miwasan0216’s blog

愛する子供たちのために、理不尽さと闘う父。誰もが幸福な世の中になるために。

【第177回国会】衆議院内閣委員会 第11号 平成23年5月20日

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。今回はハーグ条約の締結が中心です。

 

 登場人物:高木美智代 衆議院議員公明党

      福山哲郎 内閣官房副長官

 

○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。
 きょうは、福山副長官にお越しいただきました。ありがとうございます。
 私は、PFI法の審議に入ります前に、まず、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約、いわゆるハーグ条約につきまして伺わせていただきたいと思います。
 実は、このハーグ条約を懸念する声は強いものがあります。政府は、ハーグ条約を締結する方針を固めて、本日、閣議了解の手続を終えられたと聞いております。この中では、これから国内法を整備する、その上で条約を締結するという、一見手順を踏んでいるような話でございますけれども、私は、順番が逆ではないかと思っております。
 本来であれば、国内法をまず整備し、特に連れ去り親と言われる日本人女性につきましては、ほとんどがDV被害者という状況がありますので、その当事者の方たちがきちんと守られるのか。日本と諸外国と、共同親権であるとか、かなりの制度の違いもあります。その中で日本はどのようにしていくのか。そうしたことを提示した上で、もしくは方向性をはっきりさせた上で締結に向けての方針を決めるべきではないかと考えております。
 報道の中でも、米国等の諸外国の外圧に屈して政府がハーグ条約を締結する方針を決めるのはおかしい、こういう話もあり、また、そうした声明も私のところにも多く届いております。
 G8でアピールするために、特にフランス、アメリカにつきましては、日本に早期の締結を求めて、強い圧力といいますか要請をされていたということは周知の事実でございまして、日本における十分な国民的議論を尽くすことなく早急に条約の締結を決めるというのは問題ではないかと思っております。慎重な議論を求める声が大きかったのではないかと思います。副長官の答弁を求めます。


○福山内閣官房副長官 高木委員にお答えをさせていただきます。
 御指摘のとおり、いろいろな声があることは私も承知をいたしております。また、私もいろいろな方から、この議論を始める前からお話を承っておりました。もちろん、反対の方、それから賛成の方、子供をやむなく、いろいろな事情で、国際結婚したけれども国内に一緒に帰国をされた方、逆に言えば、日本で結婚していたけれども、自分の子供を海外に連れ去られた方、多くの方々がいらっしゃるので、課題は多いと思っております。
 そういった面でいえば、やはり一番重要に考えなければいけないのは子の福祉だというふうに私は思っておりますので、子の福祉を最優先するという考え方のもとで、七回にわたって副大臣会議を開催し、真剣に検討させていただきました。基本的には、もともと加盟ありきとか、もともと加盟をしないとかということではなくて、ニュートラルな状況で今の国内の情勢や実態を把握したいと思って副大臣会議を開催させていただきました。
 その結果、賛成の方、反対の方、それから日弁連の皆さん等のお話も承りながら、政府としては、ハーグ条約を締結していこうという方針のもとで必要な法案作成作業を進めることで意思統一が図られたところでございます。
 本件については、国内でも大きな関心が寄せられているところでございますし、これまでの検討を踏まえて、この段階では、政府としては、方向性を閣議了解という形で示させていただくことになりました。アメリカの外圧に屈したとかということではございません。しっかりと我々自身の判断として考えさせていただいた、きょうの閣議了解に至ったということでございます。

ハーグ条約締結時に「共同親権」を導入すべきだったのでは?現在、国連のみならず、司法からも条約と国内法の整合性を指摘されている。

 

○高木(美)委員 私が条約締結ありきと申し上げましたが、国内担保法に関する十分な検討が国民に公開されていません。副大臣会合で検討されたとおっしゃいますが、それについては非公開です。どのような検討が行われたのか、どういう方向性を政府が考えているのか。特に民主党政権になってからは、そうした、政治主導という名のもと、本来であれば公開されるべき内容が、経緯が全く見えない。ですから、十分な検討は経ていないというふうに判断せざるを得ません。その上で条約を締結する方針を閣議了解するというのはおかしいと私は思います。
 こうした前例があるのかどうか、伺いたいと思います。

○福山内閣官房副長官 高木委員にお答えをさせていただきます。
 きょうは、あくまでも、条約を締結し、そのための国内担保法に対する骨子というか、こういった考え方で法案を策定しようということの閣議了解をさせていただきました。当然、これから条約の審議や、我々がこれから策定をさせていただく国内の担保法について各界各層からの御議論をいただきますし、何よりも国会で審議をいただくことになるというふうに思いますので、その中で皆さんには御理解をいただきたいというふうに思っております。
 先ほども申し上げましたように、やはりこの問題は当事者の方の意見が重要だというふうに思っておりましたので、賛成、反対の立場からも、専門家の立場からもお話を承りました。先ほど申し上げましたように、これから法案の策定作業を進めることをきょう確認したということでございます。
 そして、先例の問題でございますが、条約の国会提出に先立って閣議了解を行った先例としては、一つの例を申し上げますと、例えば、国連海洋法条約締結及び海洋法制整備についてというのを平成八年の二月の二十日に閣議了解されたという例があるというふうに承知をしております。

ハーグ条約の締結過程に問題があったのか。

【第177回国会】参議院法務委員会 第13号 平成23年5月26日

参議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:木庭健太郎 参議院議員公明党

     桜内文城 衆議院議員みんなの党

     江田五月 法務大臣

 

○木庭健太郎君 最後にお尋ねをします。
 大臣に、是非こういう、今回の児童虐待という問題、いつまでたってもなかなか絶えていかないこの問題の中で、法務省としても民法の改正という大きな問題まで踏み込みながら、今回こういった制度が、親権停止というような新たな制度まで設けてこの児童虐待を防止しようということの取組を、そして子のためにということを初めて打ち出した。是非、これを実効あらしめるものに対する、そういう大臣の決意とともに、ここで論議されたように、やっぱり今回改正しても親子の関係、家族の関係、そしてまた児童虐待の問題についても、この改正だけでどうなのかなという様々な問題提起もなされました。つまり、家族の在り方というものについて今の民法の規定が本当にこれで十分だろうかという問題もありました。例えば児童虐待一つの問題についても、この懲戒という問題はもう終始議論になったわけでございます。
 そういった意味で、今回、この改正を行うとともに、もちろん実効あらしめるものということで大臣に頑張ってもらいたい一面とともに、残された課題がかなりあるんではないか。大臣はこの参議院の法務委員会の中で、離婚後の共同親権の問題についても一度真剣に議論をしてみる価値あるテーマだというようなこともおっしゃっております。まさにそういった子の親権という問題、ひいては家族法全般についても今後とも検討していく必要が求められていると私は考えますが、併せて大臣から御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

 

国務大臣江田五月君) 木庭委員の方から包括的な問題提起をいただきました。細かくあの点この点と法律的なお答えももちろん必要かと思いますけれども、私も包括的な観点から答えを探ってみたいと思います。
 戦後、民法、親族、相続が大改正されました。やはり一番大きな改正点は、戦前の民法にあった家、これをなくして、それぞれの家族ごとに戸籍の筆頭者がいてそこに配偶者がいる、子がいる、そういう制度にしたわけだと思っております。それはそれで私は家の中でがんじがらめになった一人の個人を自由に羽ばたかせる、そういういい改正であったと思うんですが、現実にはなかなか付いていかない部分があって、先ほどの有田委員の御質問のところでしたかね、現実がまずあって、法律はその後を追っていくという言い方をされましたが、そういう場面もあるけれども、この戦後の家制度の改正については、これは法律が先にあって、そして現実がだんだん追いかけてきたのだと思うんです。
 しかし、現実が追いかけながら、今度はその現実がいろんな問題を抱えることになっているというのもまた我々が抱えている問題で、今の子の虐待など、これはもちろん行政はもっとしっかりしろと、行政の対応はそれじゃ駄目じゃないかというお叱りをいろいろいただく、それはそれでもちろん当たっている面もあり、私どももそうした御指摘を受けながら精いっぱいのことをやっていかなきゃいけませんが、同時に、子の虐待などは人ごとじゃない、私たち社会が抱えている今の病理現象なのだと思うんですね。大変な虐待をする親がいる、もう人の顔はしているけれども、あれは鬼じゃないかというような親がいるのも事実です。事実ですが、鬼の顔をしていても、やっぱりそこに人なんですね、そういうことを行う鬼のような所業に出る、それもまた人としての弱みを持って、そこをやっぱりみんなで覆い包み込んでいかなきゃいけない。
 岡山の例を挙げられましたが、高校一年の子供、これが、まあ私は新聞でちょっと見ただけですが、やっぱり発達障害を抱えている。そういう発達障害を抱えた、しかも母親一人でそうした子を育てていくというときには、だんだんだんだんそこに問題が内向き内向きになって煮詰まってしまうというようなことがあるわけで、今抱えている社会のそうした問題を包括的にとらえ、それを改めていくには、やはり、例えば懲戒という言葉がいいのか、あるいは共同親権というのに取り組むべきじゃないのか、様々な課題があるので、これからも皆さんのお知恵を借りながらよりいい親族、相続制度にしていきたいと思っております。

⇒親権の所在、家族法全般について、議論する必要があると、子の頃も言われていた。

 

桜内文城君 ありがとうございます。
 現実の問題といたしまして、やはり協議離婚の場合、大臣御指摘のように、まず合意に至る前ですね、特に子の監護に関する事項として、親権あるいは監護権をどちらに決定するのか、それからまた、一旦決定された後に、その後の面会交流の実績ですとかあるいは養育費の不履行等々いろいろあり得るわけですけれども、そういった場合に、親権者の変更ですとかこういったことも考えていかなくてはならないと思うんですけれども。
 立法論としてとなると思うんですけれども、特に今現実の問題としてよく耳にします問題点というのは、協議離婚の場合、合意に至る前に子供を合意なく一方が連れ去る、連れ去りという言い方が悪いかもしれませんけれども、子連れ別居ということがまずあって、その上で離婚の協議に入っていく、事実としてはそういう場面が多いとも聞くわけですけれども、こういったときに、これは立法論として、監護権者、親権者の決定の際に、例えばまだ相談が途中である、あるいは相談なくして一方的に、合意なくして子を連れ去る。事実上子の監護を行うことを通じて、その後の家庭裁判所での離婚の協議において、今裁判上の一つの準則として継続性の原則というものが言われておるそうですけれども、子供を監護してきたという実績を積み重ねて、それによって親権を取るという事例が多数あると聞いております。
 これに対処するためには、やはり合意なくして一方的に子供を連れ去る行為ですとか、あるいは連れ去った後にこれを取り戻されないように虚偽のドメスティック・バイオレンスの申立てをDV防止法に基づいて行うようなことも実際にはあるやに幾つかの報道等で言われておるところでございます。
 何が申し上げたいかと言いますと、今回の七百六十六条で面会交流、そして養育費について明文化されたのは大変いいことなんですけれども、その基となる親権の所在ですね、あるいは監護権の所在について、ある種立法的に、これは法律なのかあるいは政令、省令なのか分かりませんけれども、こういった意に反して子供を合意に至る前に連れ去る行為がある場合には、それを親権の決定の際に考慮する等々、あるいは面会交流をさせない親の場合、親権者の変更について家庭裁判所が判断するときには、これこれについて配慮すべきであるというような、そのような条文というものは立法論としてあるべきだと私は思うんですけれども、その辺について大臣の御所見をお伺いいたします。

 

国務大臣江田五月君) 結婚している夫婦の関係も、あるいは離婚した後の元夫、元妻の関係も、さらにそうした親と子の関係も本当に千差万別でございます。こうした千差万別の夫婦、親子関係をどういうふうに法律的に規定をしていくかというのはなかなか大変なことで、やはりある種の一般的な法規範を作るしかなかなかできないということがあると思いまして、しかし、具体的な事例にそれをどう落とし込むかと。これは事案に応じて、協議離婚ならばそれは二人で決めることですが、そうでなければ家事審判官が個別に判断をすると、そこに委ねざるを得ないんではないかと思います。

 一般論で言えば、専ら子の福祉の観点から、父母それぞれの意向であるとか今までの養育状況とか、あるいは双方の経済力、家庭環境、子の年齢、子の心情や意向、子の情緒の安定性等の諸事情を総合的にと、こうなってしまうわけでございますが、今委員が御指摘のようないわゆる継続性の原則、これは今言ったようないろんな事情から、合意ができる前にあえて無理して子を移動させてそして自分の管理下に置けば、後は継続性の原則で守られるという、そういうことはやっぱりあってはいけないと。全てのことがもし同じならば、それは子供にとって環境が変わることが必ずしも好ましいわけじゃない、同じ環境の下で育つ方がいいとは言えますが、継続性の原則があるから、だから連れ去った方が得だと、そういうことがあってはいけないことは御指摘のとおりだと思っております。

 

桜内文城君 ありがとうございました。大変重要な御答弁をされたと感じております。

 やはり継続性の原則が言わば家庭裁判所における準則のように今現実としてなっていることから、実際に弁護士の、これ日弁連そのものじゃないんですが、財団法人日弁連法務研究財団というところが出している本ですけれども、「子どもの福祉と共同親権というタイトルの本なんですが、その中に、実務家である弁護士にとって、親権をめぐる争いのある離婚事件で常識と言ってよい認識がある。それは、親権者の指定を受けようとすれば、まず子供を依頼者の下に確保するということである、このようなくだりがあります。

 ここから先は弁護士の仕事のやり方の問題になりますので、大臣、常々おっしゃっています弁護士自治というのもありますので、なかなか当委員会で議論して決着の付く話ではないんですけれども、とはいえ、問題視されている、報道等でされる事案というのは、いわゆる離婚ビジネスといいましょうか、このようにまずクライアントが親権を得たいという場合に、協議が調う前にまず事実上子供の監護権といいますか、実際に手元に置く。その場合、もう一方の配偶者、まだ離婚前ですので配偶者の意に反しておったとしても問題視はされないんですけれども、これは諸外国では誘拐罪に当たる場合もあると聞きますけれども、日本の場合、その後協議離婚をして単独親権になった暁には、面会交流の約束があったとしても会わせてくれないということで、お父さんが、元裁判官の方だそうですけれども、無理やり会いに行ったところ誘拐罪で逮捕されてしまったと。

 もちろん、何が真実か分からない、また家庭内のことですので、なかなか法的な評価をするのは難しい事案だとも思うんですけれども、必ずしも子の連れ去り、子連れ別居ですとか、正当なといいますか、お互いの合意を得て一方に子供を預けるというようなことがなされてないのを利用してといいますか、あるいは継続性の原則というものが事実上家庭裁判所の準則となっていることをうまく利用して離婚ビジネスをやる弁護士さん、実際、私のところにもハーグ条約の関係で陳情に来られました。そのとき知らなかったんですが、二度預り金を自分の弁護士報酬に充てたとかで懲戒処分を受けられた方でもあります。

 そういった意味で、やはり先ほど大臣がおっしゃいましたように、親権をどちらに決定するか、監護権をどっちに設定するのかという、あるいは変更の場合の考え方、これはもう家庭裁判所の判断ですので、我々立法府なりあるいは法務省という行政府がどうこう言うべきことではないんですけれども、やはり子の利益あるいは当事者の公平ということを考えるのであれば、何らかの継続性の原則に代わる準則、例えば今申しました面会交流を実施しない、履行しない親が親権を持っている場合には、この変更についてその事情を考慮するですとか、あるいは子供を返したくないという親がドメスティック・バイオレンス防止法に基づいて虚偽のDVの申立てをしたりするケースも間々あると伺います。こういった虚偽が明らかになった場合には、それも親権の変更において考慮すべき事項とするなど、やはり家庭裁判所の準則の話ですので、これは立法的な手当てが私は必要ではないかと考えておりますけれども、大臣の御所見、もう一度お伺いいたします。

 

国務大臣江田五月君) この離婚に伴う子供の育て方などについての今の委員の御指摘、これはそのような弁護士活動に対する批判もあるということは承知をいたしております。

 しかし、先に連れ出し確保した方が勝ちだよと、そういうようなアドバイスが法律の専門家によってなされることがどれだけ問題をこじらせるかと、そうしたこともやっぱりそれぞれ考えていただきたいと、本当につくづくそう思います。実力行使よりもやっぱり話合いで、話合いの中に法律というものがちゃんと生きていく、そうした仲介をしていくのが法律専門職である弁護士の仕事であろうと思いますが、まあそれ以上言いますと弁護士の仕事に介入するようになりますので、申し上げません。

