miwasan0216’s blog

愛する子供たちのために、理不尽さと闘う父。誰もが幸福な世の中になるために。

【第183回国会】参議院法務委員会 第9号 平成25年6月6日

参議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:前川清成 参議院議員民主党

     松山政司 法務副大臣

     明尾雅子 一般社団法人レフト・ビハインド・ペアレンツ・ジャパン代表理事

     磯崎仁彦 参議院議員自民党

     早川眞一郎 東京大学大学院 総合文化研究科 教授

     魚住裕一郎 参議院議員公明党

     真山勇一 参議院議員みんなの党

     井上哲士 参議院議員日本共産党

     吉田容子 弁護士 日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会特別委嘱委員

 

前川清成君 大臣は弁護士でもいらっしゃるのでそのような形式的なことをおっしゃると。例えば訴状で、私が民事訴訟法に被告の住所は書かなくてもいいって書いてあるんだと言って裁判所の窓口に持っていったら、岡さん、きっと、おまえあほかって言われますよね。やっぱり実際のこれからの手続を念頭にした議論をしていただいたらどうかと思いますし、民事訴訟だって、例えば公示送達のように相手方の住所が分からないようなケースも想定してやっているわけですから、全体としてのスキーム、私は大事じゃないかと思います。
 いずれにしても、ここまで五分ぐらいで終わるのかなと思っていたんですが、もう四十分過ぎてしまいましたので、早くメーンディッシュに行きたいと思うんですが。
 日本法は、離婚後、単独親権というふうに決めています、日本民法の御案内のとおり八百十九条ですが。世界的には離婚後も共同親権の国が多いのか、特に条約に加盟する主要国においてはどうなのか、これも明らかに通告をしておりますので、副大臣、お願いします。

副大臣松山政司君) 現在、ハーグ条約の締約国数でありますが、八十九か国でありますけれども、当省にて今現在把握しておりますのは八十八か国でございます。残り一か国については調査中でございますが、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリア等の主要国を含む七十四か国において、離婚後に両親が共同で親権を有することが認められる制度が採用をされております。

 

 

