miwasan0216’s blog

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木村草太氏の主張に、単独親権制度の限界も見えた

 2016年の平和安全法制が議論されている時から、メディアに登場し、若き憲法学者として名を馳せた、東京都立大学法学部教授の木村草太氏が、本年9月23日の東京新聞に「単独親権でも交流可能」と題した、提言を発表した。

令和4年9月23日 東京新聞

 御存知の通り、木村草太氏は、共同親権反対論者の急先鋒として、SNSにおいても、推進派と喧々諤々の議論を続けている。しかしながら、今回の提言を読み、改めて、木村氏は、子供の視点ではなく、夫婦の視点だけで見ているが故に、単独親権制度の弊害を理解していないことがよくわかった。


【1】子に会えないケースには、①本人が手続きをしていない、②裁判所が子の利益にならないと判断、③面会交流命令が履行されていないの三パターンがあり得る。いずれも親権の問題ではない。

共同親権になれば、「子に会えない」というケースはなくなる。本来は、夫婦間の事件における仲裁機関の役割を果たすべき家庭裁判所が、現在、その役割を果たしていない。それは利用した当事者から多くの声が上がっていることでわかる。また、親権を獲得した同居親の意向により、面会頻度も変わることが多い。


【2】共同親権を取り入れている海外の考え方から大きくずれているわけではない。

これもエビデンスが提示されていないので、客観的合理的な説明になっていない。世界においては、共同親権が主流であり、両親が離婚しても、親として子供に対する責務と子どもの利益を第一に考えている。それは、日本も批准した「子どもの権利条約」や「ハーグ条約」にも記載されている。また、世界各国から日本は、「拉致大国」と言われ、外交問題にまで発展している現状も認識されたい。


【3】両親に積極的で真摯な合意がない場合にまで強制的に共同親権を継続する制度になれば、子の利益を害する。

共同親権は、子どもの利益を守るために制度化するものである。子どもにとっては、パパもママも好きである。「両親に積極的で真摯な合意がない場合」とあるが、双方の高葛藤状態を下げるために、それを子どもの視点に立って考える必要がある。それが親の責務である。


【4】共同親権の弊害の例として、「別居親が子育てに無関心になり音信不通となった結果」云々。

「別居親が子育てに無関心になり音信不通となった結果」とあるが、これもエビデンスが提示されていないので、客観的合理的な説明になっていない。そもそも、同居親による「親子断絶」問題の深刻さが増している。同居親から別居親に対して、養育費の請求を求められるが、子どもとの面会は履行されない。これでは別居親も子育てに無関心にならざるを得ず、結果的に子どもの利益を害することになる。これは共同親権の弊害ではなく、現在の単独親権化で起こっている問題であるから、単独親権の弊害である。


【5】DVや虐待が立証されなかったとしても、相互に話し合える信頼関係のない場合、子についての決定がスムーズにできない。

DVや虐待がある場合は、例外として単独親権を認めることで良い。かねてから、共同親権推進派はそのように主張している。また、「相互に話し合える信頼関係のない場合」とあるが、信頼関係があれば、そもそも離婚はしない。信頼関係がないから、夫婦関係を解消する。ただし、子どもの成長には、親の責任としてしっかり関わることを義務化することで、子どもの貧困が解消される。そのためには、家族のためのADRセンターが提供している「離婚前後の親支援講座」の取り組みが必要になるだろう。


【6】「住み慣れた家を子連れで離れる選択には、共同生活を続けられない重大な問題がある場合がほとんど。その原因を自省し、信頼関係を回復しようという気持ちに向かう支援の枠組みが必要だ」

「共同生活を続けられない重大な問題がある場合がほとんど」について、エビデンスが提示されていないので、客観的合理的な説明になっていない。また、「子の連れ去り」が警察庁においても、未成年者略取誘拐罪に適用される現在、それを容認する発言は、憲法学者として失当である。


 以上、反対論者の急先鋒が、この程度の理屈しか述べられない点を見ると、もはや単独親権制度の限界も見えたと言えるだろう。木村氏も、実際に、「子の連れ去り被害」や「離婚事件」を経験しないと、実感としてわかないため、理解できないであろう。いくら頭で、机上で考えても、当事者に寄り添う姿勢がなければ、本質は見えてこない。