 しかし一方で、先ほども申し上げましたとおり、親子の関係、千差万別、どれがいいとなかなか言うことできないんで、むしろ、例えば継続性の原則なら継続性の原則、これをルールとして、指針として出すというようなことになると、これは逆にやっぱり妥当でない結論についつい安易に流れてしまうようなことも出てくるので、やっぱり私は、個別の事案に応じて個別に、家事審判官であり、あるいはその関係の皆さんが一生懸命に悩んで子の福祉、子の利益のために結論を出すように努力をすることが一番重要であって、何らかの準則を、指示を出すといったことよりも、むしろそっちの方が大切だと思っております。

 

桜内文城君 ありがとうございます。

 ここは立法論の話ですので、準則を、法律の形なのか、あるいは政令、省令なのかは別として、私自身の意見としましては、お示ししないことにはなかなか家庭裁判所も判断付かないことが多いんではないかなというふうに考える次第でございます。

⇒この頃、離婚ビジネスが横行していた。家庭裁判所は継続性の原則だけで判断するところがあるが、何か基準を設けた方がいいという指摘。離婚ビジネスや家庭裁判所の不条理な運用は今も変わっていない。

【第177回国会】参議院法務委員会 第11号 平成23年5月19日

参議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:木庭健太郎 参議院議員公明党

     中田裕康 東大名誉教授・一橋大名誉教授

 

○木庭健太郎君 それでは、中田参考人にお聞きします。
 今回、児童虐待の防止という観点から親権法の一部について改正が行われたわけでございます。ただ、現代においては、夫婦の別居、離婚、再婚、珍しいこともなくて、やっぱりそれに伴って子に対する親権や監護の在り方など、全般的な検討も必要な問題もあるでしょう。先ほども、中田参考人自体も検討しなければならない課題があるということもおっしゃっておりました。
 今回のとにかく民法改正は、親権の中でも児童虐待防止という観点から行われたということですが、大きな課題の一つは、例えば離婚後の共同親権の問題ですね、こういった問題については今回触れられていないわけですが、今後の課題として家族法の分野でどのような検討事項があると中田参考人はお考えになっていらっしゃるでしょうか。

参考人(中田裕康君) 今後、家族法の中で、親権法で申しますと、先ほど申しました懲戒権ですとか子供の奪い合いとの関係での居所指定権ですとか、あるいは今御指摘になりました共同親権、これも離婚後の場合と婚姻関係にないカップルと両方あると思うんですけれども、あるいは面接交流の一層の拡大等々の問題があると思います。
 もうちょっと広げると、親子法ですと、実親子の間ですと、親子関係の規律の基本的な枠組みをどう考えるのかですとか生殖補助医療の問題ですとか三百日問題とかありますし、それから、養子法ですと、成年養子と未成年養子との規律を分けて考えるのかどうか、特別養子縁組の成立要件を緩和するか、あるいは実親子、養親子通じて子の氏をどうするか。
 もっと広げると、婚姻・離婚法関係ですと、婚姻、離婚において当事者の意思をどうやって確認するのか、婚姻適齢をどうするのか、夫婦の氏、夫婦の財産関係、離婚原因、再婚禁止期間、あるいは婚姻関係でない異性又は同性のカップルについて法的にどう位置付けるのか等々、たくさん問題がございます。
 その中の共同親権の問題なんですけれども、これは方向として検討に値することだろうと思っておりますが、いろいろ課題もあると思います。つまり、育てている親がやはり単独でできることも決めなければいけない。そうすると、共同でのみできることと単独でもできることと振り分けなければいけないんですが、それをどうやって決めるのか。法律で決めるのか、裁判所が決めるのか、当事者の合意に委ねるのかということがあると思います。
 それから、育てていない親が共同親権を持っていて、それを不適切に行使したり濫用するという場合もあるわけでして、親権を理由にして、親権を持ち出して復縁を迫るために付きまとうなんということがあったりすると、例えば親権の停止あるいは保全処分との連結ということも考えなければいけないと思います。
 さらに、根本的に言うと、協議離婚の在り方ですとか離婚後の男女の関係の在り方とかということにも関係してまいりますので、日本の実態とか外国の例がありますので、そういった調査も必要だと思います。
 こういった課題を検討しながら更に考えていくべき問題だと思っております。

⇒この辺りの課題は、もう整理がついた。

【第177回国会】参議院法務委員会 第10号 平成23年5月17日

参議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:丸山和也 参議院議員自民党

     江田五月 法務大臣

 

丸山和也君 では、大分人数少なくなりましたところで、四十分という時間があるんですけれども、三十分でやめておけという声もありますので、そこらは臨機応変にやらせていただきたいと思うんですけれども。質問がそうたくさんありませんので、大臣も長々と、と言っては失礼ですけれども、十分に語っていただいていいかと思いますので、今日は短くと言うことはありませんから、思いのたけをしゃべっていただきたいと思います。
 そもそも、今回、民法の一部の改正ということで、非常に大きな改正だと言われているんですけれども、確かにそうも思えるんだけど、ややちょっとピンぼけと言うと変ですけれども、不徹底というか、どこを本当にどうしたいからこういう改正をしようとしているのかということがちょっと私は不透明なように思うんですけれども、今回の改正の目玉といいますか、これが主眼だというようなところを、大臣、ひとつ御説明いただきたいと思います。

 

国務大臣江田五月君) 長々と答弁して結構と言われますと、何か皮肉を言われているような感じで、なるべく短く答えたいと思いますが。
 児童虐待、これが深刻な社会問題となっている。そこで、童虐待への取組、これを民法あるいは児童福祉法の場面で更に進めようというのが今回の問題意識でございまして、その場合に、親権があるから虐待していいんだという、そういうことをあえて言うというか、あるいは誤解をしている、そういう親も見られるわけで、そこで親権制度というものにメスを入れようということが一つ。
 それから、親権制度にメスを入れますと、やはり親権者に代わって子に親権、監護権を行使する者が必要ということで、未成年後見人というものを増やしていこうということ。さらに、今の親権の行使の制約のこととか、あるいは離婚の場合の措置とかなどなどを通じて子の利益というのが一番重要なことですよと、これを導入をしようと。
 これは別に今始まったわけではないので、前も当然ですが、そういう文言が入っていなかったので、こういう文言を明確に入れようと、こうしたことが今回の主眼だと思っております。

 

丸山和也君 今おっしゃっていただきましたことであると思うんですが、そうだとしますと、私がやや不満に思ったというのは、やはり今大臣の答弁の中にもありましたように、親権の在り方というか、それが非常に一つの根幹になっているように思うんですね。そういう問題意識を持っておられると。
 やはり、児童の虐待防止、児童の福祉、いろんなことを考えた場合、親権者であるからということでいろんな好ましくない事態が発生していると。そうすると、やっぱり親権の在り方について、規制も含めて、停止、いろいろなことを含めて、従来からあった問題を含めて見直していくということで今回の改正があるということをおっしゃっているようで、やはり親権の在り方というのは一つの核になっていると思うんですね。
 そういうふうにとらえた場合、私は、これ昨今始まったことじゃないんですけれども、もう恐らく私が弁護士になって、そうですね、三十年、三十年以上になるんですけれども、やっぱり親権が単独親権であるということについての疑問というのはずっと持っていたんですよ。親権が単独で、例えば離婚したときに片方が親権を持って片方がなくなるというのはどう考えても理屈に合わないと
 これはやはりなぜかなという疑問を持ちながら、まあ現実は、男性は社会に出て外で働く、女性は家庭にいるとかこういう発想で、それから子育ては女性に任せるとか、特に乳幼児の場合は、そういう非常に時代がかったやや封建的な発想の中で、社会構造の中で、女性が子供を育てる、だから親権を女性にという、まあそれはどちらでも行くんですけれども、ほとんどの場合は現在もう親権は女性に争った場合なりやすいんですけれども、そういうことで単独親権というのが何となく是認されてきたように思うんですね。
 ただ、女性の場合も離婚してもやっぱり働く必要がありますし、あるいは養育費をもらう必要がありますし、両親とか手助けを受ける必要があるし、あるいは女性であるがゆえに再婚してまた別の家庭をつくるということもあって、いろいろなことを考えますと、決して単独親権が根本的に両親の間から生まれた子が、離婚したからといって、たまたま親が離婚したというだけで単独の親権になるということが考え方としておかしいなとずっと、今でも思っているわけなんですけれども。
 それで、更にそういう傾向は強くなっていると思うんですね。男女並びに働き方、生活の形態も変わってきていますし、それからやっぱり諸外国を見ましても、大半というか、正確に何割と言えませんけれども、主要な国の七、八割といいますか、ちょっと正確な数字は分かりませんが、それぐらいは共同親権じゃないかと思うんですね、考え方自身が。
 そうなりますと、今回、久々に一種の児童の虐待防止なり福祉を考えて大改正に及ぶとするならば、どうして根本的にこの親権の在り方、共同親権というところまで踏み込もうとしなかったのか、これについて私は是非聞きたいと思っていますので、ひとつ含蓄のあるお答えをいただきたいと思います。

 

国務大臣江田五月君) 私は法律家になって四十三年ぐらいですが、委員と違って実務に携わったのは初めの十年程度裁判官として携わっていただけで、後は実務に携わっていないので、ただただ長いというばかりで、しかも司法試験通って司法研修所へ行ったのはもうはるか昔のことになってしまいましたので、いろんな知識がさびついていると思います。
 そういう前提で今の委員の御質問にあえて答えていくとすれば、私どもが勉強した当時は、やはり離婚をする、そうするとその父と母の間にいろんなトラブルがある、それを子に引き継いでしまうことはやっぱり遮断をした方がいいだろう、あるいは養育についていろんな方針が違いがあって、それを離婚をした父と母で協議をしなければ決まらないというのもやはり難しい、子供の育ちにとって親の監護、教育というのはやっぱり一本化していた方が一つの基準がはっきりしていいだろうという、そういうことから単独親権にしたというように学んだような気がいたします。
 今回は、この児童虐待の防止という観点でメスを入れましたので、その根本のところまでまだメスを入れるに至らなかったということなんですが、さはさりながら、今委員がおっしゃるとおり、私どもが勉強した、お互いもうかなり古いですが、それから今日までいろんな変化が起きてきたのは事実だと思います。
 以前は、夫と妻がもう憎しみ合って別れるというのが普通の形だったのかもしれません。しかし、今は、結婚をして子供をつくってみたけれども、やはり私たち別々の道を歩んだ方がお互いの人生、より豊かに歩めるねというので、常ににっこり笑ってというのはもちろん難しいことではあるけれども、やはりそこは理解をしながら別れ、そして父と子、母と子、この関係はずっとこれからも続けていくんだという、そういう別れた夫婦の在り方というのも別に不思議ではなくなってきているということは、これは事実だと思います。
 そういうことを考えると、やはりこれは、今回は児童虐待防止ということでありますが、共同親権というのは一度真剣に議論をしてみる価値のあるテーマだと思っております。

法務大臣自ら、親権の在り方(共同親権)の根本までメスを入れるに至らなかったと発言。

 

丸山和也君 基本的には前向きに共同親権について検討をする価値があるとおっしゃっていただいて非常に結構だと思うんですけれども、私は、民法の改正といいますのは、平易なようで、社会の根幹といいますか、人間関係の根幹にかかわるやっぱり大きな一種の地殻変動を起こすぐらいのものですから、なかなかそうチャンスがないんですね。一旦決めますと、すぐ政策的にころころ変えるということはとてもできるような性質のものじゃありませんし、すべきじゃないと思いますので。今回もう一歩踏み込んで共同親権まで入っていくべきじゃなかったかなということが非常に残念でなりません。
 といいますのは、いろんな事例を相談を受けたり聞いたりしていますと、やはり一方に親権が行くということで問題になっているケースというのは、常識的な面会交流というのがやっぱり妨げられると。要するに排除されるということから、一方の親の非常に孤独感というか、生きていく上で支えというのがなくなって、それがだんだんエスカレートしてあるいはやや実力行使に出ると、それは法的に処罰される、あるいは子供からも危険な人物のように思われて排除されてしまうということで、更に苦しみの中に、連鎖の中に行っているという割かしそういう男性が多いので、私、その男性の悲痛な叫びをいっぱい最近聞いているんですよ。
 弁護士の中にもそういう人がおりますし、お役所の役人の中にもおられますし、元裁判官の中にもおられるんですよね。それで、政治家の秘書の方にもそういうのがおられまして、今回私がこの質問をすると言ったら、何人も来られまして、いや、実は私も会えなくて困っているんだということで、決してむちゃなことをしようとか誘拐しようとか拉致しようなんて思っていないんだけれども、親権が元女房の方に行ってしまって、あなたとは会わせたくないということで、家庭裁判所も協力してくれないということで、これは聞いていますと、同じ男性の父親としてかわいそうだなというより、真剣な悩みなんですよね。
 それぞれがちゃんと社会的に立派な方であるし、ただ子に会いたいと。せめて月二回ぐらいは週末を一緒に過ごしたいとか、ささやかな願いなんですけれども、これがかなえられないということで、やっぱりこれ根幹を考えてみますと、親権の在り方、それから離婚のときの親権の決め方、こういう法制度並びにそれから家庭裁判所の運用、ここら辺に原因があったと思うんですね。ですから、やはり今回、法改正の中で、養育監護とか面会交流についても家庭裁判所の指導の下にそれをきちっと決めなさいということにわざわざ明文化されたということで、非常に一歩前進だと思うんですね。
 ただ、そうやって悲痛な訴えをしてくる人たちのを聞きますと、やっぱり家庭裁判所がなかなかそういうふうに動いてくれないんじゃないかという、かなりもう絶望的な危惧を持っている方が多いんですよ。というのは、今までの家庭裁判所の運用を見ていても、やはり実際、面会交流なり養育監護というのは議題になっているんですけれども、親権が女性が取った場合に、面会交流させたくないと、私の方で責任持ってやりますからとかあるいは前に子供が嫌がったとかいろんなことがありまして、家庭裁判所も調査官なり裁判官いろいろ入って、一応努力はされて、その場はあるんですけれども、結論的にはなかなか認められないということが多いようなんですね。
 ですから、今回も法改正の中で、この七百六十六条の中で、子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項はとして、子の利益を優先して考慮しなければならないというふうに、こういうふうに、そして二項の中で、協議が調わないときは、家庭裁判所が同項の事項を定める、こういうふうになっているんですけれども、やや権利として、面会交流についても、面会交流する権利があるんだということまでは必ずしもうたっていない。協議して定めなさいと、定まらないときは家庭裁判所が何とか決めますよというような家庭裁判所に対する丸投げなんですよね。
 すると、実際にこの法改正の趣旨が両親共同親権的に離婚後もうまく機能するためには、やっぱり家庭裁判所が物すごい一種の意識改革をするなりしてそういう方向で稼働してもらわないとやっぱり余り変わらないと。こんなふうに条文が変わったということだけで裁判官なり家庭裁判所自身がどれくらい違った取組になるのか、ここが非常に私は現実的な問題として心配しているんですが、この点についてはやや楽観的に考えておられるんでしょうか、いかがでしょうか。

 

国務大臣江田五月君) 楽観的というわけではありませんが、ある種の期待を持っているというのは事実でございます。
 七百六十六条は、協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会その他の交流、費用の分担その他子の監護についての必要な事項は協議で定めると。家裁に丸投げじゃなくて、まず離婚をする父と母あるいは夫婦で、そこは必要な事項ですから決めなさいよと、こういう思いがにじみ出ているので、必要でない事項だと書いてない、必要な事項だと。しかし、その協議がなければ協議離婚が成立しないというところまではいっていないけれどもというある種の思いだと思います。で、次に子の利益を最も優先して考慮をする、さらに家庭裁判所と、こういう立て方になっているわけでございます。
 面会交流というのは必要なことなんだと、いいことなんだという思いが条文上にじみ出ているのならば、ならば共同親権ということの方が面会交流はよりスムーズにいくじゃないかという、そういう委員のお気持ちがあるんだろうと思いますが、これは確かにそういうケースもあると思いますが、さっき言ったとおり、今回は児童虐待ということなので、そこまでは踏み込んでおりません。おりませんが、単独親権であっても父と子、母と子、この関係は変わらないので、したがって単独親権であってもどんどん面会交流などやって一緒に育てようというような別れた両親の子に対する態度というものが生まれてくれば、これは大変、どういいますか、結構なことだというのが今回の法改正への期待だと思っております。

