miwasan0216’s blog

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【第174回国会】衆議院法務委員会 第3号 平成22年3月9日

衆議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:馳浩 衆議院議員自民党、前共同養育議員連盟会長、現石川県知事)

     千葉景子 法務大臣

 

○馳委員 そこで、二つお尋ねしたいのは、これはいつまでにやりますか。やはりこれは、ゴールを決めておいて、逆算をして、今ほど申し上げたような、中央当局をどこにするか、関係法令をどうまとめるか、こういう作業をしていくスケジュール観というのは必要だと思うんですね。私は、今多分お答えしづらいと思いますので、基本的なこういう問題は、やはり一年ぐらいかけて検討した上で、来年の通常国会には関係法令も出し、また、ハーグ条約を締結するという姿勢を示していく、こういう政府としての大きな方針は必要だと思っております。
 加えて、今の問題に一歩私なりに踏み込むならば、これはやはり外務省が中央当局になった方がよいというふうな指摘を私はしたいと思います。西村さんも今おっしゃったように、子供の最善の利益ということを考えるべきなんですよ。これはまさしく、国際離婚ということになってくると、子供にとって親は親である、その子供の置かれている現状を、どう法的に、外交的に対応していくか。やはり交渉する前面に立つのは、これは外務省であるべきだと私は思います。と同時に、今から共同親権の話を指摘したいと思いますけれども、こういう国内法の問題については法務省が前面に立って責任を持ちますよ、こういう連携が必要だなという、これは私の私見でありますが、まず申し上げておきたいと思います。
 そこで、共同親権導入へ向けての問題を、また記事の方から指摘したいと思います。
  日本の加盟は、一部の国際結婚カップルだけにかかわる問題ではない。条約は、子と別居する親の面会権も保護しているため、日本人夫婦で離婚後、子と会えなくなった側や在日外国人らが波及効果に期待を寄せているのだ。
  加盟国の多くは、一九八〇年代以降、離婚後も両方の親が親権を持つ「共同親権」に移行し、子どもが両親の家を行き来するのが当たり前だ。しかし、日本は離婚後は片方の親が親権を持つ「単独親権」制で、調停などで母親が親権を取るケースが八割を超える「母子関係優先社会」。子との面接交渉の権利が民法に定められていないこともあり、離婚後、子どもと交流を断たれる父親は少なくない。
  「離婚後も子は両方の親と交流するべきだというのが世界の潮流。ハーグ条約に加盟しても、日本の裁判所がこれに反した判決を出せば、条約を順守していないことになる」。
こういう指摘がありまして、棚瀬孝雄中央大法科大学院の教授はこのように警告をしております。
 「別居親と子の面会交流を原則として認めるなど、国際水準に合った形に国内法を整備する必要がある」
この問題は、むしろ私よりも千葉大臣の方がよく御存じであります。私も、共同親権については認めていくべき時代にある、このように思っております。
 そこで、これはもし答えられる方がいたら、単独親権、現在の民法において、なぜ日本はこの単独親権を後生大事に守り続けているのか、私はこういうちょっと意地悪な指摘をさせていただきたいと思います。
 なぜならば、国際結婚の数も、恐らく昭和三十年代のころと比べて現代ではけた違いにふえているはずでありますし、当然国際離婚もふえているでありましょう。私がいただいた資料で、離婚をした家庭の子供、十四万件の中で、二十四万人の子供が親が離婚している。そして、単独親権である。原則、子供に責任はない。子供が悪いから離婚するんだという親はちょっといないでしょう、あり得ないですね。そうすると、子供からすれば、お父さんはお父さん、お母さんはお母さん。しかしながら、日本の現在の民法では単独親権を優先しているんですね。
 まず、もしおわかりになれば、なぜ我が国は単独親権でなければいけないのか、この民法の原理原則的な、立法過程において、なぜ単独親権じゃなければいけないのかということについて改めてお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

⇒棚瀬孝雄教授の言葉はその通り。

⇒単独親権制度が悪いと切り込んでいる。

 