参考人(明尾雅子君) 一般社団法人レフト・ビハインド・ペアレンツ・ジャパン代表理事の明尾雅子と申します。
 私自身、元夫に七年前にカナダから息子を日本に連れ去られ、その後、団体を立ち上げました。私の団体は、主に海外から日本に子供を連れ去られた親たちが子供に会えるようにサポートする活動を長年行ってきました。国会議員の先生方、日本が世界から子供拉致帝国又はブラックホールという不名誉な呼ばれ方をされている事実を御存じでしょうか。
 資料一を御覧ください。私たちが活動を通じて分かったこと、すなわち行政、司法が異常なまでに親子の引き離しを行っている実態について、まずお話ししたいと思います。
 子供を連れ去られた別居親が子供に会おうとしても、日本の警察が不当に介入して会えなくなるケースが多くあります。ここでは二つの例を紹介いたします。
 最初の例は、フランス人の父親が娘の誕生日にプレゼントを渡すため、わざわざフランスから日本を訪れたケースです。娘の家を訪れてドアホンを押したところ、たった五分で埼玉県警の六台のパトカーがやってきて、十人の警察官で父親は取り囲まれました。このため、娘に会うことはもちろん、プレゼントを渡すことすらできなくなりました。もちろん、父親は一切違法なことはやっておりません。
 もう一つは、日本人のケースです。父親は親権者であり、家庭裁判所の審判に従い、家庭裁判所調査官の天下り機関であるFPICの立会いで子供と面会していたところ、母親の虚偽の通報を真に受けてやってきた五人の警察官に子供の面前で拘束され、警察署に連行されるということが今年一月に起こりました。もちろん彼は違法なことは一切やっていないため直ちに釈放されましたが、愛する父親が警察官に連行される姿を面前で見せ付けられた子供には一生消えない心の傷を残したと思います。少しでも子供の気持ちを察すれば、全く非のない父親を子供の面前で捕まえることなどできなかったはずです。
 この父親は元々単独で三歳の息子を育てていたのですが、別居中の母親によって通っていた保育園から子供を誘拐されました。連れ去った者勝ちのルール、すなわち継続性の原則により、家庭裁判所は子供の父親への返還を認めませんでした。しかも、彼が子供との面会交流の審判を勝ち取るまで、連れ去られてから一年九か月も掛かったのです。審判内容は、親権者でありながら月一回二時間、第三者機関の立会いでというものです。
 別居親が面会交流を家庭裁判所に申し立てても、そのうち審判で実際に面会交流で認められるのは僅かに半分です。また、審判で認められても、面会時間が一か月に一回二時間程度というのが標準的なものだと言われています。これは、子供の生活時間の僅か〇・三%にしかすぎません。欧米諸国では離婚後も子供が父母の間を行き来しながら半分ずつ暮らすのを原則とするのと対比すると、日本の家庭裁判所は親子の分離を前提に運用しているとしか考えられません。警察署に面会交流を妨害された父親は、子供に会うためには再びゼロから家庭裁判所での調停を始めなければなりません。それも守られる保証もないのです。
 子供との面会を妨害するのは警察だけではありません。学校や保育園も同様です。学校の行事に参加しようとしても、子供を連れ去った同居親が参加に反対すると、親権者であっても行事に参加できないのが通常です。校長先生が敷地から出ていけと言うのです。また、子供の情報の開示を教育委員会に求めても、子供の情報は開示されません。
 資料の二ページを御覧ください。これは、私が親権者として子供の情報開示を求めた結果があります。ほとんどの事項が黒塗りされているのが分かるかと思います。信じられないかもしれませんが、連れ去りされると親権者であっても子供の情報からも遮断されてしまうのです。
 そして、行政による親子の引き離しの最たるものがでっち上げDVです。これは、警察に自分はDVの被害を受けたと相談すれば、警察はDVが本当にあったのかなかったのかを一切調べることなく子供の場所を隠してくれる制度があります。住民票の秘匿から始まって、子供の連れ去り親に生活保護費の支給、住居の世話、あるいは健康保険の加入など、一切の面倒を見てくれます。子供も保育園に確実に入れます。しかし、恐ろしいことに、子供は偽名を強要されることもあります。連れ去りをする親は子供を自分の持ち物と勘違いした身勝手な親だと思いますが、平気で偽名を強要するという虐待行為までもやってのけるのです。
 ところで、DV防止法のどこを見ても住民票を隠してよいなどとは書かれていません。住民基本台帳法では、本当にDVをしている親でもなければ、親が子供の居場所を捜すため住民票を取得する正当な理由があります。それを総務省局長らの通達だけで不可能としているのです。そのほかの支援措置も通達だけで行われています。オウム真理教の逃亡犯がこの支援制度を悪用して健康保険に偽名で加入していたことは記憶に新しいところです。
 最大の問題は、自称DV被害者が支援措置の申出を取り下げない限り永遠に支援措置が続けられるということです。
 裁判を通じてDVがなかったことが明らかになった親も多くいます。しかし、これらの場合でも子供の居どころは秘匿にされたままです。通達だけでなされたこれらの支援措置を解除する方法が全くないのです。現場の警察官の中には、でっち上げDVだと分かっていても上からの命令なのでせっせと親子の引き離しに加担させられているとはっきりおっしゃる方もいらっしゃいます。これは明らかな欠陥制度であり、直ちに改善していただくことを強く求めたいと思います。
 ところで、海外から日本に子供を連れ去った母親は必ずと言っていいほど夫のDVを主張しますが、海外のDV防止法は極めて厳格に運用されており、被害者は徹底的に保護されます。仮に夫から暴力を受けたのであれば、警察はDVがあったことを確認し、DVをした夫を拘束し、保護命令を出します。二十四時間体制で対応してくれます。また、DVシェルターも充実しています。したがって、仮にDVを受けたのなら現地でDV保護措置を受ければいいだけで、子供を連れて日本に逃げてくる必要はないのです。これは私がカナダでDVシェルターに入った経験からはっきり言えることです。