⇒さすが、弁護士!現場の状況と、家裁のダメな実態を認識されている。

 

丸山和也君 しつこいようですけれども、例えば協議離婚、まあ離婚については同意している、それで面会交流についてのみ両親が対立していると。それで、母親の方としてはできれば会わせたくない、子供がどうするとか、自分が、まあいろんな配慮はあるんでしょうけれども、会わせたくないと。しかし、こういう規定があるからやむを得ないと。裁判所の説得もあると。じゃ、月に二回ぐらい、それぞれ一時間ぐらいとか二時間ぐらいずつだというぎりぎりの同意をしたとしますよね。それで、男性の方は、いや、それじゃ余りにも、月に二回会って二時間程度のあれじゃもう十分なあれも尽くせないし、やっぱり最低でも四、五時間、そのうち一回ぐらいは週末に自分のところに来て泊まると、そういう外泊といいますかね、それも認めてくれと。こういうことになると、結局意見が、協議が調わないんですよね。それで、こういうことが対立する場合というのがもうほとんどなんですよ。
 そうなると、裁判所としてはやっぱり決裂はさせられないと。すると、一時間というところをまあせいぜい二時間とか二時間半にするとか、あるいは一方が、ゼロよりはいいでしょうと、それで多少あなたも譲りなさいよというようなところで、非常にやっぱり面会交流を極度に制限する形で認めるというところに落ち着きやすいんですよね。それで、哀れな男性は、ゼロよりはそれでも一目見たいという思いでやっぱりのむんですね。
 ある僕は週刊誌の記事で見ましたけれども、どうしても会わせてくれないということで、中学生になった娘さんが学校へ通う駅に通学の途中にお父さんがぱっと娘に駆け寄ったときに、娘がびっくりして逃げるというんです、逃げたと。それで、逃げたときにちょっと転んで、それを抱きかかえようとしたら、このくそじじいと言って叫んだっていうんですね。それで、それはやっぱりずっと面会交流を遮断されていて、それから、母親の方からお父さんに会っちゃ駄目、お父さんはこういう人なんだとかいろんなことをやっぱりある意味では吹き込まれていたらしいんですよね。まあ報道ですから全てが、細かいところはありませんけれども。そういう身を挺して娘に駆け寄って、ここしかないと思ったときに、くそじじいと言われたこの男性は心境いかなるものかと思ってですね。
 私は、やはりこういう極端に面会交流が遮断されていると、どちらにとってもやっぱり悲惨なんですね。娘は父親を憎み、恐れ、父親はショックを受けという、こういうことは、やっぱりちょっと一時間、二時間ちょこちょこっと形だけ会わせて、あるいは誰かの監視、立会いの下に会わせるというようなことではなかなか解消していかないと思うんですね。
 だから、ここらは日本の社会もやっぱりかなり勇気を持って開かにゃいかぬと思うんですね。離婚しても、それは良き、かつての同窓生と言ったらおかしいけれども、良き仲間というか戦友というかね、かつての同志ぐらいのつもりで付き合うぐらいの度量をやっぱり示さにゃいかぬし、またそういう、家庭裁判所自身がそういう啓蒙的精神で積極的に取り組まにゃいかないんですけれども、どういうわけか、調査官にしろ裁判官にしろ、やっぱり割かしそこらの頭が柔軟でないというか固いというか頑迷固陋というのかもうカビが生えているというか、そういう方が多いというふうにも被害者的な男性からは聞こえるんですね。
 ですから、是非、家庭裁判所の役割が大きくなりましたから、家庭裁判所に対するそういう意識改革ということを強く私は望みたいと思うんですが、その点については何か御意見ございますでしょうか。

 

国務大臣江田五月君) 委員の御指摘は本当に含蓄のある御指摘だと思っております。
 社会というのは、やはりこれは人間同士のきずななんですね。そのきずなの中で最も深いのが夫婦のきずなであり親子のきずななんだろうと思います。それを、せっかくあるきずなを大切にするんではなくて、きずなを絶っていこうというのはやはりいい傾向ではないと。
 ただ、以前はそのきずながどうしても身分的なきずなになったり、あるいは子はかすがいとか言って、もう子がいるんだからここは何としてもあなた、夫が少々わがまま言っても我慢しなさいよというような、ここで耐えるのが女の務めみたいな、そんなものも随分強かったんですが、それではいけないんで、やはりきずなというのはお互いの共感、お互いの理解、そういうものの上に立ってできていくのでなければならないので、今そうした岐路に私どもの社会が立っているんだろうと思っております。
 そんなことを踏まえながら、新しい家族や親子の在り方、離婚後の夫婦であったものの在り方、こうしたものをこれからみんなで探っていく時代に来ているわけで、そういう思いをこの法改正というのは含んでいるものだと、私はこの案文を作ったときにはまだたしか法務大臣ではなかったのかもしれませんが、そういうような理解をしておりまして、家庭裁判所におかれても是非そういう辺りのことをよく理解の上で家裁実務を運営をしていただきたいと願っているところでございます。

法務大臣も家裁の意識改革を期待しているが、この時と現在と比較しても、大して変わっていない。つまり、家庭裁判所の意識改革は進んでいない。残念。

 

丸山和也君 是非お願いしたいと思います。
 それから、よくそういう子に会わせない理由、制限する理由として、暴力を振るうとか、かつてDVがあったとか、それから、よく女性側から主張されるんですけれども、そういう例もそれはあるんでしょうけれども、いろいろ細かく聞いてみますと、女性からの暴力というのも結構多いんですね、昨今は。だから、おとなしい男性が、草食人間じゃないですけれども、多くて、女性側の方が、獣とは言いませんけれども、非常に乱暴で強くなって、暴言を吐くし、時々は女性が手を出すと。女性が手を出してもなかなかDVと言われないけれども、男性がちょっと手を振り上げるとすぐDVだと言ってね、それで警察が動いたりするという、こういうことがやっぱりあるんですよ。
 だから、僕は、そこら辺、時代は大きく変わっているし、やっぱり個々の判断をしないといけないのに、まだそういう弱い女性を保護するとか、そういう観点から離婚の運用、親権の運用、親子関係も見られているところにやっぱりかなり時代的ずれが出てきていると思いますので、そこら辺は、まあ法務大臣に直接言ってもあれなんですけれども、一言ここで言っておきたいと思います。
 それから、だんだん時間の関係ではしょりますけれども、ハーグ条約について少しお聞きしたいと思います。
 これは、私はそういう条約に加盟するということについては賛成なんですけれども、結構これは厳しい世界に突入するという予測をしているんですね。
 それから、本当に日本人が例えば子を連れ去ってきたような場合、そういうハーグ条約の下で対応していけるのかと。そこら辺はよく、やっぱりこれは基本的には、原則は子を連れ去った場合は元の居住国に返さなきゃいけないと。そこから親子の関係についていろいろ定めていこうということですから、一旦実力行使的に日本に避難してきた人がそういう法の下へさらされると。もちろん、例外的な場合は、DVがあるような場合は返さなくていいとかいろいろ言っていますけど、そう生易しくほとんどの場合が例外だ、例外だということにならないと思いますので。
 ここら辺について、今の時点で、いや日本も加盟するんだという、これはまた民法改正と違って大きな決断をされているように思うんですけれども、これはどういう理由なんでしょうか。

 

国務大臣江田五月君) 国際結婚というのはもうごく普通のことになっていると思います。国際結婚は普通だけど、国際離婚はめったにない、そうはなかなかいかないんで、やはり国際離婚というのも普通のことになってきている。その場合に子供は、親権は共同という場合もありますが、子育てをするというのはやはりどちらか、子供は生身ですから両方に引き裂くわけにいかないので、子育てをどちらの親がやるのかということの審判、判断はどこでするのかと。
 これは、やはり別れる前に子供がいた場所、そこの裁判所なり司法機関でやることが適切だというのが国際ルールであって、そこで、そういうような判断を経る前に国境を越えて子供が連れ去られた場合には元へ戻して、そしてその子供の養育についてちゃんと手続を法定しましょうというのがハーグ条約で、したがって、ハーグ条約というのは子供を誰が育てるのがいいかということではなくて、どこで決めるのがいいのか、そのどこというのが、つまり常居所地国、そこへ子供を戻しなさいと、こういうルールでございまして、このハーグ条約しかそういう場合のルールは今ありませんから、私どもは、やはり国際社会の一員として生きていく以上、そういう今あるルールの中に私どもも入っていって、それによりいいルールに変えていこうという努力をしていくべきものであると。
 初めからあそこが悪い、ここが困る、だから入らないというのでは、もう今これだけ国際結婚、国際離婚が普通のことになっているときにやっていけないというような思いで、ハーグ条約への加入の準備を始めるかどうかというところが今煮詰まってきつつあるというところでございまして、是非、これはそんな意味から、ひとつ日本の国を外国に、国際社会に開いて、そうした場面においても日本が国際社会のルール作りで一定の役割を果たせるようにしていきたいと思っているところでございます。

丸山和也君 それに関しまして、日米間で、ある報道で調べたところによりますと、日本人女性とアメリカ人男性が結婚して向こうに住んでいたんですけれども、主としてDVかも分かりませんけれども、そういう理由で子供を連れて、もちろん夫の承諾なく独断で子供を連れて帰ってきて、それで、男性側から戻せという係争になっているのは百四、五十件ぐらいですかね、日米間であると聞いています。それで、これはもちろん女性側としてはもう二度と戻りたくない、向こうに返したくないということなんですけれども、そういう紛争状態になっていると。
 それで、つい先般ですかね、新聞に見ましたけれども、そういう例の一つで、やはり子供を奪われたということでアメリカ人男性がどこかの州で損害賠償請求を起こして六百万ドルか何かの判決が下りていましたけど、六百万ドルというと日本円でいうと五億円ぐらいになるんですけれども、それを出したり、その男性は日本に来て、一時、連れ去ろうとして日本で逮捕されて、ただこれはそのまま起訴もされずに釈放されてアメリカに帰っていると。こういうまさに刑事事件、民事事件絡んだ国際紛争になっているのも新聞で報道されていました。そこまでいかなくても、百四、五十件があるんじゃないかと言われていましたので、やはりこれはまたもっと増えてくるんじゃないかと思うんですね。
 そういう意味で、例えば、取りあえず条約に従ってアメリカに子供を返し、そこで子供の在り方、夫婦の在り方について協議するとしても、当然法手続に従ってやるわけですから、あるいは向こうで現地の弁護士を雇う、あるいは滞在する、それからまさにそこでしばらく居住してやる、そういう物理的な負担があるわけですよね、当然、日本人女性とすれば。なかなか大変なことですよ。
 そういう、だから国際的に子をめぐる紛争というのは非常にレベルの高いというか、次元に入っていくと思うんですね。ある意味、今までは実力的に逃げておれば何とか時間の経過とともに収まるという、こういうことを期待していたんですが、これからは堂々と法的舞台で闘わなきゃならない。闘うと言うとあれですけど、協議したり争ったり闘ったりしなきゃならぬという非常にレベルの高い次元に入ることを要求されることになると思うんですね、このハーグ条約に入るということは。それでも、そういう時代の流れなんだということであれば、また私はある程度それはもうやむを得ないと。
 だから、日本人、ほとんどの場合は女性ですけれども、そういう理論武装なり、国際的にやっぱり闘うマインドの訓練もしていかないと国際競争の中ではこれは勝ち抜けないと思いますので、そういうことも、やっぱりこのハーグ条約の意味というのは非常に重いんだよということも、裁判員制度じゃないですけれども、政府としてこういう方向で進んでいくのであれば、国民にやっぱり周知させるというか、知らせる必要もあると思うんですけど、いかがでしょうか。

 

国務大臣江田五月君) 今委員が御指摘のような事案がつい先日報道されたのは存じております。
 そういうものも含めて、やはり国際社会の中で日本というものが生きていく、国際社会の中で生きていくのは日本という国だけじゃない、日本人自身が一人一人やはり国際社会の中で生きていくという時代になってきていて、そういう時代に国境を越えた結婚をしようとする場合には、ちょっとイケメンだからひょいという、そうじゃなくて、やっぱりそこはきっちり自分で判断をし、別れるときにもよく覚悟を持って話合いをして別れるということでなければいけないと。日本にとにかく子供を連れて帰って実家に戻ってじっと逼塞、蟄居しておれば一定の期間がたってもうこれで大丈夫だという、やはりそれはそうばかりはいかなくなるよという時代になっているのだと思います。ハーグ条約の場合は、一定の養育の年限がたてばハーグ条約が働く場面でなくなるということはありますが、やはりそこに逃げ込むのではいけないので、ちゃんとルールに従った処理をしていくということで。
 ただ、今、アメリカはそんな国だから、とてもアメリカなんか相手にハーグ条約なんか入ったら大変だという、そういう心配もあるかと思いますが、今のこの損害賠償額、これは日本の場合には実際の損害、精神的な苦痛も含めて実際の損害についての賠償でなければ、単なる懲罰的な賠償の場合にはこれは強制執行はされないと、日本で執行判決は出さないというのが最高裁判所の扱いですので、そこはそんなに心配することはないと。ただ、だからといって居直っちゃいけないということだと思います。

ハーグ条約を批准する時も、賛否はあった。条約と国内法の整合性がついていないことで、子の連れ去り問題が深刻になっている。今こそ、条約遵守義務を果たすべき。

 

丸山和也君 じゃ、時間の関係で一点だけ。
 ちょっと前後して元の問題に戻るんですけれども、離婚後の面会交流の中で、今、何というんですか、FPICというのが、御存じかと思うんですけれども民間団体でございまして、これが家裁の調査官とかいろいろやられた方が中心になってつくられている団体のようなんですね。それで、そこがいわゆる面会交流についての相談を受けて、その仲立ちをして、いろいろ取決めをして、それでそういう、まあ家裁のお墨付きのような感じですね、そういういろいろお手伝いをしてまとめているという団体があるようなんですけれども、これは非常に結構なことだと思うんですけど、このFPICもなかなか利用制限というのが、例えばかつてDVあった人は駄目とか、あるいはこの面会交流認めるのが非常に制限されているんですね。もちろん宿泊というのは駄目とか、それから一時間以内だとか、それから監視付きだとか、結構制約が多いようなんですね。
 ですから、こういう団体ができて活動することは基本的には非常にいいんですけれども、やはりそこの、せっかくいいものができたのであれば、そこら辺の運用の仕方なりをもう少し柔軟に改善するなりして、この新しい法改正の趣旨に沿った形で、利用しやすいもの、また利用したいなと思うものになってもらいたいと。
 これはだから、法務大臣にどうこうしろという趣旨じゃないんですけれども、こういう問題点もあるということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
 以上です。
 大臣、一言あれば。

 

国務大臣江田五月君) 親と子の面会交流をどういうふうに円滑に進めていくかということについては、これは社会的なサポートというのはやっぱり必要だと思います。どういう組織機構がそういうサポートができるかということで、家庭裁判所もいろいろと行います、あるいは厚生労働省もいろいろな仕組みをこれから用意していくことと期待をしております。
 そうした中で、今委員おっしゃった家庭裁判所のOBの皆さんが、NPOでしょうかね、自主的な団体をつくって、そこでいろんな活動をしながら面会交流をサポートしていくというような取組が行われているものと承知をしております。残念ながら、今のその家庭裁判所OBの皆さんの活動というのは、まだまだ本当に生まれたばかりというか卵の段階で、これからこれがどういうふうに大きく育っていくかということですが、これはやはりみんなで育て、そういう種類のものを多様に育てていくことが必要だと思っております。

⇒FPICが、今、大問題。

 

【第177回国会】衆議院外務委員会 第11号 平成23年5月13日

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:馳浩 衆議院議員自民党、前共同養育議員連盟会長、現石川県知事)

     松本剛明 外務大臣

 