○千葉国務大臣 なぜ単独親権でなければいけないのか、私も、ちょっと今、確定的な、あるいは正確なことを申し上げることはなかなかできませんけれども、多分これまで、離婚をしたさまざまなトラブルが逆に子供に悪影響を及ぼしてはいけないのではないか、そういう意味で、監護をする親を決めて、なるべく子供をそういうトラブルや、あるいはそういうものから防御しよう、こういうのが、どちらかといえば、これまで単独の親権を維持してきた背景にはあるのかなという気がいたしております。
 ちょっとその程度で。今御質問いただきましたので。

 

○馳委員 私は、この背景には、我が国の伝統的な家族観というものがあるんだろうなと思うんですよ。だから、記事にもありますとおり、母子関係優先社会。つまり、離婚した後、恐らく五割は超えているでしょう、ほとんどはお母さんが子供を引き取るわけですね。そして、この議論は、私は大臣もよく御存じだと思いますが、なぜ共同親権を求める方が多いのかという背景には、お母さんが、離婚をしたお父さんに会わせないわけですね。こうやって吹き込むわけですよ。お父さんは、離婚をしても養育費も払わない、DV、暴力、あるいは女性関係とか、とんでもないのよ、あんなお父さんみたいになっちゃいけませんなんて。なかなかやはり、協議離婚であったとしても調停離婚であったとしても、離婚後もお父さんと会えるようにしているようになっていたとしても、こうなるわけですよ。子供が会いたいと言わないから会わせません。この理由は随分多いんですね。
 したがって、私は最初に申し上げたように、子供が言っているからと、子供に責任を負わせるのではなくて、そもそも子の最善の利益を考えた上で共同親権という制度にし、そして、第三者機関、家庭裁判所が入るべきなのか、ADRのような組織がかかわるのがいいのか、これはまた議論があるところかもしれませんが、第三者機関的な部分で判定をし、そこにおいて会わせる機会を設ける、こういうふうにしていった方が子の最善の利益にかなうんじゃないかな、私はこういうふうに思っているんですよ。
 そこで、大臣、共同親権の必要性について認識をしますか。それとも、いやいや、単独親権のままでいいですよ、馳さん、そんなこと言わないで、共同親権を考える時期ではありませんよと思いますか。大臣の見解をお伺いしたいと思います。

⇒日本独自の伝統的家族観、片親疎外に言及。子どもに責任を押し付けるな。

 

○千葉国務大臣 御質問いただきましてありがとうございます。
 ちょっと先ほどの御質問にかかわって、母子中心のというお話がございました。ただ、私のつたないいろいろなこれまでの活動の経験からいいますと、一定のところまでは、父親が親権を持つというケースがやはり多かったのではないかというふうに思います。
 それは、やはり経済的に、父親の方が経済的な力がある、そちらが親権を持つ方が子供のためにいいのではないか、そういう時代といいますか経過もあったと思いますので、もともと母子ということを中心にこの親権というのが考えられてきたかどうかというのは、いささか、ちょっとどうなのかなということはございますけれども。
 それはさておいて、私は、子供の最善の利益ということを考えたときには、どちらの親も子供の親として接触をすることができる、そういうことがやはり大事だというふうに思っております。今も、でき得る限り面接交渉、こういう場をつくる、法律に明文はございませんけれども、離婚に当たってそういうことを取り決めるということも随分行われておりますし、これから、例えば面接交渉の権利をきちっと法文に盛り込んでそれを実行していくということも一つの大きな流れかというふうに思っております。
 それと、さらに共同親権という形まで進めていくか、ここはもうちょっと議論をしていかなければいけない、いろいろな影響もどうなっていくのかということも含めて議論をしていく必要があるかなというふうに思っておりますけれども、いずれにしても、やはり、コーディネートをする、そういう環境があり、そして親子がいろいろな形で面接交流を続けることができる、こういうことは、私は方向としては大賛成でございます。

⇒千葉法務大臣共同親権という概念には賛成している。

 