 最後の資料なんですけれども、最後じゃないですね、四番目ですね。これは、私がDVシェルターに入ったときに、英語のまず一ページ目、その次に訳したものが載っております。最後の方ですね。
 実際、アメリカ政府は、アメリカから日本に連れ去られたケースでDVは確認されていないと明言しています。DVに対しては、海外の制度のように加害者を拘束しないと根本的に解決しないのです。これに対して日本のDVの支援措置は、子供を連れ去るためのあらゆる支援を行うという制度となっており、かつ通達だけで曖昧な運用が行われているため、連れ去り親にとって、自称被害者を名のっただけで悪用が容易な制度となっていることを是非御理解いただきたいと思います。
 これまでの衆議院における審議を見ておりますと、日本は、最初の子供の連れ去りは不問にされるが、連れ戻すと逮捕される。そして、家庭裁判所はほぼ例外なく連れ去った方に親権を与えるということは明らかにされたと思います。それだけで止まらず、私が今述べたように、海外から連れ去られようが日本国内で連れ去られようが、一度連れ去られると日本の行政や司法が我が子に接触することを妨害してきます。そして、でっち上げDVのように、子供の連れ去りを正当化し、子供たちを隠す制度まで用意しているのです。残念ながら、国家ぐるみで子供の拉致を行っていると言われても仕方がないように思われます。私は、衆議院での審議では、日本に連れ去られた子供を返還させるかどうかの議論に終始し、肝心な点が議論されてこなかったことを残念に思います。
 ハーグ条約国内実施法について、これまで議論されてこなかった二つの論点について次に述べたいと思います。
 第一は、日本から海外に子供を連れ去られたケースです。
 最近は日本から子供を連れ去られるケースも徐々に増え、海外から日本に連れ去られるケースに匹敵するぐらいの数になっています。実は、この場合、連れ去られた親にとって最も過酷な運命が待ち受けているのです。
 イギリス人の夫に子供をイギリスに連れ去られた母親のケースをお話しします。このケースでは、イギリスの裁判所は、ハーグ条約の考え方に沿って子供を日本に返還するように命じました。その結果、日本の家庭裁判所で子供の親権などが争われることになったわけです。しかし、裁判所は、母親が求める面会交流の申出を既に却下し、間もなく母親から親権を奪い、養育費だけを支払わせるという決定を下そうとしています。その結果はお分かりかと思いますが、母親は養育費を払い続け、無権利者となった母親は子供と永遠に会えなくなることを意味します。イギリスにとどまっていれば共同親権ですので、母親と子供が引き離されることはなかったのです。
 こういう事態となったのは、日本が離婚後、単独親権制度を取ることと、同制度を背景に、連れ去った者勝ちの判断をする家庭裁判所の運用があることが原因です。ハーグ条約の加盟と共同親権とはまさに車の両輪であり、一方が欠けると、このケースのように親子の引き離しが必然的に起こってしまうのです。
 ちなみに、日本の家庭裁判所における母親の代理人は法制審議会で国内実施法の起草にもかかわっています。その弁護士は、この母親が過酷な状況に置かれているにもかかわらず弁護士として何もできることはないこと見ても、いかに法制審議会で議論がされていないかとよく分かります。
 第二は、ハーグ条約では子供と接触する権利、すなわち面接交流権が権利として保障されていることです。
 ハーグ条約第二十一条を資料として入れています。資料の三ページを御覧ください。同条第二項では、「中央当局は、接触の権利の行使に対するあらゆる障害を可能な限り除去するための措置をとる。」と書かれています。国内実施法では子供と接触する権利の保障に関する規定が完全に欠落していると考えます。先ほど述べたとおり、日本では、面会交流できるかは家庭裁判所の運用に委ねられ、権利として保障されているわけではありません。また、中央当局である外務省には面会交流の妨害を除去する権限は与えられていません。むしろ、警察を始めとする諸機関が面会交流を妨害している実態もさきにお話ししたとおりです。
 ハーグ条約に加盟しても子の連れ戻しに関する規定が過去に遡及しない以上、既に子供を連れ去られた親にとって子供と接触する権利が唯一かつ重要な権利です。それゆえ、子供と接触する権利を曖昧なまま置いておくのではなく、法律に権利として明確化し、それが妨害されたときの救済措置、すなわち実効性の付与を強く定めておく必要があるはずです。
 日本も一九九四年に批准している児童の権利に関する条約では、子供が双方の親から分離されないことや、離れて暮らしている親子が定期的に直接に接触する権利を尊重することが定められていますが、私は全くと言っていいほど守られていないと思います。ハーグ条約の加盟以前に、児童の権利に関する条約に沿った家族法の改正と司法、行政機関の適正な運営を確保することこそがまず求められます。
 現在の日本では、社会の最も基本的単位である家族が司法、行政機関により解体させられている現場を、私たちの団体ではその活動を通じて見てまいりました。司法、行政機関が児童の権利に関する条約に規定されているような子供の利益を無視した誤った運用をしているとしたら、それを正すことができるのは法律だけであり、その意味で立法府の役割は極めて重要と考えます。
 先日、アメリカ議会下院の公聴会で、日本のハーグ条約の実効性に疑念の声が強く出され、議員から日本への制裁措置の適用を求める声もあったと聞いています。このような事態の背景の根源は、家庭裁判所の運用に委ねられることによって日本の親権制度が曖昧なままに放置されていることがあるとともに、共同親権制度、すなわち、いつまでも子供が両親により等しく育てられ、親がいつまでも我が子を育てる権利が明確に保障されていなかったことにあると思います。
 最後になりますが、本当に国会議員の皆様が日本の将来を考えておられるのなら、日本の将来をつくる子供たちの利益のために親子が引き離されることのないような親権制度に改めることを強く求めますとともに、これらのことを国会決議を通じて明確に意思表示をしていただくことを強く要望して、私の意見陳述を終わりたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。