○馳委員 では、帰って、この問題についてのこれまでの外務省との協議、そしてどのぐらいの案件があったのかということぐらいは調べておいていただきたいと思います。
 大臣、では、改めてお聞きしたいと思います。
 私も、なぜこのハーグ条約にここまでこだわっているか。実は私、参議院議員の時代から、児童虐待の問題、そして親権の問題にずっと取り組んできて、我が国は単独親権なんですよ。そして諸外国においては、共同親権であったり、選択的な共同親権であったりというふうな形がありますね。私は、我が国も、離婚をするのは親の事情があるかもしれないけれども、子供に責任を負わせるわけにはいかないので、離婚をした後も、共同親権あるいは共同養育計画、当然、養育費の支払いについての取り決め、一定のルールというのは必要じゃないかということで、親権問題にずっと取り組んでまいりました。
 そして、実は、この国会で、法務委員会では民法改正案がようやく通って、ただ、これは、親権の問題とはいっても、児童虐待にかかわる親権の一時停止の問題、あるいは未成年後見人制度を法人にも与えましょうという問題です。これは、御党の小宮山洋子さんと私ども明党の富田先生初め、十年間言い続けてきて、最高裁判所法務省がようやくそれを実現してくれた案件なんですよ。そして、その問題に取り組んでいると、どうしてもぶち当たってしまったのは、このハーグ条約の問題なんですよ。
 私、ちょっとこれまでの経緯を申し上げましたが、改めて申し上げたいと思います。
 国内担保法は必要だと私は思っています。そして、これはハーグ条約にも、実際には条約上にもこういうふうに書かれているんですね。例外規定、返還拒否をすることができる規定というのはあるんですよ。それを私は国内担保法にも明確に書くべきだと思っていますし、きょうは正式な外務委員会の場ですから、私は主張したいと思います。
 条約にはこういうふうに書いてあるんです。次に掲げる事由のいずれかがあること、これは条約の第十三条1のbです。子に対する暴力等、相手方に対する暴力等、相手方が子とともに帰国することができない事情、兄弟姉妹との離別、そして包括条項。包括条項というのは、その他、子を常居所地国に返還することが、子に対して身体的または精神的な害を及ぼし、または子を耐えがたい状況に置くこととなる重大な危険があること、こういうおそれがあるときには返さなくてもいいですよと。
 国内の心配しておられる方々、特にDVの関係ですよ。私も、参議院議員の時代からDV防止法に取り組んでまいりました。国内法をつくるときに、やはり明確に例外規定を書くべきだと私は思っています。そして、まさしく国益を守るためにも、その上で国際社会のルールに入るべきではないかと思って、きょう申し上げているんです。
 ここまでお聞きになって、大臣の所見を伺いたいと思います。

 

○松本(剛)国務大臣 私自身も、いかにして御懸念を払拭をした上で前へ進めるかという意味で、今委員からお話をいただいたように、国内で制定をする法律のあり方によってできるだけ懸念を払拭するような準備を整えよという御指摘については、御提言としてぜひ私も受けとめて、そのことはしっかりと頭の中に入れておきたい、このように思っております。

⇒「子供に責任を負わせるわけにはいかない」その通り。

 

○馳委員 その際、きょうは法務省の方も来ておられますので、改めて私なりの問題意識を申し上げておきたいと思います。
 まず、今回の民法の改正でも、今から言う考え方、理念というものが据えられました。子供の最善の利益を考えること、それから子供の意向、まさしく子供の意見表明権というのが権利条約にもありますけれども、子供の意見表明をしっかりと担保した上でその意向を酌み取ってあげるということと同時に、先ほどから申し上げている、離婚をした後の親子関係にどう取り組むかという問題、これはやはり正面から取り組まざるを得ないと思うんですよ。
 大臣は離婚したことはないですよね、離婚を考えたことはあるかもしれないけれども。選挙をしていると奥さんからいろいろ言われることもあると思いますけれども。(発言する者あり)
 つまり、私がここで問題にしておきたいのは監護権の問題なんですよ。私は、先ほどから申し上げているように、日本は今現在、離婚をした後は単独親権です、日本も共同親権が必要ではないかと。一歩手前に来て、選択的な共同親権、さらに一歩手前に来れば、共同養育計画、そして養育費の支払い、この約束をきちんと取り交わさないとあなたは離婚できませんよ、それこそ子供の最善の利益を考える必要があるんですよと。やはりそういう準備をしておくことが離婚に臨む夫婦の礼儀だと私は思いますし、責任だと思うんですね。
 親権というとどうしても親の権利義務というふうな関係になりますけれども、親としての果たすべき責任があるんじゃないんですか、その責任を果たした上で親権というものを議論しましょうよ、私はそういうふうになってほしいと思っています。
 同時に、前回の児童虐待防止法の改正のときに、第四条に親責任という理念を盛り込むことができました。これは、ドイツやイギリスでもそういう考え方のもとに法の規定がされておりますけれども、親としての果たすべき責任というものを、我が国の家族文化の歴史というのはありますけれども、果たすべき責任はあるのではないかと私は思っています。
 ちなみに、私ばかりしゃべっていてもあれですが、未成年の子供を抱えた離婚というのは、正直ふえているんです。国際結婚、国際離婚もふえているし、我が国内でもふえています。最近では、毎年二十五万人と言われておりますよ、親が離婚した未成年の子供。これは本当に大問題ですよね。
 離婚をした後、離婚をして一緒に暮らしている親とそうではない一方の親、つまり、ハーグ条約といいながらも、国内においても、無断で子供を連れ去られて、会いたくても会えない事案というのはごまんとあるわけですよね。
 離婚後のこういう監護のあり方について、大臣の考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。


○松本(剛)国務大臣 やはり、今お話がありましたように、残念ながら親の婚姻が破綻をした、離婚をしたケースの子供のあり方をどう考えるかということを考えると、おのずとハーグ条約の問題にも突き当たり、また、親権の問題、養育費の問題にも突き当たるというのは、そのとおりではないかというふうに思います。
 今、ハーグ条約についての検討を推進している外務大臣の立場だけで申し上げれば、大変近い関係にはあると思いますけれども、ハーグ条約ハーグ条約の検討、また親権は親権の担当をすべきということをまず申し上げた上で、私自身がどう考えているかということをお聞きであるとすれば、私自身の周りにも、残念ながら未成年の子供を抱えたまま婚姻が破綻をした、離婚したケースというのがありますし、その多くの場合は、やはり女性、母親の側に子供がいるケースが、実態としては、私の周りの実感としては多いなというふうに思っておりますし、今度はそういった場合には、そういった母子家庭の雇用、経済的な自立の問題というのもありますし、そうなると養育費の問題。
 それから、今先生がおっしゃったように、他方では、子供を持っていない親はどうなるんだろうと。私は男でありますので、そういったことを見ると、個人的には考えたことがあるかないかというようなお話について今ここで答えるのがいいのかどうか、議事録に残るところでお答えをするような話なのかどうかという話もさっき理事からお話がありました。私自身は少なくとも考えたことはありませんけれども、実際に親として考えてみたときには、やはり子供と会えなくなるということがもしあるとすれば、それは自分の気持ちの中にも大変大きな穴があいたような気持ちになるだろうなということは、離婚した家庭を見ていて想像をしたことはあります。
 そうすると、それに対して何ができるのかということで、先生が共同親権の御議論をされている、私どもの同僚の議員もしてきているというのは、私自身が直接参画をすることは今まで機会がなかったというかあれだったんですけれども、どういう御議論をされているかということは拝見をさせていただいてきたつもりでございます。

⇒離婚を経験していなくても、親として子どもに会えなくなることを考えたら、同じ気持ちになる。

 

○馳委員 そうすると、離婚をした後の子の最善の利益を考えた場合に、一緒に生活をしていない一方の親との面接交流、面会交流という言い方をしますけれども、その必要性についてはお感じになりませんか。

 

○松本(剛)国務大臣 これ自身についてさまざまな議論があるということを承知しておりますので、閣僚として今これについてコメントをさせていただくというのが、必ずしもまだ適切な段階に来ていないのではないかというふうに思っております。その点をぜひ御理解いただきたいと思っております。
 個人的な感想という意味では、先ほど申し上げたように、親としては、もし子供と会えないとすれば、やはりそれは心の中に大きな穴があいたような気持ちになるであろうと思いますし、それは人としても、それを埋めることによって、それぞれがまた、やむを得ぬ離婚だったとはいえ、道を歩んでいくために必要であるということは、考えがあるのはもっともではないか、そう思っております。

 

○馳委員 今回の民法改正でも、七百六十六条だったと思いますが、面接交流についての規定は盛られたんですね。その必要性というのが法学界で認められてきているということの理解の上でですね。

 

 

 

【第177回国会】衆議院法務委員会 第9号 平成23年4月26日

衆議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:馳浩 衆議院議員自民党、前共同養育議員連盟会長、現石川県知事)

     城内実 衆議院議員(無所属)

     江田五月 法務大臣

     豊澤佳弘 最高裁判所長官代理者

 

○馳委員 続いて、共同親権、共同監護権の問題について質問をさせていただきます。
 このテーマで質問をする私の意図は、離婚をしても親としての機能は共同で果たすべきであるという、この大原則にのっとっての私の質問の趣旨であります。
 まず最初に、今回の改正で子の最善の利益を軸に改正が行われましたが、このような流れの中で、さらなる進化形が共同親権、共同監護の導入だと私は考えており、伺います。
 先進主要国で共同親権、共同監護権を導入している国はどこですか。選択導入も含めて教えてください。

 

○江田国務大臣 私も直接にそれぞれの主要先進国の法制に自分で当たったわけではございませんが、私が知っている限りで言えば、ドイツにおいても、フランスにおいても、あるいはアメリにおいても、選択肢ということも含めて、いずれも離婚後の共同親権制度を採用していると承知をしております。

共同親権・共同監護は、「さらなる進化形」。いいですね。

 

○馳委員 我が国では、共同親権、共同監護権について法制審議会等で検討されたことはありますか。もしされていないのなら、これだけ学界やマスコミ等で議論をされているのに、なぜされていないのでしょうか。

 

○江田国務大臣 これも直接存じ上げているほど知識が博学ではありませんが、法制審議会民法部会の身分法小委員会というのが昭和三十年七月にまとめた親族法の仮決定及び留保事項中において、離婚後も共同親権とするか、なお検討を要するというようにされたと承知をしております。
 さらに、法制審議会民法部会身分法小委員会が平成三年から婚姻及び離婚制度全般について見直しを審議して、平成六年七月にまとめた要綱試案では、これも共同親権の制度については今後の検討課題とするとされたということで、検討はされたがいずれも今後の課題とされているということでございまして、検討していないわけではないです。

共同親権の導入は、これまでも検討はされてきたが、今後の課題として先送りされた。

 

○馳委員 では、伺います。
 どうして単独親権でなければいけないんですか。


○江田国務大臣 これは、私なんかが民法を勉強したころには、共同親権ということになりますと、子供の監護、教育方針がどちらか統一されない、子供の価値観の分裂とかそういうものにつながって、やはり子供がすくすく育つには、監護、教育方針というのはどちらか一方で専ら行われた方がいい、そういう考え方であって、さらにまた、離婚に至った夫婦のトラブルがそのまま離婚後も持ち越すことになってしまうとか、あるいは共同親権だとどうしても適切な合意がなかなか難しいとか、いろいろそういうようなことが言われたということだと理解をしております。
 そのいずれもが、今も妥当するかどうか、これは今日においてはなお議論を要する、そのとおり今も当てはまると単純に言える問題ではないと思っております。

⇒共同監護策定計画を立てたらいいのでは。

 

○馳委員 今回の改正で、離婚後も親子のきずなを絶つべきではない、親子の継続的交流が基本的には子の最善の利益に資すると価値判断されているのであるならば、当然、離婚後の共同親権、共同監護権も、選択的にでもできるようにすべきではないですか。いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣 面会交流が離婚の際の監護について必要な事項の具体例として条文に明示されて、しかも、この決定については「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」という理念を明記したのは、これは委員の御指摘の考え方を踏まえたものだと思っております。
 ただ、そのことと離婚後の共同親権、共同監護権といった制度とがそのままストレートに結びつくのかというと、必ずしもそうではないので、親権を持つ親が監護親になり、しかし、非監護親、つまり親権のない親も親子関係というのはあるから、子がすくすく育っていくためには、もちろん適切に行使されなきゃいけませんが、面会交流が非常に有益だという考え方で今のようなことを導入しているわけで、繰り返しですが、そういうことを導入するから直ちに共同親権の方がいいんだという結論には結びつかない。しかし、それがだめだという趣旨でもありません。

 

○馳委員 今回の改正で、民法の親権規定の体系からも、共同親権、共同監護が認められないのはおかしいのではないかと私は考えています。
 なぜなら、今回の民法第八百二十条の改正で、子の利益のために親権が行使されること、そして民法第八百十八条第三項で、子の利益のために、婚姻中の親権は共同行使、すなわち共同親権と定められていること。しかし、それが離婚すると、いきなり単独親権と決め打ちされてしまいます。子供の最善の利益といいながら、離婚したら、何が子供の利益になるかを考慮せず、単独親権を押しつけています。これでは法体系上も、単独親権を定める第八百十九条第一項自体が孤立をし、破綻していると言わざるを得ません。いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣 今日まで、離婚後は単独親権ということでやってまいりました。それはそれなりに、その当時の一応の理由はあってやってきたわけですが、単独親権を直ちに共同親権というのは、やはり一つハードルが高過ぎるのかなという感じはいたします。
 それよりもむしろ、単独親権ではあるけれども、非監護親も親子の関係は続いているという、これはもう厳然たる事実でございますし、非監護親と子との信頼、愛情、教育、そうしたものが監護親との協力のもとで上手に果たされていけば、これは子の利益、子の福祉に合致するのでありまして、単独親権といえども、そうした離婚後の親と子の関係が樹立されるならば、これは大変好ましいことだと思っております。

⇒協力しない監護親(同居親)が多くて、子の福祉に合致していない状況にある。

 

○馳委員 大臣、ちょっとこの話を聞いてくださいね。
 カナダで国際結婚をしていた女性が、カナダで離婚をして、共同親権ですね、諸般の事情があって子供を連れて日本に帰ってきまして、日本の家裁で審判の結果、最終的に単独親権となった。これはやはり、共同親権としてカナダで離婚をした一方の親にとっては、なかなか釈然といかない問題でありますよね。いわば、こういうことが起こり得ますし、実際に起こっているんですよ。
 したがって、国際結婚、国際離婚は一般的になってきましたよねというこの間からの大臣の発言は、実際、現場では、やはりそのとおりなんですよ。そうすると、大臣、今も高いハードルというふうにおっしゃいましたけれども、だから私も、選択制のある共同親権ということも視野に入れながら、いま一度、法制審議会に諮るときじゃないかなと思っているんです。
 今回、親権制度について、子の最善の利益、また、離婚後も継続的に親との交流が大切ですよねという理念をうたった改正をした以上は、離婚をした後の子供の利益を考えながら、まさしく親権の中でも一番重大な事案である共同養育、共同監護については、選択的に認めてもよい、つまり選択制と。このことはぜひこの段階で検討に入ってほしいと私は思っておりますし、今回、残念ながら、我々が要望してきた親権の一時・一部停止のうち、一部停止は入りませんでした、これも議論がございましたが。私は、この一部停止の問題についても、やはり事案によっては一部停止も必要ではないかとずっと思っております。
 このことも含めて、今回の民法改正で一区切りではありませんよ、さらに検討を深めましょうよ、こういうふうに御理解をいただきたいと思っております。大臣の御所見を伺います。

 

○江田国務大臣 今、カナダで結婚、離婚して、日本に帰って、カナダでは共同親権、日本では単独、そういう事例も恐らく現実にはあるのかと思いますが、私は余り国際私法というのは詳しくないんですが、婚姻と離婚の準拠法が、もしカナダならカナダ、日本なら日本、どちらかになるのではないかと思いますが、現実には、今委員がおっしゃったようなこともあるのかなと思います。
 そうした混乱も乗り越えていかなきゃいけない。共同親権を選択制にすること、親権の一部停止、そうしたことも、議論は、特に一部停止ということについては今回法制審議会でも検討されたということでもございますし、委員の今の問題提起というのは卓見だと思います。

⇒今は、選択制よりも原則共同親権がいいですね。

 