○馳委員 またちょっと意地悪な質問をすると、この共同親権ということを、民法を改正して位置づけた方がよいと思いますか。
 今現在でも、単独親権ということについても民法の中には多分書いてないはずですよね。書いてありましたか。単独親権と書いてありましたか。(千葉国務大臣「離婚の際に定めること」と呼ぶ)定めることとありますから、一方を定めることとありますから、書いてありますね。
 では、やはり、共同親権についての概念や、また文言を入れるとすれば、これは民法改正ということになりますから大きな議論が必要になる、私はこのようなことを今大臣がおっしゃったんだというふうに認識します。
 それの前におっしゃった、子との面接交渉に関するかかわりは、これは民法に盛り込むような話かな。そうすると、やはり民法の枠のちょっと外に置いて、これはむしろ議員立法になじむような案件なのではないかなと思っておりますし、私たち議員の中でも勉強会をしながら、先ほど申した棚瀬先生などから、こういう案はどうだろうかという提案も既にいただいております。
 大臣は、単独親権、これを、共同親権を盛り込むかどうか、民法にかかわる大きな改善点である、そういう認識を持っておられると思いますが、民法の中で共同親権を位置づけた方がよいのかという議論をすべきか、そして、面接交渉ができるようにということは民法の枠の外に置いて、これはそもそも、国民の代表である国会議員が意見を集約して議員立法としてやった方がいいのではないかと思っているのか、ちょっとこの辺の考え方をお聞きしたいと思います。

 

○千葉国務大臣 この法整備につきましては、これは当然、国会で、議員の皆さんの御議論の中で一定の方向をつくっていただくということも決して否定すべきものではないというふうに思っております。ただ、例えば共同親権というような形で民法を大きく改正するということになりますと、これは政府が責任を持ってそれに当たるということも大事だろうというふうに思いますので、これはさまざまな対応の仕方があるだろうというふうに思います。
 それから、面接交渉についても、これは法律の問題ではないというふうに、別な形で運用していくということも必要でありましょうし、あるいは、今明文はございませんけれども、離婚の際の、例えば財産を分与するとか、そういうものと同じように、面接交流についてきちっと離婚の際には取り決めなさいよ、こういうような条文を盛り込むということもあり得るのだろうというふうに思います。
 そういう意味では、これは形式とかそういうことに決してこだわることではなくて、まずは、子供の最善の権利、こういうものを保障するためにはいろいろな形で議論が進んでいくということが、そしてみんなが納得をしていくということが求められるのだろうというふうに私は思います。

 

○馳委員 私は、今大臣は重要な示唆を与えていただいたと思います。共同親権について、民法改正を視野に入れた議論が必要なのではないかということではないかと思います。それでよろしいですか。

 

○千葉国務大臣 もう少し正確に申しますと、共同親権ということをこれから方向を定めるのであるとすれば、やはり民法の大きな改といいましょうか、そういう形で行うことが筋ではないだろうか、こういうことを申し上げました。

共同親権民法の大きな改正。

 

○馳委員 今の段階ですから多くは語れないのかなと思いますが、とすれば、共同親権のあり方について、まさしく、法務省、政務三役のもとで研究会等を行った上で、法制審議会に諮問すべき、それにふさわしい問題点であると私は思っております。そのように理解してよろしいですか。

 

○千葉国務大臣 それは当然、議論をさせていただいて、やはり必要だなという方向になれば、法制審議会なり、また国会などにも皆さんの御意見をいただかなければいけないというふうに思っております。
 ただ、今御議論をさせていただいている民法の改正案という中でも、面接交渉については、離婚の原因、それを明確にすると同時に、面接交渉ということも法文上もう少しきちっと明確にしていこうということも検討させていただいておりますので、面接交渉、あるいはその先に共同親権という議論もまた進んでくるのかなというふうに思っておりますが、まだそこまでの段階に至っていないというのが実情でございます。

 

○馳委員 大変前向きな答弁をいただいたと思います。面接交渉、私は本当にこれは必要だと思っています。改めてこのことを強調して、では次の質問に移らせていただきます。