⇒明尾雅子氏の指摘は注目に値する。この指摘(子の連れ去り、面会交流の少なさ、学校園での別居親差別、虚偽DV)は現在もなお続いている社会問題である。数年前に亡くなられたことが残念。

 

○磯崎仁彦君 それからもう一点、恐らくいろんな日本の家族法も国際的な法にさらされてというお話があって、その中で、最後に明尾参考人ハーグと共同親権は車の両輪というお話がありました。
 早川参考人、例えば、これからこのハーグ条約、実際に運用されていく中で、日本の進むべき方向といいますか、それにつきまして、例えば共同親権ということも念頭に入れたそういう方向に向かっていった方がいいのか、それとも日本の今離婚後の単独親権ということも、これはもう全く別次元の話であって、何といいますか、ハーグが実際に運用されていく中でも、グローバルな中でも親権の在り方というのは、これは日本の独自の考え方として考えていくべきなのか、その共同親権の在り方、そっちの方向ということについてはどのようにお考えでございましょうか。

参考人(早川眞一郎君) 御質問ありがとうございます。それは大変難しい問題で、鋭い御質問だと思います。
 ハーグの条約に入ってこれをきちんと履行していく上では特に共同親権が必要というわけではないと、これは多分皆さん意見一致しているところだと思います。ただ、何といいますか、その背後にある考え方としては、子供は親が別れても両方の両親と接触を持ってやっていくのが正しいということでございますので、どちらかというと共同親権、実質法的には共同親権と整合性が強い、考え方としては整合性が強いんではないかと、ハーグ条約は、と思っております。
 しかし、そのことだけで日本の共同親権をどうすべきかということを決めるわけにはもちろんいきません。したがって、それはほかの要素も考えつつ慎重に検討していく必要があるだろうと思います。
 ただ、世界の潮流としては共同親権の方向へ動いていますので、やがては日本もそうなっていくのではないかというふうに個人的には予想しております。