○馳委員 一事例ではありますが、参考にということで、もう一度お聞きください。
 カナダで結婚していた日本人同士が、カナダで離婚をした。カナダの法的根拠のもとで、共同親権。一方が、何かあったんですよね、日本に帰ってきて裁判を起こして、単独親権だと。カナダに残された日本人はたまらないですよね、これは。御理解いただけると思います。紛争がいまだに継続している事案もあります。
 これはやはり、国際結婚といっても、日本人同士が海外の法制度のもとで結婚した場合というふうな事案もあるそうであります。国によって、共同親権、選択制共同親権、あるいは共同監護ということを考えると、私は、今から申し上げるこの点が一つのポイントかなと思うのは、離婚するときには、ちゃんとお互いに話し合って、共同の養育計画、養育費の支払い、やはりこの計画書をちゃんとつくって、石井さん、よく聞いておいてくださいよ。離婚するときにつくっておいて、その上でないと離婚できませんよと。もちろん、計画をつくっていたものが、なかなか履行されないこともあるかもしれませんが、それだけの心構えを持ってやはり対応すべきではないのかな、私はそういうふうに思っているんですが、大臣の所見をまず伺いたいと思います。

 

○江田国務大臣 委員の御意見は大切な御意見だと思います、説得力も随分あると思いますが、別の見方もまたありまして、養育計画などをちゃんと決めないと離婚ができないということになりますと、離婚が随分おくれてしまって、その間に人間関係がもつれにもつれというような心配をする向きもあります。
 委員のお話のとおり、十分に話し合って、十分な理解のもとで、面会交流も、費用の分担も、そして養育計画についても、子の父親、母親で合意がきっちりできて、それが実行される、それなら二人は別れる必要はないのじゃないか、いや、そうではないので、夫婦でいることと親子の関係とはまた別ですから、夫婦としては、そろそろ、そろそろといいますか、終わりにしたい、しかし、親子の関係というのは、父親も母親もちゃんと持って育てていきたい、そういうことがちゃんと社会で一般的に行われるようになれば、それは、別れるのがすばらしいとは言いませんけれども、まあ一つのあり方だと思いますが、現実には今なかなかそこまでいっていないので。
 特に日本の場合は、まあ日本の場合といいますか、婚姻は両性の合意によってのみ成立するということになっていて、離婚も同じですから、なかなかそこまで、離婚の条件と離婚の効力要件というようなところまで法制化するのは困難があると思っております。

 

○馳委員 離婚をするに至るさまざまな事情があって非常に大きなストレスを抱えている夫婦にとって、やはり、共同養育についての要件あるいは養育費の支払い等を、その計画を立てないと離婚できないよというふうに法的に課すのはいかがかというふうにおっしゃいますが、あえてまたもう一度言います。
 今回の改正はやはり子の利益を考えてという、そこのスタンスに立っているものでありますから、子供の利益、子供の最善の利益ということを考えた上で、そこまでのいわゆる歩み寄りを求める、あるいは、これは社会的な規範として、あんた、子供のことを考えて離婚しなさいよ、二人が別れるのはいたし方ないとしましょう、子供のことを考えた面会交流、そして養育費の支払い、それこそまさしく親としての責任を、親同士が離婚した後でも親としての責任を果たしなさいよというふうな言い方は、これはむしろすべきなのではないかなと私は思っていて申し上げているんですが、いかがでしょうか。


○江田国務大臣 先日、青少年特別委員会との連合審査会のときも申し上げましたが、私などの若かりしころは、子供のことを考えたら離婚しなさんな、そういう時代だったんだと思います。しかし、今はそこは変わってきた。子供のことを考えたら離婚しなさいというのもあるいはあるかもしれませんし、離婚というのはやはり夫と妻のことで、だけれども、子供のことは一番に考えなさいよ、だから、離婚は離婚でいいけれども、子供のことはちゃんと考えて、これから先、責任を持った父親、母親でありなさいよ、これが社会の常識になっていってほしいと、本当にそう思います。
 ただ、法規範としてそれを書き込んでしまうところまでいけるかどうかで、私は、いろいろな場面場面で、子供の将来についていろいろな計画をするなり、あるいは折に触れて相談して育てていくなり、そういうことが成熟していくことは大切なことだと思っております。

⇒父母双方が互いにいがみ合っていては何も解決しない。子どもの視点に立って、葛藤を下げていく必要がある。子どもの視点に立てば、答えはおのずと出る。

 

○馳委員 そこで、一つの提案をしたいと思います。親教育プログラムについてであります。
 アメリカの多くの州で、子の監護や面会交流で争っている夫婦に対して、親教育プログラムの受講が義務づけられています。韓国でも、二〇〇七年法改正で、未成年者の子供がいる場合は、協議離婚書を提出する前に親教育プログラムの受講を義務づけております。
 ここで言う親教育プログラムとは、離婚の子供への影響についての知識をふやしたり、子供をストレスにさらすことを減らすことなどを目的として、講義を受けたりビデオ鑑賞をしたり、場合によってはディスカッションなども行われております。
 このような試みは、日本でも一九九九年から数年間大阪家裁で試行されております。それはどういう内容で、どういう結果だったんでしょうか。さらに、なぜ、現在において広く一般化されて実施されていないのでしょうか。日本でも親教育プログラムの受講義務づけを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者 大阪家裁で試行されておりました件につきまして、この取り組みは、家庭裁判所におきまして当事者への働きかけを行う際に、適当な事案を選んで、リーフレットであるとかスライドビデオを用いる、そういったことによって、そういったことの有効性について研究したものでありまして、個々の事件における夫婦への効果的な働きかけあるいは助言のあり方について研究した事例でございます。
 研究の結果といたしまして、スライドビデオの視聴やその後の助言によって、一定の望ましい効果が得られたものもございます。他方で、当事者の態度の硬化を残念ながら招いたという例も紹介されております。
 そのため、こういった働きかけによって十分な効果を得るためには、当事者において面会交流に向けた心の準備がどの程度できているのかといった点を見きわめた上、いつ、どこで、また、だれの同席のもとでこういったビデオを視聴するのか、そういったあたりのところを適切に選択していく必要がある、そういった指摘が研究の成果の中で指摘されているところであります。
 これらを含め、その他の研究の成果も含めまして、現在では、全国の家庭裁判所において、必要に応じて、リーフレットであるとか絵本、あるいはDVDなどを利用して、当事者夫婦に対して働きかけが行われているところでありまして、家庭裁判所といたしましては、個々の事案に応じて、その当事者の状況であるとか葛藤のさまざまな原因等に応じて適切に対応しているものというふうに考えております。

 

○馳委員 我が国の協議離婚は、親権者を決めて離婚届を提出するだけで離婚が成立いたします。しかし、未成年者の子供がいる場合に、離婚後の子供の養育問題について何の取り決めもなく離婚を認めることは、余りに安易で、無責任で、まさしく子の最善の利益に反していると思いますが、いかがですか。

 

○江田国務大臣 親権者の定めだけで、面会交流も、それから費用の分担も何も定めずに離婚届を出す、あとは非監護親の方は知らぬ顔というのがよくないということは、本当にそう思います。
 今、親教育プログラムの話がございましたが、私は、行政の方が司法に余り口出しを、余りといいますか、口出しをしない方がいいんですが、私の知っている限りのことで言いますと、家庭裁判所は、少なくとも、調査官がいろいろなカウンセリングもするように体制をとっていることが期待をされているのでありまして、家庭裁判所、頑張れと言いたいところです。
 ただ、おっしゃるとおり、家庭裁判所に行かない離婚というのが、つまり協議離婚届け出だけ、これが常態ですので、そこのところは、社会一般の離婚夫婦の支援体制というのが必要なんだと思います。

 

○馳委員 改めて質問いたします。
 協議離婚が成立する法的要件として、離婚後の子供の養育計画、養育費の支払いも含めて、その提出を義務づけるように民法を改正すべきであると私は提案したいと思いますが、いかがでしょうか。この制度化は、母子家庭における児童虐待の防止にも大変役立つと考えておりますが、改めて大臣の所感を伺います。

 

○江田国務大臣 そのようなことが社会一般の十分な理解を得るようになれば、それは大変いいことだと思います。


○馳委員 関連して、共同養育計画の義務づけは、民法の改正をしなくても特別立法でも対応可能ではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
 すなわち、民法第七百六十五条第一項は、「離婚の届出は、」云々とありまして、「その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。」と規定されております。共同養育計画義務づけ法という特別立法を、同条の「その他の法令」と位置づければよいのではないでしょうか。いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣 法形式上は、それは、一般法であれ特別法であれ基本法であれ同じ法ですから、そういうことは不可能というわけではございません。しかし、これは家族のあり方、親族法の一番の基本のところで基本法ですから、基本的には、市民社会基本法である民法において規定されることが望ましいと思っておりまして、いずれにせよ、離婚の成立要件に養育計画を付することを義務づけるということは、慎重な検討が必要であると思います。

⇒「親教育プログラム」は必要!家裁のパンフやビデオは誰も見ていないし、意味がない。家族のためのADRセンターが実施している講座が良かった。全国で実施してほしい。

⇒「共同監護策定計画」も必要!取り決めることで、子どもの貧困なども解消できる。

 

○馳委員 面会交流の件について、一件お伺いいたします。
 先般の質疑において、民法改正の趣旨がいかなるものか、大臣の答弁によって明らかになりました。特に、面会交流が原則なんだという趣旨は家裁等の実務者側によく伝わったと思いますし、大臣に感謝したいと思います。
 そこで、あるべき面会交流の具体的な標準といいますか基準といいますか、こうあるべきだという欧米等との比較を私もいろいろ資料を拝見してみましたが、最高裁法務省厚労省が連携して、あるべき面会交流の回数、面会の質の向上を目指して、面会交流のあり方、監護親の同伴の是非などを含めて、これは外部の専門家も交えてしっかりと研究していただきたいと思います。政府のしかるべき審議会において諮問をし、答申を得て対応していただきたいと思っております。
 大臣、親権の問題は、今回、児童虐待防止法改正等々からの積み残した宿題として私も随分と質問させていただきましたが、離婚した後の子供の立場を考えたときに、引き離されたといいますか、一緒に同居していない一方の親の立場、それから、子供の成長に、お父さん、お母さん両方との交流がいかに重要であるかということの観点において、面会と交流の重要性というのは大臣にもおっしゃっていただきましたし、継続的な交流の必要性ということもおっしゃっていただきました。
 改めて、そういった観点からも、具体的に、面会交流、一カ月に何回ぐらい、何時間、あるいは泊まりがけ等々を含めて、ちょっと検討を深めてほしいと思っているんですよ。先般、最高裁は月に一回以上というアンケートしかとっていなくて、それはあんまりだよというふうなことを私も申し上げましたが、この観点についての大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わります。

 

○江田国務大臣 どの程度の頻度でどのような態様の面会交流を行うのが子の利益にかなうかということは、これはやはり個別事件の事案ごとに判断するしか仕方がないので、あるいはまた各国の文化や社会環境の違いにもよるので、単純に比較することはなかなか難しいと思います。
 いずれにしても、そうした面会交流の頻度、態様などについて、子の利益の観点から適切に取り決められていかなきゃいけないと思います。
 そして、今法務省では、親子の面会交流に関する調査研究を委託し、報告書が取りまとめられつつあるところでございまして、そのほかにも、家庭裁判所で面会交流事件の分析とか、今の調査研究では、家裁の面会交流の分析のほか、民間面会交流支援団体からのヒアリング、当事者からのアンケートなども実施をしておりまして、こうしたことを踏まえつつ、関係府省庁と連携しつつ、可能な対応について考えていきたいと思います。

○馳委員 終わります。ありがとうございました。

⇒家裁は「月1回2時間」を相場と主張するが、なんら根拠はない。法務省は、海外の事例をしっかり学ぶべき。

 

○城内委員 今民事局長から、一義的な基準を設けることはなかなか難しいというような御答弁がありましたけれども、やはり実態として、監護者である親が非監護者となった一方の親に対してなかなか会わせないという実態が多いわけですから、何度も言うように、絵にかいたもちにならないように、やはり面会交流が促進されるような基準をしっかりとつくって、それにのっとって運用を実施すべきではないかというふうに私は考えております。
 次の質問に移りますが、七百六十六条の改正によりまして、今後、面会交流が実際に促進されるということになるのであれば、どうせなら、将来的に親権ないし監護権を離婚後も両親が、いわゆる共同親権ですか、共同で行使することを認めることにしよう、つまり、民法八百十九条では単独親権のみ規定されておりますが、それを改正して共同親権を創設すればいいではないか、こういう議論があったというふうに承知しております。
 ただ、私は個人的には、親権を単独親権から共同親権に変更するとしますと、日本におけます離婚観、家族観が大きく影響を受けるのではないかなというふうに考えております。これはそういうことを主張する学者の方もいらっしゃるところです。
 つまり、離婚で婚姻が破綻した以上、男女には何の関係も残らない、どちらかというと、そういう伝統的な離婚観というのが日本にあります。もし仮に共同親権が導入されますと、夫婦関係は解消されたとしても子の両親としての関係は残っていくという、何か準夫婦というか、非常にあいまいな状態が生じるわけです。
 そもそも、日本では、子はかすがいという表現があります。子供がいるからこそ、両親が多少のあつれきや価値観の違いを乗り越えて、お互いがちょっと我慢をして、妥協して、まあやっていこうじゃないかというような考え方があります。私は、これは非常にいいことではないかと思うんですが、もし共同親権となって、簡単に離婚して、子供に両方の親が会えてしまうとなると、これは子供から見ると大変結構なことではありますが、日本の夫婦観も変わってしまうのではないかなということを私は懸念するので、共同親権には基本的には慎重な立場ですが、この点について大臣はどのようにお考えになっているんでしょうか。

 

○江田国務大臣 これは、日本ではずっと単独親権でやってきましたので、今、共同親権ということにすぐ乗りかえるというのはなかなかハードルが高いと思っております。
 ただ、子はかすがいだから別れるなというのも、どうもなかなか言いがたい一般の夫婦関係についての理解となってきておりまして、子供はできた、しかし、夫婦は一緒にやっていけないさまざまな事情がある、ここは別れましょう、しかし、子供はそれぞれの責任を分担しながら育てましょうというような離婚も、これからは珍しくなくなってくるんだろうと思っております。
 いずれにせよ、今回は、単独親権制度のもとでも非親権者との面会交流というものが適切に実行されれば、子の利益は図られていくので、子の利益を図るために共同親権でなければいけない、そういうところまでは今まだ至っていないんだと思っております。

 

○城内委員 私は、戦後の行き過ぎた個人主義で、子供がいるにもかかわらず、安直な離婚というのが非常にふえているような感じがいたします。もちろん、DVだとかいろいろなさまざまな理由があって離婚をするということは、これはもう当然認められるべきだと思いますが、やはりそうした風潮に歯どめをかける必要はあるんじゃないかな、私は個人的にはそういう立場で考えておる次第でございます。
 もう一点ですが、民法七百六十六条の改正に関連しての質問ですが、特に現行法の規定では、裁判所の面会交流命令に監護者が従わなくても、その監護者が親権を喪失したり、あるいは監護者から子供を取り上げて非監護者の方に移すというようなことはほとんどないというふうに伺っているんですね。それを知っていて、確信犯で行動している監護者が、一方の非監護者に子供を一切面会させないというようなこと、いわゆる連れ去りですね。それで、いや、どうしても会いたいといって、その一方の元配偶者、あるいはまだ協議離婚が成立していない配偶者が来て、子供に会わせろと言ったら、警察を呼ばれて追い返されたとか、誘拐だとか言われたとか、そういう実態がどうもかなりあるそうです。
 これは、私は、明らかに子供の利益、児童の利益に反するというふうに考えておりますけれども、この点について最高裁の方の見解をいただきたいと思います。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者 親権者、監護権者の指定等につきまして、いずれも、各個別の事案に応じて家事審判官が判断いたしておるわけでございます。
 その種の事件におきましては、双方の親あるいは子供に関するさまざまな事情を総合的に検討する、そういった判断枠組みのもとで、一方の親が他方の親の同意なく子を連れて別居し、その後、面会交流に応じないといった点につきましても一つの事情として考慮されており、事案に応じて、子の福祉の観点から、適切な考慮、判断がなされているものと承知いたしております。

⇒監護親のエゴは今も続いている。

 

