘をいただきましたので、確かにそういうものも含めて検討することというのは全く否定するものではございません。
 ただ、現実に、やはり、今おっしゃったように、子供の福祉を最優先に、そして、できることをきちっとやっていくということをまずやらなければならないということを申し上げたところでございます。

⇒この時は「選択的共同親権」の傾向が強かったのか??今は、「原則共同親権」がよい。

 

○下村委員 大臣、先ほど離婚数が増加しているという話を申し上げましたが、近年、この十年間ぐらい、子供の環境というのは本当に悪くなってきているんですね。例えば、先ほどの面会交流の紛争なんかも激増していまして、一九九八年、調停が千七百件、審判が二百九十件だったんですが、二〇〇八年には調停が六千二百六十件、審判が千件、ふえております。親権を失えば子供との交流ができなくなるのではないかというおそれから、親権を奪い合う親同士の紛争が一方で今非常にふえているということ、それから、裁判所での手続は現行法ではやはり時間がかかるため、親子関係の断絶が長期にわたり、親子関係の修復が困難になっているという、ある意味では社会病理現象的な部分がどんどんふえてきているんですね。
 ですから、現行法で対応できなくなっている状況がますます、十倍ぐらいにふえている中、やはり何らかの法整備というのは、これは対応していくことによって、今現在困っている方々に対していかに手を差し伸べるか。
 私は、子供の福祉という視点から、残念ながら親は離婚になったとしても、我が国における子供がより幸せに生きていくための社会的な、社会の変化に対応した、タイムリーな法整備も考えていかなければ、我々立法の立場として、不作為の作為が問われるという時期に今来ているということをぜひ認識していただいて、法務省の中においても、この共同親権も含めて、それから、先ほどの親子面談交流については、ぜひほかの民法改正と切り分けて考えていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。
 ありがとうございます。

⇒「子どもの奪い合い」や「親子断絶」は社会病理現象。

⇒今や「立法不作為」は裁判所から指摘されている。