共同親権は「世界の潮流」

 

○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
 次に、明尾参考人にお願いをしたいと思いますが、先ほどハーグと共同親権は両輪だという話があったわけでございますが、今朝の外務省の答弁では、ハーグ加盟国八十九か国、そのうち一か国は調査中でございますが、八十八か国中七十四か国、アメリカは州によって変わるようでございますが、イギリスもドイツもフランスも共同親権だということのようでございまして、だんだん、このハーグによって国内手続の課題が世界にさらされるという意見もあったわけでございますが、そういうことでそういう方向性に行くんだろうなと、共同親権の方向に行くんだろうなというふうに私も思っているわけでございますが。
 取りあえず、今日は参考人が経験された中での御意見をお聞きしたいと思いますが、日本に子を連れ去られた外国人の親の支援を行っているわけでございますが、現在、未締結ということ以外に、外国人の親が日本の対応に不満を抱いているということはどういうことがあるのか。また、締結をした後も望まれる支援というものはどういうものがあるのか、御教示いただきたいと思います。

参考人(明尾雅子君) まず、アメリカからは非常に批判を受けております。というものは、まず、アメリカから日本に連れ去られた子供に関して、今までアメリカに連れ戻されたケースは一件もないということです。さらに、ここで問題になるのは、あとは、要は、連れ去られた後に捜そうと思っても、子供も奥さんにしても、配偶者の行方も分からなくなってしまうという事態が起こっております。ましてや、戸籍制度がありまして、戸籍は漢字ですので、アメリカ人なりなんなり英語の人たちが戸籍を入手するということも不可能に近いですし、そういうところにやはり不満がありまして、さらに、まず面会すらできないと、子供の居所も分からないと、そういう批判を外国から受けているのが現状ですね。
 そして、そこで障害となるのは、日本が単独親権制度を取っているということがやはりアメリカから、ほかの国から、ほかはほとんど共同親権ですので、そこが更に非常に温度差があるということになります。

 

 

真山勇一君 みんなの党真山勇一です。よろしくお願いいたします。
 参考人の皆様、本当に長時間でお疲れでございますけれども、よろしくお願いいたします。
 私、四人の方にお伺いしたいんですが、まず早川参考人から伺いたいと思います。
 先ほどもちょっと出ましたけれども、監護権、親権の話を伺いたいと思うんですけれども、早川参考人ハーグ条約の部会などにも参加されていて大変多角的に広いところからいろんなことを検討されているというふうに思います。私は、今回のハーグ条約の中で、国内実施法で問題になってくるのは、一つは子の監護権、親権の問題と、それからもう一つはやっぱりDVをどうするかという辺りが一番大きな問題、いろいろあるけれども、ここら辺が大きいかなというふうに思っています。
 早川参考人にお伺いしたいのは、例えば、先ほど監護権のことが出まして、日本は今単独親権ですけれども、共同親権の方になっていくだろうと予想されるということをおっしゃいましたけれども、例えば、外国なんかも見ても共同親権になったということはごくごく最近というふうに私伺っておりますが、やはり子供はどっちかの親のところにいるという方が昔は多かったということで、海外の国々も、やはり以前はかなり単独親権ということだったのが、ハーグ条約というのは三十三年前ですけれども、その辺りから徐々に共同親権になったというように伺っているんですが、外国がこういうふうにやはり単独親権から共同親権へ移ってきた。日本はやはり、今の時点でいろいろな政府の答弁聞いていますと、なかなか単独親権捨て難いと、そう簡単に共同親権には行かれないというまだ雰囲気が強いんですが。
 海外がどうやって単独から共同に移行するふうなこと、その過程で何かいろんな大変なことがあったのかどうかということと、日本がそれから学ぶべき、いずれやはり、早川参考人がおっしゃっているように、グローバルスタンダードでいえば単独親権から共同親権に移っていくのかなと、私もそんな気がしているので、移るに当たっての例えば何か障害とか、どういう辺りがなくなれば日本もできるかという、そういう早川参考人の御意見を伺いたいと思います。