○城内委員 今御答弁ありましたけれども、実態は、私はいろいろ調べたら、やはり連れ去っちゃった方が勝ちみたいな、その後、連れ去られたと感じている方が言ってもなかなか会わせてくれないという実態があって、強制力もありませんし、さらに、会わせてくれと行ったら、まだ離婚が成立していないけれども、既に事実上の内縁の夫ないし妻がいて、追い返されるというケースが非常に多いというふうに伺っております。
 この民法七百六十六条の改正で面会交流をどんどん進めようということは大変結構なことではありますけれども、では、実態が本当に改善されるかというと、やはりそこら辺は、きちんと運用を各裁判所がやっていかないと、改善されないんじゃないかと思います。
 この点、実は、アメリカのカリフォルニア州では、離婚時に裁判所が子供の監護権者を決定する際に、友好的な親かどうか、要するに、離婚はするけれども、一方の親にちゃんと会わせますよと約束をしてくれる、そういう場合を監護者として指定する一つの判断基準にとっている。いや、もう離婚した以上は絶対に会わせませんよというようなフレンドリーじゃない親は、なるべく監護者にさせない、そういう基準を採用しているようですけれども、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

 

○江田国務大臣 別れる場合に、子の監護者を決める。そのときに、相手に対してどちらの方がより寛容であるか。片方が、いや、月一回会わせます、もう片方は、いやいや、月に二回は会わせます、それなら、その月二回会わせる方を監護者に決めよう、そういうルールといいますか、裁判所のやり方、これは一つの考え方だとは思いますが、子の利益の判断に当たって、そのほかにもいろいろ考えなきゃならぬ点はいっぱいありまして、この点だけを判断基準とするのはちょっと相当でない。しかし、重要な指摘だと思います。

 

○城内委員 いずれにしましても、監護者のエゴ、あるいは監護者が親権を既得権として一方の非監護者の権利を排除するような事例、これはやはり児童の福祉、権利という観点からも、あってはならないことだと私は思います。虐待といったような特異なケースを除いて、やはりこれは運用面、あるいは基準をしっかりつくって、そういったエゴあるいは既得権化が行われないようにしていかないと、何度も言いますように、法律は改正しました、しかし、絵にかいたもちで、実態は余り変わっていませんということになりかねないのではないかと思いますので、その点についてぜひ今後の検討課題としていただきたいというふうに思っております。
 最後に、もう時間がほとんどありませんけれども、人権侵害救済機関の設置について質問をさせていただきたいと思います。
 これは報道によることですが、今月十三日に民主党が、川端達夫衆議院議院運営委員長を座長として、人権侵害救済機関検討プロジェクトチームを開いたというふうに報道されております。その中で、内閣府の外局として、人権侵害を調査し、勧告する権限を持った独立機関を設置する法案を今国会に出す方向で協議を始めたとされております。川端座長は、その中で、一刻の猶予も許されない、政権交代をしたのだから、大きな一歩を踏み出したいと述べたとあります。そしてさらに、来る五月上旬までに党内合意を図るという方針である、そういう報道がされています。
 私は実は、民主党の中にも、若手の議員の方と何人か交流しておりますが、彼らは反対だと。党内にそういう反対論が根強いというふうに私は理解しているんですが、大臣はこうした反対論が所属されている民主党内にあるというふうに認識されていますでしょうか。

 

○江田国務大臣 民主党もなかなか幅広く、いろいろな意見があることは承知しております。

 

○城内委員 もう質問時間が終了しましたが、幅広い意見があるという意味ではなくて、それはもう当然ですよ。しかし、そういった反対意見にもぜひしっかりと耳を傾けていただいて、これまで大臣にも何度も質問させていただいているように、人権委員の選出方法をどうするのかとか、あるいは、まさに人権救済機関をつくったらどれだけコストがかかるのか、こういった点もしっかりと数字を出していただいて、私は反対の立場ですけれども、つくるというのであれば、どれだけ効果があるのかというのはしっかりと数字と証拠で示していただきたいと思います。
 以上、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

⇒フレンドリーペアレントルールを適用すべき。今の家裁は絵に描いた餅にすぎない。

 

【第177回国会】衆議院法務委員会 第8号 平成23年4月20日

衆議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:平沢勝栄 衆議院議員自民党

     大村敦志 東大名誉教授

 

○平沢委員 最後に大村参考人にお聞きしたいと思います。
 先ほど、今回はいわば児童虐待の観点から親権の一部を見直したということで、これから家族法全体の現代化等に取り組んだ方がいいというお話でございました。大村参考人、今回の法改正は児童虐待防止を目的としたものですけれども、児童虐待防止に一定の効果はあると思いますけれども、その辺について、効果についてはどのようにお考えになられて、今後、法の見直しでこの辺はぜひやってもらいたいというような点がありましたら、ぜひ教えていただけますでしょうか。

 

○大村参考人 ありがとうございます。
 今回の立法の効果についてでございますけれども、制度としては従前よりも使いやすいものを用意できたのではないかというふうに考えております。
 ただ、吉田参考人、磯谷参考人の御指摘もございましたけれども、これを適切に運用していくための実際上の制度づくりというのが重要なのではないかというふうに思っております。施設が権限を行使するというのを、社会がそのようなものとして受け入れていくというようなことを普及していただくということが大事だろうというふうに思っております。
 それから、今後の課題としてどんなものがあるのかという御質問でございましたけれども、親権に関して申しますと、今回は、例えば、懲戒権の規定をどうするのかというような問題につきまして、必ずしも完全な答えを出したわけではございません。これは、親権の内容として別に居所指定権というのがございますが、こちらをどうするのかということともかかわっております。居所指定権は、子供の奪い合いとの関係で非常に問題を含んだものでございますので、こうしたところをあわせて検討するというようなことが親権に関する課題としてはございます。
 また共同親権というのも各所で今話題になっているところでございますけれども、これなどについても検討することが必要だろうというふうに思っております。
 それから、親子の関係がさまざまな形で複雑になっているということもございますので、親子法の問題、そして離婚あるいは配偶者の死亡の問題等々、挙げると切りがないわけでございますけれども、親権に関する問題としては、先ほど申し上げたようなものは早急に対応する必要があるかと考えております。

共同親権も早急に対応する必要がある。

 

 

【第174回国会】衆議院厚生労働委員会 第20号 平成22年5月14日

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:馳浩 衆議院議員自民党、前共同養育議員連盟会長、現石川県知事)

     長妻昭 厚生労働大臣

 

○馳委員 今大臣は、私が指摘をした法制化の話はちょっとあえて避けられたような気もいたしますが、この充実というのは、特に、私は川端文部科学大臣にきつく言ってほしいんですよね。小学校の敷地、施設を使えるじゃないかと。ちょっと改築すれば、十分使えるんですよ。親だって安心ですよ。小学校というのは、基本的に小学校一年生の足で歩いて通うことのできる距離にあるわけですよね。学童保育にとってもベストの環境にありますよ。
 これまでの経緯もありますから、民間でやっていたり児童館でやっていたりすることもありますが、小学校においてもできるんですよ、施設も十分使えるんですよということを進めていく必要もあるし、また指導員の、多分これは全国平均を調べたら数字が出ると思いますが、百五十万から二百万の指導員の給与ですよ、こういう現状を放置しておくべきではないということを強く申し上げたいと私は思います。
 最後に、一人親家庭支援策のもう一つの問題を申し上げて、答弁を伺って終わりますが、現在、離婚後の共同親権の法制化運動や、離婚後の親権、監護権のない親からの子供との面会交流を求める運動が大変盛んになっております。私も、共同親権の問題や、親権の問題について取り組んでおります、この面会、面接交流権ね。
 この運動について、手当という、児童扶養手当のこの問題ばかりではなく、私は、厚生労働省として、こういう運動についての認識を深めてもらい、賛成をして、法務省あるいは外務省とも、これはハーグ条約に絡む問題でもありますよね、ぜひ取り組んでいただきたいと思っているんですよ。
 大臣の認識をお伺いして、私の質問を終わります。

 

○長妻国務大臣 まず、今の点におきましては、今法務省民法の改正を検討しておりまして、その趣旨のことも盛り込むか否か検討中であると聞いております。
 そして、今おっしゃった、両親が離婚しても子供にとっては親子の関係には変わりがありませんし、子供の福祉を害しない限り、子供の成長のため、別れて暮らす親子が面会する交流というのは、これは好ましいことだというふうに認識しております。
 ただ、それについてどこまで、例えばルールあるいは法律ということを課していくのかというのは、これは慎重に考える必要があると思っておりまして、まずは民法の改正の考え方というのを、我々も必要があれば意見を法務省にも申し上げていきたいというふうに考えております。

 

○馳委員 今の答弁、私はちょっと容認できないんですね。
 離婚家庭のことをちょっと。大体母親が親権を持っていますよ。養育費も払わないようなお父さんに対して、要は吹き込むわけですよ、あんなお父さんと、悪口言い放題ですよ。当然、会わせようとしないわけですね。逆に、養育費を払っていたとしても、離婚にはいろいろな事情が男女の間で、夫婦の間でありますから、いいことを言わない、相手に会わせようとしないわけですよ。
 でも、一人親家庭への支援というのは、私たちは、手当の問題は、親への支援というのは直接的なんですが、本質的には子供の最善の利益を守ってやるという観点で、子供にとって、両方の親と会えるということ、離婚をした後でも自分にはお父さんとお母さんがいて愛されている状況にあるんだということをつくり出すということの認識はとても必要だと思っているんですよ。それが、残念ながら、今の民法の規定では単独親権ですから、できない状況にあるんですね。ある意味では、一人親家庭で相手の親に会わせないことは虐待ではないかというふうな認識を示している学会もあります。
 こういうことも含めて、また私は改めて見解を求めていきたいと思いますが、以上、きょうのところはこれで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

ひとり親家庭の支援は、子どもの最善の利益を守ること。それは、父母双方から愛されていることを認識できること。その通り。

 

【第174回国会】衆議院法務委員会 第7号 平成22年4月16日

衆議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。結構長いです。

 

登場人物:下村博文 衆議院議員自民党

     菅直人  副総理

     千葉景子 法務大臣

     西村智奈美 外務大臣政務官

 

○下村委員 菅副総理が、私とは大分立場は違うんですが、その私からすると、菅副総理でさえ、四月三日、北京に行ったときに、温家宝首相と会談しているんですね、このとき、この問題について、日本の基準からすると罰則が厳しいと思う人が多いと述べて、死刑執行の判断に異を唱えた。これは明確に温家宝首相に対しても伝えているんですね。これは、やはり日本国の法務大臣として、邦人がほかの国で処罰を受けるということについて、それは異を挟む云々ではありませんが、しかし、我が国の法基準とそれから国際的な基準からして、いかがなものかという程度のことをこれは発言していただかないと、邦人に対して日本国が守るときは徹底して守るというのが国家の役割ですから、私は、それが問われるのではないかというふうに思います。
 ただ、きょうはちょっとこれがメーンではありませんので、その問題提起をさせていただきたいと思います。
 きょうは、共同親権と面会交流について御質問させていただきたいと思います。
 これは、千葉法務大臣と一緒に超党派の国会議員の勉強会をずっとさせていただいている中、このことについては問題意識は共有をさせていただいているというふうに思いますので、これはぜひ前向きに、きょう、踏み込んだ答弁を私はぜひ期待を申し上げたいというふうに思います。
 私は、この共同親権と面会交流について、子供の視点から問題提起をさせていただきたいと思いまして、きょうはお手元に資料を配付させていただきました。
 この資料をごらんになっていただきたいというふうに思うんですが、まず資料一、これは「貧困率の国際比較」でありますけれども、我が国は、OECD三十カ国の中で、相対的貧困率が二十七番目子供の貧困率は十九番目ですが、特に親が一人の家庭においては貧困率が五八・七で三十番、一番びりなわけですね。これは数年前のイメージからすると、本当にもう考えられないような我が国の状況であるというふうに思います。
 さらに、資料の二を見ていただきたいというふうに思うんですが、これは「母子世帯・父子世帯の状況」でありますが、一人親世帯といっても、実際は母子家庭が九割近くあるわけですね。この中で、母子世帯の場合には、常用雇用している母親はわずか四二・五%ですので、平均年間収入が二百十三万円。これは、全世帯の平均年収が五百六十四万、この全世帯の平均年収の半分以下が貧困世帯と言われますので、平均ではありますけれども、母子世帯はほぼ全世帯が貧困世帯ということになるわけで、結果的にこれが三十カ国の中で最下位、こういう数字になるわけです。
 それから、資料の三を見ていただきたいと思うんですが、これは「婚姻及び離婚件数・率の推移」。一九七五年から二〇〇八年までの中で、特に二〇〇〇年になってから、二〇〇〇年が婚姻件数が七十九万八千百三十八件で、離婚件数が二十六万四千二百四十六件。二〇〇五年にしても、直近の二〇〇八年、婚姻件数七十二万六千百六件のうち、離婚件数が二十五万一千百三十六件ということですね。三組に一組ぐらいが二〇〇〇年代に入ってから離婚をしている、こういう状況なわけです。
 さらに、この中で、離婚件数が約二十五万一千件あるわけですけれども、子供がある夫婦の離婚というのが、このデータには出ておりませんが、このうち十四万四千組あります。そのうち、子供の延べ数でいうと、二十四万五千人が子供の延べ数になります。ですから、子供のこのときの出生率が百九万人ですので、子供の四・五人に一人が成人するまでに親が離婚をしている、今こういう我が国の状況なわけですね。これがこの貧困問題とも深くかかわりを持っているというふうに思います。
 一方、この貧困問題のもう一つとして、我が国の養育費。大体、今の数字のように母子家庭が多いわけですね。ですから、別れた元夫といいますか、夫婦は別れたら赤の他人ですが、親子は永遠に親子なわけですね。ですから、父親からの養育費、子供が成人するまでは、これは子供からすれば受給をするのは当然なことだと思うんですが、残念ながら、直近のデータでは一九%。それが、アメリカでは五〇%、それからヨーロッパ諸国では五〇%から七五%ぐらいは養育費が支払われているということで、我が国においては一九%ですから、ほかの国に比べても大変厳しい、それがこの子供の家庭における貧困率を世界で最下位にしているという要因の一つにもなっているのではないかと思います。もちろん、その母親、女性の職場をどう確保するかという雇用の問題も大きな課題としてありますが、子供の立場から見ると、この養育費の問題があります。
 我が国において、この一九%をほかの国並みに上げる方法はないのかということがまずは問われると思うんですけれども、これは、なぜ日本が少ないのか、また、この養育費の受給を上げる方法というのは考えられないのか、これについて御意見をお聞きしたいと思います。

⇒日本の「子どもの貧困率」は世界最下位。養育費の支払い率も世界最下位。

 

○千葉国務大臣 先生御指摘のとおり、我が国では、子供に対して、監護していない親からの養育費の支払い、これが大変低いということ、大変残念ですし、子供にとっても大変つらい問題だというふうに思っております。
 なぜこういうことになっているかということ、これも一概にはなかなか言えませんけれども、よく指摘をされることは、養育費が支払われない理由として、まず、離婚の際、やはり非常に感情的な対立等があるものですから、養育費について十分にお互い冷静に取り決めたり、あるいは考えたりする、そういう状況がなかなかできない、こういう問題。それから、支払い能力。今、貧困率のお話がございましたけれども、離婚した後の親の側にもなかなかその支払い能力がない、こういう問題。それから、適切な養育費の支払いということが、子供の福祉、そしてまた、親にとっては、離婚をしようとも、直接監護者になっていないとしても、それが当然の責任なんだという認識、こういうことがまだまだ十分に理解をされていないということがあるのではないか、こういうふうに思います。
 ただ、本当に養育費が支払われないということは、私も大変心配をしていることでございます。
 これまでも、確かに、民事執行法の改正などによりまして、例えば、養育費に係る定期金債権について、弁済期の到来していない将来分の債権も一括して差し押さえをすることができるとか、あるいは、給料債権等の差し押さえ禁止の範囲が四分の三から二分の一に緩和をされたというようなこと、それから間接強制制度も使うことができる、こういうようなことはされているんですけれども、それだけで養育費の支払いはなかなか上がっていないというのが実情だというふうに思います。
 ぜひ私も、制度のあり方を含めて、養育費の取り決めをまずきちっと行う、履行の確保についても今のようなことも活用しながら促進をしていくということも当然していかなければいけませんが、さらに、いろいろな諸外国の制度なども十分に勉強しながら、養育費がきちっと子供のために支払われる、そして子供に大変厳しい貧困をもたらさない、やはりこういうことを考えていかなければならないというふうに思って、今勉強もさせていただいているところでございます。

 

 

