miwasan0216’s blog

愛する子供たちのために、理不尽さと闘う父。誰もが幸福な世の中になるために。

【第156回国会】衆議院法務委員会 第33号 平成15年7月18日

衆議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:榊原富士子弁護士(さかきばら法律事務所)

 

○榊原参考人 弁護士の榊原と申します。どうぞよろしくお願いします。
 結論から申し上げると、私はきょうは、別姓、選択的別姓、あるいは家裁許可制というのもあるようですが、その案に賛成の立場で話させていただきます。
 今、森先生のお話を横で伺っておりました。私は、仕事は弁護士ですが、離婚を専門にしております。ですから、ふだん、崩壊した家庭あるいは崩壊しつつある家庭の相談に毎日かかわっております。また、中には、崩壊して裁判になりながらもう一度やり直す家庭というのも横でサポートしてきております。そういう実態を見ておりますと、家庭が崩壊するかどうかということと、同姓夫婦であるか別姓夫婦であるかということは、全く関係がないと断言したいと思います。
 この議論については、かねてから賛成、反対いろいろあって、同じ日本に私たちは住んでいながら、また近いところに住んでいながら、まるで水と油のような議論であるというふうに感じています。
 しかし、この法改正の前から別姓を実践している人、通称使用という形あるいは結婚届をしばらくおくらせるというような形で別姓を実現している人が、特に東京は都会ですからもうたくさんいらっしゃいます。もし別姓ができるとどうなるのかということについて、子供は一体どうなるのか、日本はどうなるのかということについて不安を持っている方がいらっしゃったら、私はたくさん家庭を紹介しますので、その家庭に行って半日でも数時間でも一緒に団らんしていただいて、子供の意見を聞き、どんなふうに接しているのかを、現実をぜひ皆さんに見ていただきたい。ほんの数時間のことで結構です。本当に子供は不幸なのか、家庭の中で引き裂かれるような思いをして生活しているのかどうかが十分わかっていただけるのではないかと思います。
 私は、十数年前に、国立大学の先生が数十年使ってきた姓を転勤したために急に使えなくなったというケースで、自分の大学を相手取って、通称を使わせてほしいという裁判に携わったことがあります。これは九八年に東京高裁で和解をしまして、すみ分けをしまして、ここは戸籍姓、ここは両姓併記、ここは通称で、こういうふうにルールをつくりました。その際に裁判長が、今後も、両姓併記という形ではなくて、それがなるべく通称だけで済むように国は努力をしてほしいとおっしゃり、そして、大学の方はそれを真摯に受けとめますという形で終わりました。
 その後五年たちますが、大変急速な進展を見せまして、通称使用できる幅は広がりました。それから、行政の方の努力のおかげで、自治体だとか国家公務員の方はかなり広く通称を使えるようになりました。
 しかし、それでも、しょせん通称は通称でありまして、日々二つの名前を使い分けるという煩わしさは解消されていません。一つ一つのことは小さいかもしれない。例えば、保険証が戸籍上の姓で、病院に行くと、戸籍姓で何々さんと呼ばれて、待っていたんだけれども自分の姓として気づかなかったとか、あるいは、パスポートに通称の記載がないために、外国に行ってホテルに泊まったときに、そこに訪ねてきた外国の友達が、戸籍上の姓でチェックインされているので部屋がわからなかったとか、そういったことの積み重ねです。一つ一つは小さいのかもしれないんですが、その人にとっては人生の毎日毎日の日常生活の中でそれを繰り返し繰り返し経験しているわけで大変煩わしい。どうしてこういう不便を解消できないんだろうかといら立ちを感じているわけです。
 もう一つは、こうして通称使用をしようとする方たちは、結婚届を出して結婚したいという方たちです。結婚届を出さなくてもいいという方はこういう不便を感じないわけです。そういう意味で、今社会の流れは、女性が自立するということはとめられません、またこれからも拡大していくと思いますので、夫婦別姓の法改正を進めるということは、むしろ結婚制度を守る、結婚離れを食いとめる。そして、姓のために入り口で折り合えずに結婚しなかった、できなかった、両家の反対に遭ったという方もいるわけですから、少しでも結婚しやすく、そして仕事と家庭を両立できる制度をつくるということであって、私は、ひいては少子化の問題にもつながっていくのではないかと思います。

⇒今では「通称」使用は、違和感ない。当然というか、普通になっている。

夫婦別姓の実現は、結婚の推進、両立、少子化問題につながる。

 

本当に家庭の充実を図っていただけるのであれば、現場にいる者としては、例えば暴力を振るう夫の問題について、離婚まで至るような段階よりもっと前に、家庭裁判所という離婚を扱うようなところではなくて、ふだんからカウンセリングをして両者の間に入って加害者が立ち直るようなプログラムをつくるような機関をつくって、崩れかかっている夫婦をもとに戻すようなプログラムをつくる。あるいは、先ほど親権のお話がありましたが、離婚後、単独親権という制度なわけですが、このことのために養育費を払ってもらえない子供が八〇%おり、また半数以上の子供がお父さんと面会できない、こういう状況にあるわけですから、もし別れた後にも両方が共同親権でケースによっては協力し合えるような制度をつくるとか、もっといろいろ家庭を、あるいは崩壊した後の家庭を支えて、子供のためにするべき具体的なことというのがたくさんあると思います。それを優先していただきたいと思います。

家庭内暴力に限らず、崩れかかっている夫婦をもとに戻す機関はほしい。家庭裁判所は離婚を前提とした話し合いしかしない。調整能力はない。

⇒「養育費不払い」や「親子断絶」を解消するためにも、「共同親権」が必要だと言っている。

この七月の初めに国連の女性差別撤廃委員会がニューヨークで開かれまして、以前から別姓の法改正を行うと日本政府は約束しているんだけれども実現していないではないかという委員会での追及がありました。日本政府の代表者は、そのコメントを真摯に受けとめて今後の男女共同参画に役立てるという、少し苦しい答弁なんですが、答えておられたようです。そうした流れの中にあるこの法案、待ち続けておりますので、ぜひ実現をお願いしたい。
 そして、夫婦別姓というのは、まだ近くで見たことがない方にはとても違和感のあるものかもしれませんけれども、少し知り合って話をして友人になれば、ごく平凡な、いろいろな方がいらっしゃる、愛情があって、子供を育てている人はたくさんいるんだということをわかっていただけるのではないかと思います。
 そうした形を許容するような社会であり、そして、少し不都合があれば、迅速に修正して制度疲労を直していけるような日本であってほしいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

夫婦別姓問題も国連から指摘されていることを知る。