参考人(早川眞一郎君) 御質問ありがとうございました。大変難しい問題できちんとお答えできないと思いますけれども、感想だけちょっと申し述べたいと思います。
 外国も、おっしゃったようにそれほど昔ではないんですね、比較的新しくて。なぜそうなったかというのは、これもまたいろんな議論があるところかと思いますけれども、やはり社会の情勢で、例えば男女のジェンダーの問題が背景にあり、それからやはり子供についての、子供の権利といいますか、あるいは児童心理といいますか、子供にとって何がいいのかということについての知見の変化といいますか発達があり、いろんな要素が絡まってこういうことになったんだろうというふうに思います。
 それで、日本と外国との違いの一つ、そう重要な違いではないかもしれませんけれども、例えば親権をもらえなかった父親、単独親権のときに親権をもらえなかった、まあ父親がもらえないことが多い、母親が単独親権になる場合が多いわけなんですけれども、父親たちの活動といいますか、父親たちが、自分たちも別れた後も子供と会い、あるいは子供と暮らしたいんだということを言う圧力団体が、日本にももちろんあるんですけれども、外国はそれが非常に強かったというふうに聞いております。なぜそれが強かったのかはまたちょっと難しい問題で、さらに、私はよく分かりませんけれども、そういうようにいろんな社会情勢があり、それで一気に変わってきたということだろうと思います。
 日本でどうなるかは予測は全く私には付きません。なかなか法はすぐには、一朝一夕には変わらないもので、各国の文化を背景にしておりますのでそう簡単には変わらないだろうと思うんですけれども、今回のハーグ条約で、先ほど申しましたけれども、言わば世界との家族法分野での交流というのはかなり強まりますので、そこでいろいろな海外の知見、刺激というのが入ってきて徐々に日本の中の意識も変わってくるのではないかという気が、やや希望的観測ではありますけれども、しております。
 したがって、私が生きている間かどうかは分かりませんけれども、そのうちには共同親権への動きというものが出てくるのではないかなというふうに期待しているところでございます。お答えになっていなくて申し訳ありませんけれども。

 

真山勇一君 ありがとうございました。
 最後に、明尾参考人にお伺いしたいんですが、もうまさに明尾参考人は、今いろいろなことを例を挙げて述べていただきましたけれども、レフト・ビハインド・ペアレントというのは、これ要するに置き去りにされてしまった親という、そういう意味だそうですね。その団体の今お仕事をされているということなんですが、明尾さんには、ですから、実際にそのまさに渦中の人なわけですね。
 伺うところによると、お子さんに会えないという状態というふうに伺っていますので、実際の当事者としてのその辺の、なぜそういうことになってしまったのか、御自分がという話、もちろんプライバシーの問題がありますのでお聞かせいただけるところで結構です。そういう話と、それから、御自分のケースの中で特にやはりこれだけは訴えたいということがありましたら、それをお話ししていただければと思います。