○下村委員 我が国は子供にとって幸せな社会システムになっているかというと、残念ながら、時代の大きな変化の中で、例えば家族制度なんかも、核家族化、あるいはその制度そのものが崩壊しつつある中で、それに対して離婚を禁止するということはできないわけですけれども、しかし、そういう家庭においても、新たな社会的なフォローアップをしながら、子供の福祉、子供の幸せ、子供を健全に育成していくような新たな社会システムを時代の変化に対応してどうつくっていくかということがやはり問われてくるというふうに思うんですね。
 ですから、今のお話も、養育費については確かにそれまでも履行率が大変低かったということで、平成十五年、それから十六年の民事執行法の改正によって、養育費についての強制執行の特例や間接強制制度を導入したわけです。しかし、にもかかわらず、今申し上げたように、平成十八年度において、離婚した父親から現在も養育費を受けている母子世帯の割合は一九・〇%。
 ですから、これは養育費だけの問題ではなくて、単独親権、養育をするのであれば、これは同時に、やはり永遠に親子は親子ですから、子供が成人するまでの間は精神的にも父親がフォローするという意味での例えば面談、それからあとは、ほかの国がほとんど取り入れられておりますけれども、共同親権とか、そういう時代の変化に対応して、各国がそのような法改正をしているわけですね。
 ですから、我が国においても、子供が健全に育つための対応として、やはり親はずっと親であってほしいという中で法律改正を考えていかなければならない、そういう時期に来ているのではないかというふうに思うんですね。
 その中で、今、国際的には、非常にその部分が日本はおくれているのではないかという批判がある中で、例えばハーグ条約というのがあるわけですけれども、これは、子を不法な連れ去りにより生ずる有害な効果から保護する、面接権の保障を確保する、つまり、国際的な子の連れ去りは親の監護権あるいは面会交流の侵害になるということで、このハーグ条約について、ほかの国において締結されているのにもかかわらず、日本は締結されていないというような問題もあります。
 そういう中で、ほかの国から見て、つまり、子供の問題というのは国際的な問題にも今なっているし、同時に、国内のそういう貧困の問題もあるわけですね。その国際的な問題がある中で、今、日本は、子供の連れ去りについて直近においてどんな問題があるというふうに外務省として認識されているのか、お聞きをしたいというふうに思います。

⇒日本は世界から遅れている。世界は「共同親権」の時代。

 

○西村大臣政務官 お答えいたします。
 国際的な子供の親権の移動ということについてのお問い合わせでございますが、近年、国際結婚とその破綻がふえており、その中で、日本人女性が、外国からみずからの子を配偶者または元配偶者に無断で日本に連れ帰る事例が増加をしており、外国政府から問題提起をされているところでございます。また、日本から諸外国への子の連れ去りに関する事案についても、外務省に対する支援要請や問い合わせが増加しております。
 欧米諸国政府のハイレベルからは、子を移動前の居住国に返還するための仕組みを定めるハーグ条約の締結について申し入れがなされており、本件問題についてはアメリカ議会の関心も非常に高く、下院で、ハーグ条約を締結していない日本を含む各国に対して、その締結を求める決議が採択をされております
 以上です。

ハーグ条約の批准に、欧米諸国の高官から批准申し入れがあった。アメリカ下院で締結を求める決議まで採択された。

 

○下村委員 今、ハーグ条約を締結している国が八十二カ国ですね。日本は締結をしていない。これは現在なぜ締結をしていないのか、その理由についていかがですか。

 

○西村大臣政務官 なぜということに対する直接的なお答えはないのでありますけれども、私ども、政権担当してまだ七カ月でございますので、今ようやく、この締結の可能性については真剣に検討してきているというところでございます。
 条約の締結に当たっては、さまざま検討を十分に行わなければならない課題がありますところ、外務省としては、それに対してできるだけ早く結論が出せるように、法務省を初めとする関係省庁とともに協力をして、この作業を加速化させていきたいと考えております。



○下村委員 別に鳩山政権を責めているわけではなくて、我々の政権のときからの課題でもあって、これは我が国において不作為の作為であってはならないわけで、現実問題として、特に近年、国際結婚がふえていて、その中で破綻をしてしまったという夫婦もふえている中で、子供の連れ去り問題というのが、より国際的な大きな問題になっているというところから、早目に対応していく時期に今来ているのではないかと思うんですね。
 その中で、日本においてはほとんど意識されていないんですが、子の連れ去りが犯罪とされて刑罰刑が科せられる、そういう国があるというふうに聞いておりますけれども、どんな国があるか、また具体的にどういう刑罰刑があるのか、おわかりであればお答えいただきたいと思います。

 

○西村大臣政務官 おっしゃるとおり、欧米諸国の中では、一方の親が他方の親に無断で子供を連れ去る行為が犯罪とされる可能性がある国があると承知をしております。
 具体的にどの国かということでありますけれども、例えばアメリカ、カナダにおいては、そういった可能性のある国であると申し上げることができると思います。
 そしてまた、その刑罰でありますけれども、これも各国の法制度、そしてその解釈、運用の問題でありますので、日本政府として一概にお答えをすることは困難でございます。

⇒子どもの連れ去り問題が国際問題になっている。「立法不作為」は国賠裁判でも指摘されている。


○下村委員 一番典型的な国の事例、おわかりになりますか。
 これは外務省からいただいた、例えばカナダの事例ですけれども、領事情報として、在カナダ日本国大使館が出している資料があるんですね。この中に、
  カナダや米国の国内法では、父母のいずれもが親権または監護権を有する場合に、または、離婚後も子どもの親権を共同で保有する場合、一方の親が他方の親の同意を得ずに子どもを連れ去る行為は、重大な犯罪(実子誘拐罪)とされています。
  例えば、カナダに住んでいる日本人の親が、他方の親の同意を得ないで子どもを日本に一方的に連れて帰ると、たとえ実の親であってもカナダの刑法に違反することとなり、これらの国に再渡航した際に犯罪被疑者として逮捕される場合がありますし、実際に、逮捕されるケースが発生しています。
ということで、邦人に対してこのような領事情報を提供しているわけですね。
 ですから、犯罪を犯しているつもりはないけれども、結果的には、もし、またカナダに戻った場合には、我が子を誘拐したということでそこで逮捕されてしまう、そういうことがやはりあるわけですね。
 ですから、これは本人の問題というよりは、やはり国際ルールは国際ルールですから、先ほどの中国の例もそうですけれども、その国の法律が決まっているんだからそれはもうしようがないという話じゃなくて、特に邦人問題というのは、日本国政府としてどんなバックアップができるか、それが明らかに我が国から見たら不当であれば、もちろん、抗議をしながら改善を求めることは当然ですけれども、ただ、このような子供の親権については、ある意味では世界における共通コンセンサスが成り立ちつつある中で、日本だけがその部分の法的な整備がおくれているとしたら、それはそこの不幸に陥っている方々に対してどうフォローアップするかということこそが、やはり問われるのではないかというふうに思うんですね。
 その中で、今、外務省と法務省との間で、このハーグ条約の締結についての検討を議論しているというふうにお聞きしておりますが、どのような議論をしているのか、どのような点が問題となっているのか、具体的にお聞きしたいと思います。

 

○西村大臣政務官 御指摘のとおり、今まさに外務省と法務省で議論をスタートさせているところでございますし、また、必要によって関係省庁交えての協議も必要になってくるかと思っております。
 この条約の締結に当たりましては、先ほど申し上げました、本当にいろいろ検討しなければならない項目がございまして、今その項目について両省の間で論点整理から始めているところであります。恐らく最も大きな問題は、例えば、我が国の家族関係の法制度との整合性、そしてまた中央当局の指定、こういったところが主たる争点でありますけれども、そもそもこのことからして、いろいろ、解釈上どういう解釈にするのかということも作業しながらでありますので、ここは協議を密にしてやってきているところでございます。

 

 

○下村委員 今の答弁は、抽象的でよくわからないんですけれども。
 大臣、事ほどさように、実態がよくわからないという部分があると思います。しかし、先ほどの数字で申し上げましたように、毎年相当数の子供たちが、離婚によって、成人するまでそういうような境遇に陥っている。その中で、実際に、一たん離婚すると、日本は単独親権ですから、一緒に暮らしている親とはもちろん生活していますけれども、別々になった親とはほとんど会えないという子供がたくさんふえているんですね。それで、超党派の勉強会の中で、親子面談、面談交流が法的な整備を含めてできないかという方々との勉強会をしてきたわけですね。
 これは、恐らく百万人、二百万人ぐらいおられるのではないかと思います。しかし、それは今まで、離婚を含めて、個々の人たちの個人的な問題である、親子の交流ができない云々も自分が悪いというふうな、ある意味では自分自身に対する罪の意識等を持っている中で、なかなか外へ出して発言できなかった、表明できなかった。しかし、実はそういう人が、百万人、二百万人、子供の立場から見てもいるかもしれない、こういう我が国の状況があるのではないかと思うんですね。
 ですから、この辺、日本の現状は今どうなっているのか。会えないという訴えが実際にマジョリティーにはなっていないかもしれないけれども、しかし、潜在的には相当の数の方々が困っておられるのではないか。また、先ほどのように、外国との関係で、国際結婚して残念ながら離婚するということになって、そのときになって、実は子供を日本に連れて帰ったというのが犯罪だったということで大変な目に遭っている、あるいはそもそも子供にも会うことができないというような方々の事例というのは、これは枚挙にいとまなくあるわけですね。
 これを一度、日本政府としてきちっと実態調査をまずすべきではないかというふうに思いますが、これについてはいかがでしょうか。

 

○千葉国務大臣 御指摘のとおりに、多分表にはなかなか出にくい、しかし、潜在的に、子供さんに会うことができないとか、国際結婚のもとで離婚等されて、それによって大変なトラブルや、あるいは法制度の違いによって先ほどのような犯罪扱いをされるというような事例、私もかなりの数に上るのではないかというふうに思います。
 いろいろな形で直接意見を聴取させていただいたり、あるいはちょうだいするということはできるのですけれども、実態調査というのを一体どういう形で、大変プライバシーにかかわることですし、それから、事実上の離婚状態とかあるいは法的な離婚、さまざまな実情があるというふうに思いますので、そういうものをどういう形で調査するかというのは、なかなかセンシティブなところもあるというふうに思います。そういう意味では、一般的に、そういう離婚された皆さんにどうですかと聞くわけにもなかなかいかないと思いますので。
 ただ、実情を把握するということはやはり大切なことなので、先生にもいろいろお知恵をもしおかしいただければ、そういうことも踏まえて、お声をできるだけ、潜んでいるものを聞かせていただく、あるいはどのようなお困りのことがあるのか、こういうことを私たちもしっかりと認識できるようなそういう姿勢を持って、ちょっと考えていかなければならないというふうに思っております。

⇒別居親と会えない子どもたちは、100万人から200万人いる。今も、別居親も、子ども、困っている。

 

○下村委員 ちょっと違う角度から御質問させていただきたいと思いますが、お手元に資料四を用意していますのでごらんになっていただきたいと思います。
 これは「ハーグ条約と国際離婚 国内法整備についての対応表」という表でございます。
 例えば、連れ去りケースの中で、日本国籍の妻あるいは夫が子供をハーグ条約加盟国から連れ去る、八十二カ国が加盟しているわけですね、連れ去った場合、現状において日本それからロシアがこのハーグ条約は未批准ですけれども、もし現状のままだったら、日本政府は対応はできない。先ほどのカナダとかほかの国のように、連れ去った親は指名手配になるという国も中にはあるわけですね。
 それから、ハーグ条約を批准したということになると、返還と面会交流についての日本国内の法整備がないため対応できず、それから、条約批准と子の返還のための法改正、特別法をもしつくったら、これは子の返還のみ対応可、それから、条約批准と子の返還のための法整備、共同親権とか面会交流実現のための法整備が行われれば、対応可という表をとりあえずつくらせていただきました。
 この共同親権と面会交流という問題なんですが、これはほかの国においても、もともとは今の我が国のように単独親権だったわけですね。しかし、アメリにおいては、一九八〇年にカリフォルニア州において共同監護法というものができて、そして、共同監護の法制化と、それから、共同親権、法的共同監護、この選択ができるようになってきた。それから、ドイツにおいては、一九八二年に単独親権そのものがドイツの基本法において違憲判決になり、一九九七年に親子関係改正法で原則共同親権に改正された。また、イギリスにおいても、一九八九年、親責任、親権ですね、これは、離婚とか別居によって消滅しない。
 こういうことで、一九八〇年代から、ほかの国々においても我が国以上に、当時、多分離婚が相当ふえてきたのではないかと思うんですね。先ほど申し上げたように、この中で、子供の立場から見て、やはり別れても親は親ですから、父親だったり母親だったりするわけですから、子供が成人するまではきちっと監護しよう、監護する場合においては、先ほどの養育費を含めた、あるいは精神的なフォローアップも含めて、面会交流もできるようにしよう、こういう法整備がされてきているところであるというふうに思います。
 もちろん、我が国においても、単独親権であっても、共同監護はできませんが、面会交流は可能ではあるわけですけれども、実際、今までの裁判の結果等を見ると、面会交流が実現されているというのは半分ぐらいしかない。それから、実際、裁判所において面会交流、つまり、別れた親と会うことができるというふうになったとしても、月に一回二時間ぐらいとか、それから、二カ月に一回が大体一般的であるけれども、しかし、なかなかそれも実際は実現されていないというのが我が国における今の状況です。外国における相当な面会というのは、隔週二泊三日で必ず監護権を持っていない親の方に子供が泊まるとか、日本から見たら、その辺についてかなり法的な強制力を持って親子交流ができるような形をとっているというところであります。
 その辺で、我が国の民法、第七百六十六条ですけれども、「離婚後の子の監護に関する事項の定め等」というものがありますね。これは、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。」とありますが、この七百六十六条の中に面会交流というのも入れる時期に来ているのではないか、そういう法改正が問われてもいるのではないかというふうに思いますが、御見解をお聞きしたいと思います。

⇒面会交流 (日本)月1回2時間または2ヵ月に1回、(外国)隔週2泊3日で別居親のもとで宿泊 日本と外国では大違い。

 

○千葉国務大臣 御指摘のように、現行民法におきましても、離婚しても親子関係というのは決してそこで消滅するわけではございません。ただし、親権あるいは監護、実際に監護権は片方が行使をするということになります。
 ただ、今御指摘の七百六十六条第一項、子の監護について必要な事項というところに面会交流、こういうことも含まれているというふうに解釈をすることができますし、そういう定めをして面会交流を行っているという実情でございます。
 ここをもう明文化する時期ではないかという御指摘でございまして、実は今、先生にも別な面では御批判をいただいておるわけですけれども、今国会にぜひこれも含めて民法の改正というのを提案させていただければと考えておりまして、その中では、この民法七百六十六条、ここに、父または母と子との面会及びその他の交流、そして子の監護に要する費用の分担その他子の監護について必要な事項は協議で定めなければならない、こういう形で明確に面会交流が、当然、権利として子供には認められるべきなんだということをはっきりさせていきたいというふうに思っておりますので、ぜひこの面は御理解をいただければというふうに思います。
 そしてもう一つ。やはりこれを実効あらしめるためには、多分、そこをコーディネートするようなそういう体制というのも、やはり離婚後ということになりますので、なかなか親同士連絡をとってということも困難なところもあるかと思います。そういう社会的なコーディネートのような制度もあわせてやはりしっかりと組んでいかないと実効力のあるものにはならないのかな、こう思いますが、ぜひ、改正あるいは明確化させていただきたいと思いますので、よろしく御協力のほどお願いをしたいと思います。

 

○下村委員 予算委員会で選択的夫婦別姓については意見を申し上げました。
 私は、今回の民法改正は切り分けたらいいのではないかと思うんですよ。
 まず、我が党でも、全部反対ではなくて、例えば婚姻、女性を十八歳に上げるとかというような、ほかの項目について賛成できるところが多々あるわけですね。ただ、選択的夫婦別姓については、これは明確に反対です。
 なぜかというと、先ほど申し上げたように、親子のきずなが、今、家族のきずながどんどん崩れつつあるということの中で、夫婦別姓というのは子供からすれば親子の姓が変わるということですから、自分の姓が、父親、母親、どちらかは違うということですから、あえて親子でそこまでする必要があるのかと。今、実際に困っている方々がおられれば、旧姓使用とか通称使用することによって、社会生活の中で、あるいは仕事をされる中で何ら問題点がないような形でのそういう法改正をすれば済む話であって、そもそも、本当に選択的に夫婦別姓を求めているというのは、平成十八年の内閣府の調査では七・七%の方しかおられないんですね。
 ですから、便宜的に通称使用することによって、実際お困りの方がおられるのであれば、クリアする部分ができるというふうに思います。それはちょっとまた別のとき、重要な問題ですから、きょうは時間がありませんのでこれ以上は議論は控えたいと思います。
 ただ、大臣、そもそも予算委員会のときでもそうでしたが、これは閣法はもう不可能ですよね、明確に亀井大臣は反対されているわけですから。ですから、今国会において閣法で出されるということは不可能なことなので、それにもかかわらず閣法で出されるということであれば、これは切り分けて、例えば今の七百六十六条の改正等を含めて、ほかの部分でコンセンサスの得られるところだけ出されたらどうですか。それは賛成できると思いますが、いかがですか。