参考人(明尾雅子君) まず、私から、今思い起こせば、当時はハーグ条約という言葉も、七年前でしたので私自身も分かっていませんでした。元夫は無断で子供をカナダから日本に連れ去ったんですけれども、そのときも意味が分からなかったんですね。なぜ、子供が十一歳までカナダの学校に行って、カナダが好きだと言った子供を日本に連れ去ってしまったのか、それがどうしても不可解だったんですけれども、今ハーグ条約で問題になっていることで初めて分かったことは、日本の司法が要は彼にとって有利だったということですね。
 それは今、皆さん、私の周りにもいるんですけれども、まず連れ去った者が勝ちということです。それが母親でも、おなかを痛めた子供でも、連れ去った方に親権が行きますし、たとえ私が子供に会おうとしても、会わせてくださいと。ましてや、日本の今の面会交流の、今日述べましたように、実際に会えている人は半分以下ですね、お子さんに会えているのは。それで、会えるのは月一回二時間程度というのが現状です。私が今思うのは、それを知った上で元夫が日本に連れ去ったというふうに考えております。
 私としては、最後に国会議決を求めるのは、まず、でっち上げDV、それをやめていただきたい。なぜかといいますと、何の証拠もなくDVがありましたというふうに言うと、そこでまずDVが要は承認されてしまうんですね。承認されてしまったDVというのは、今度その解除の仕方がないんですね。それもずっと更新されるので、それが例えば裁判所で幾らDVがなかったというふうに証明されても、それはDVの措置をした本人がDVはこれはなかったということを認めない限り解除のしようがないということです。まずそれを国会議員の方にもお知らせしたいということと、あともう一つ、やはり今、子供を連れ去った者勝ちですね。一回連れ去る、例えば奥さんが実家に戻るということはそれは許されることですけれども、その奥さんから今度連れ戻すといったときには警察に逮捕されるというのが実情です。そして、面会交流に関しての強制化を求めます。そして共同親権。この四つを私から国会議決を求めるということで、終わらせていただきます。

 

井上哲士君 ありがとうございます。
 もう一点、吉田参考人にお聞きしますけれども、先ほど来ハーグ条約共同親権のことが話題になっておりますけれども、この点は吉田参考人、どのようにお考えでしょうか。

参考人(吉田容子君) ハーグ条約は御承知のとおり、不法な連れ去り又は留置があった場合に子を返還する、それによって国際裁判管轄を常居所地国に確保するという、そういう手続の条約であります。したがって、親子法制の在り方は本来、各締約国に委ねられていることで、別問題だというふうに思っています。
 日本で昨今、共同親権あるいは共同監護という議論があることは承知しておりますけれども、まず親権という言葉がありますけれども、オヤケンと書きますよね。だけど、今の民法の普通の教科書を見ますと、あれは親にとっては権利であり、むしろ義務である、義務の方の側面が強いんだよと、あるいは義務、責任といいますけれども、ということもありますし、その中身もどうなんだという議論がされています。だから、まず共同、共同という前に、まずその親責任、私は責任だと思いますけれども、そういうところを見据えてきちんと考えるべきなのかと思います。そういう意味でいきますと、今、共同親権あるいは共同監護という言葉、いろいろ言われていますけれども、その内容が使う人によって様々であって、はっきりしていないような気がします。
 それから、諸外国は共同親権だというふうなお話もありますけれども、これもいろいろ制度が様々ですし、それから、一回そういう制度をつくってみたけどちょっと具合が悪いなということで見直しをしている国も既にございます。
 さらに、弁護士の間でも賛成意見と反対意見、様々あります。
 それから、更に言えば、結局、係争案件、つまり裁判手続によって、つまり、法律の規定に従わなければ自分たちの離婚もなかなか決められない、そういう父母を想定せざるを得ないんですが、そのような方たちが子供の養育監護についてだけ協力し合えるのかというのは、私ども実務家の感覚としてはなかなか難しいと思います。とりわけ今日お話ししたようなDV案件はたくさんありますので、そういう場合には居所すらなかなか知られたら不安で仕方がないということになりますので、共同で監護するのは大変難しいと思います。
 ですから、法制度を論じるときに私は思うんですが、ある意味では理想論かもしれないんですが、理想論だけで論じるのはちょっとどうなのかなと、実際の法律の適用の結果、何が起こるのかということを具体的に想定、想像して、その上で慎重に考えるべきだというふうに思います。
 以上です。

⇒この時はすでに方針転換していたのですね。