 

○千葉国務大臣 ありがとうございます。
 下村委員とも本当に共通して取り組みをさせていただいてきたという問題もあり、ぜひ一緒に実現すべきものを実現してまいりたいというふうに思います。
 民法については、今、最終的にもまだまだ努力をさせていただいているところでございますので、面会交流のことも含め、そして、確かに見解を異にするところは先生ともあるかもしれませんが、ぜひ、民法全体、これからの子供のために、あるいは、本当に家族、多様な、いろいろな形でみんなが幸せになれるような、そういう気持ちを込めて今まとめをしておるところでございますので、そういう中で、ぜひ、親子の面会交流も実現を目指して引き続いて頑張っていきたいというふうに思っております。

 

○下村委員 何か、わかったような、わからないような答弁ですけれども、子供の視点から、子供にとっての社会福祉とは何か、子供にとってより幸せに生きるためのこの国の法改正は何かというスタンスからぜひ考えていっていただきたいというふうに思うんですね。
 ちょっと時間の関係で、また戻るかもしれませんが、次の項目に移りますが、あわせて、共同親権についてお聞きしたいと思います。
 共同親権は、我が国においては単独親権なわけですね。民法八百十九条、ここに、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」とあるわけです。先ほど申し上げましたように、子の福祉から考えれば、中には、すべてがすべてうまくいくとは限りませんが、協議離婚の中で、やはり子供が成人するまではお互いにきちっと責任を持とうという方々は、我が国においても相当おられるんだろうというふうに私は思うんですよ。
 ですから、この単独親権のところに、「その一方を」じゃなくて、あるいは両方とか、つまり、我が国においても、単独親権も今までどおり認めるけれども共同親権も認める、つまり共同親権も可能である、まさにそれは選択ですね。そういうことをすることによって、子供が成人するまでは親はきちっと責任を持つということを民法改正として明確にすべきではないかと思いますが、いかがですか。

 

○千葉国務大臣 今御指摘の、親が離婚をしたとしても、当然、成人をするまで責任があるのだ、こういうことは、現行法でも、これはある意味では当たり前といいますか、そういう責任があるということだというふうに思います。ただ、実質的に、その監護をする、離婚をしたということになりますので、どちらかが監護をするとか、あるいは、その生活については養育をどういう形で分担するかという、そういう形になろうかというふうに思います。
 共同親権という形をとりましても、これは確かに、責任というものが両方に引き続いてあるのだということを明確にするということにはつながると思いますが、例えば、その養育費、あるいはどうやって養育するか、あるいはまたどういう面会をするかということは、共同親権と形を整えたとしても、そこをどう具体化するかということについては、やはり現在の状況と同じような問題点は出てくるのだろうというふうに思っております。
 そういう意味で、私は、まずは実質的に、本当に面会交流が、それから、子供のためにきちっとした生活の保障ができるような、そういうことを、共同親権、あるいは面会交流の明確化、あるいは養育費の負担をどのように担保していくか、形よりも実質的なところで、できるだけ早く子供のためのきちっとした体制が整えられるようにまずは考えていくことがよいのではないかというふうに思っております。
 ただ、共同親権ということを全く否定するという考え方を私はとっているわけではございませんけれども、共同親権という形になると、法的に改めて精査をしなければいけないということにもなりますので、まずは実際的に、子供を救済する、そして子供の福祉を図るという現実的なところからできるだけ早く対応をしていくことの方が実益が大きいのではないかというふうに思います。

⇒「共同監護策定計画」の作成を必須とすればよい。

 

○下村委員 これは何か千葉法務大臣らしくない発言ですね。これは、言われていることはそうかもしれませんけれども、では、現実問題としてどうやって解決できるのかというのは、この国において相当難しいですよ。
 一番最初に御指摘しましたように、子供の貧困率というのは世界で最下位なわけですね。これは、それだけ日本において、確かに格差社会が拡大していることは事実です。これをどう解決するかということは政治の課題であるというふうに思うんですね。
 しかし、それだけで解決できるかというと、そうではなくて、子供の貧困率の中でも、特に片親家庭ですね、母子家庭、ほとんどはそこが対象になる。これは職業の問題もあるし、それから、先ほどのようなフォローアップ体制というのが、母親たった一人でやるという部分で、それがある意味では日本の今までの流れだったかもしれませんが、しかし、それが本当に子供にとっていいのかという視点から考えてきたときに、一方で、別れた親はやはり子供に会いたい、しかし、逆に言えば単独親権という権利に守られて、会えるものも会えないとか、フォローするのもフォローできないという部分も一方で弊害としてある部分もあるわけですね。
 ですから、法律として、やはり子供が成人するまでは親が責任を持つという意味では、今の法制度でもあるわけですけれども、では、実際に養育費がどこまで履行されているかというと、ほかの国に比べても極端に少ないという事例があるわけです。ですから、そういうようなことの中で、同時にいろいろな法整備をしながら、子供にとってのより生きやすい日本における社会状況は何なのかということを、あらゆるレベルで考えていく必要があるんじゃないですか。その中で阻害要因があればそれを一つ一つクリアするというのは、これは立法府としての当然の責務だというふうに思うんですね。
 ですから、共同親権の問題においても、例えば何がマイナスなのか。私が申し上げているのは、単独親権を共同親権に全部変えるという話ではなくて、単独親権は単独親権で、それの方が子の養育上望ましいという家庭も確かにあると思います、DVの問題とかいろいろな問題がありますから。一方で、共同親権とすることによって、別れた元夫か、元妻かもしれませんが、やはり子供の養育に対してはきちっと責任を持ってもらうという意味で、そういう部分があったとしても、それがさらに民法改正で、八百十九条の改正でつけ加えられたとしても、何ら問題になることではないのではないかというふうに思うんですね。
 ですから、慎重に考えるということであれば、何が問題だと思われているのか、お聞きしたいと思います。

 

○千葉国務大臣 慎重にというよりは、現在の制度をより一層生かす形でも、子供との面会交流あるいは養育費、こういうものをきちっと実現するということは決して否定することではありませんので、まずは現行法でも、やはりそれを十分に実効あらしめるということを考えていくことが大切なのではないかというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、決して共同親権という考え方を私も否定するというものではありませんし、これは大変新しい御指摘をいただいて、選択的共同親権という、なるほどと、こういうことも今私も先生から御指摘をいただきましたので、確かにそういうものも含めて検討することというのは全く否定するものではございません。
 ただ、現実に、やはり、今おっしゃったように、子供の福祉を最優先に、そして、できることをきちっとやっていくということをまずやらなければならないということを申し上げたところでございます。

⇒この時は「選択的共同親権」の傾向が強かったのか??今は、「原則共同親権」がよい。

 

○下村委員 大臣、先ほど離婚数が増加しているという話を申し上げましたが、近年、この十年間ぐらい、子供の環境というのは本当に悪くなってきているんですね。例えば、先ほどの面会交流の紛争なんかも激増していまして、一九九八年、調停が千七百件、審判が二百九十件だったんですが、二〇〇八年には調停が六千二百六十件、審判が千件、ふえております。親権を失えば子供との交流ができなくなるのではないかというおそれから、親権を奪い合う親同士の紛争が一方で今非常にふえているということ、それから、裁判所での手続は現行法ではやはり時間がかかるため、親子関係の断絶が長期にわたり、親子関係の修復が困難になっているという、ある意味では社会病理現象的な部分がどんどんふえてきているんですね。
 ですから、現行法で対応できなくなっている状況がますます、十倍ぐらいにふえている中、やはり何らかの法整備というのは、これは対応していくことによって、今現在困っている方々に対していかに手を差し伸べるか。
 私は、子供の福祉という視点から、残念ながら親は離婚になったとしても、我が国における子供がより幸せに生きていくための社会的な、社会の変化に対応した、タイムリーな法整備も考えていかなければ、我々立法の立場として、不作為の作為が問われるという時期に今来ているということをぜひ認識していただいて、法務省の中においても、この共同親権も含めて、それから、先ほどの親子面談交流については、ぜひほかの民法改正と切り分けて考えていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。
 ありがとうございます。

⇒「子どもの奪い合い」や「親子断絶」は社会病理現象。

⇒今や「立法不作為」は裁判所から指摘されている。

【第174回国会】衆議院法務委員会 第3号 平成22年3月9日

衆議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:馳浩 衆議院議員自民党、前共同養育議員連盟会長、現石川県知事)

     千葉景子 法務大臣

 

○馳委員 そこで、二つお尋ねしたいのは、これはいつまでにやりますか。やはりこれは、ゴールを決めておいて、逆算をして、今ほど申し上げたような、中央当局をどこにするか、関係法令をどうまとめるか、こういう作業をしていくスケジュール観というのは必要だと思うんですね。私は、今多分お答えしづらいと思いますので、基本的なこういう問題は、やはり一年ぐらいかけて検討した上で、来年の通常国会には関係法令も出し、また、ハーグ条約を締結するという姿勢を示していく、こういう政府としての大きな方針は必要だと思っております。
 加えて、今の問題に一歩私なりに踏み込むならば、これはやはり外務省が中央当局になった方がよいというふうな指摘を私はしたいと思います。西村さんも今おっしゃったように、子供の最善の利益ということを考えるべきなんですよ。これはまさしく、国際離婚ということになってくると、子供にとって親は親である、その子供の置かれている現状を、どう法的に、外交的に対応していくか。やはり交渉する前面に立つのは、これは外務省であるべきだと私は思います。と同時に、今から共同親権の話を指摘したいと思いますけれども、こういう国内法の問題については法務省が前面に立って責任を持ちますよ、こういう連携が必要だなという、これは私の私見でありますが、まず申し上げておきたいと思います。
 そこで、共同親権導入へ向けての問題を、また記事の方から指摘したいと思います。
  日本の加盟は、一部の国際結婚カップルだけにかかわる問題ではない。条約は、子と別居する親の面会権も保護しているため、日本人夫婦で離婚後、子と会えなくなった側や在日外国人らが波及効果に期待を寄せているのだ。
  加盟国の多くは、一九八〇年代以降、離婚後も両方の親が親権を持つ「共同親権」に移行し、子どもが両親の家を行き来するのが当たり前だ。しかし、日本は離婚後は片方の親が親権を持つ「単独親権」制で、調停などで母親が親権を取るケースが八割を超える「母子関係優先社会」。子との面接交渉の権利が民法に定められていないこともあり、離婚後、子どもと交流を断たれる父親は少なくない。
  「離婚後も子は両方の親と交流するべきだというのが世界の潮流。ハーグ条約に加盟しても、日本の裁判所がこれに反した判決を出せば、条約を順守していないことになる」。
こういう指摘がありまして、棚瀬孝雄中央大法科大学院の教授はこのように警告をしております。
 「別居親と子の面会交流を原則として認めるなど、国際水準に合った形に国内法を整備する必要がある」
この問題は、むしろ私よりも千葉大臣の方がよく御存じであります。私も、共同親権については認めていくべき時代にある、このように思っております。
 そこで、これはもし答えられる方がいたら、単独親権、現在の民法において、なぜ日本はこの単独親権を後生大事に守り続けているのか、私はこういうちょっと意地悪な指摘をさせていただきたいと思います。
 なぜならば、国際結婚の数も、恐らく昭和三十年代のころと比べて現代ではけた違いにふえているはずでありますし、当然国際離婚もふえているでありましょう。私がいただいた資料で、離婚をした家庭の子供、十四万件の中で、二十四万人の子供が親が離婚している。そして、単独親権である。原則、子供に責任はない。子供が悪いから離婚するんだという親はちょっといないでしょう、あり得ないですね。そうすると、子供からすれば、お父さんはお父さん、お母さんはお母さん。しかしながら、日本の現在の民法では単独親権を優先しているんですね。
 まず、もしおわかりになれば、なぜ我が国は単独親権でなければいけないのか、この民法の原理原則的な、立法過程において、なぜ単独親権じゃなければいけないのかということについて改めてお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

⇒棚瀬孝雄教授の言葉はその通り。

⇒単独親権制度が悪いと切り込んでいる。

 

○千葉国務大臣 なぜ単独親権でなければいけないのか、私も、ちょっと今、確定的な、あるいは正確なことを申し上げることはなかなかできませんけれども、多分これまで、離婚をしたさまざまなトラブルが逆に子供に悪影響を及ぼしてはいけないのではないか、そういう意味で、監護をする親を決めて、なるべく子供をそういうトラブルや、あるいはそういうものから防御しよう、こういうのが、どちらかといえば、これまで単独の親権を維持してきた背景にはあるのかなという気がいたしております。
 ちょっとその程度で。今御質問いただきましたので。

 

○馳委員 私は、この背景には、我が国の伝統的な家族観というものがあるんだろうなと思うんですよ。だから、記事にもありますとおり、母子関係優先社会。つまり、離婚した後、恐らく五割は超えているでしょう、ほとんどはお母さんが子供を引き取るわけですね。そして、この議論は、私は大臣もよく御存じだと思いますが、なぜ共同親権を求める方が多いのかという背景には、お母さんが、離婚をしたお父さんに会わせないわけですね。こうやって吹き込むわけですよ。お父さんは、離婚をしても養育費も払わない、DV、暴力、あるいは女性関係とか、とんでもないのよ、あんなお父さんみたいになっちゃいけませんなんて。なかなかやはり、協議離婚であったとしても調停離婚であったとしても、離婚後もお父さんと会えるようにしているようになっていたとしても、こうなるわけですよ。子供が会いたいと言わないから会わせません。この理由は随分多いんですね。
 したがって、私は最初に申し上げたように、子供が言っているからと、子供に責任を負わせるのではなくて、そもそも子の最善の利益を考えた上で共同親権という制度にし、そして、第三者機関、家庭裁判所が入るべきなのか、ADRのような組織がかかわるのがいいのか、これはまた議論があるところかもしれませんが、第三者機関的な部分で判定をし、そこにおいて会わせる機会を設ける、こういうふうにしていった方が子の最善の利益にかなうんじゃないかな、私はこういうふうに思っているんですよ。
 そこで、大臣、共同親権の必要性について認識をしますか。それとも、いやいや、単独親権のままでいいですよ、馳さん、そんなこと言わないで、共同親権を考える時期ではありませんよと思いますか。大臣の見解をお伺いしたいと思います。

⇒日本独自の伝統的家族観、片親疎外に言及。子どもに責任を押し付けるな。

 

○千葉国務大臣 御質問いただきましてありがとうございます。
 ちょっと先ほどの御質問にかかわって、母子中心のというお話がございました。ただ、私のつたないいろいろなこれまでの活動の経験からいいますと、一定のところまでは、父親が親権を持つというケースがやはり多かったのではないかというふうに思います。
 それは、やはり経済的に、父親の方が経済的な力がある、そちらが親権を持つ方が子供のためにいいのではないか、そういう時代といいますか経過もあったと思いますので、もともと母子ということを中心にこの親権というのが考えられてきたかどうかというのは、いささか、ちょっとどうなのかなということはございますけれども。
 それはさておいて、私は、子供の最善の利益ということを考えたときには、どちらの親も子供の親として接触をすることができる、そういうことがやはり大事だというふうに思っております。今も、でき得る限り面接交渉、こういう場をつくる、法律に明文はございませんけれども、離婚に当たってそういうことを取り決めるということも随分行われておりますし、これから、例えば面接交渉の権利をきちっと法文に盛り込んでそれを実行していくということも一つの大きな流れかというふうに思っております。
 それと、さらに共同親権という形まで進めていくか、ここはもうちょっと議論をしていかなければいけない、いろいろな影響もどうなっていくのかということも含めて議論をしていく必要があるかなというふうに思っておりますけれども、いずれにしても、やはり、コーディネートをする、そういう環境があり、そして親子がいろいろな形で面接交流を続けることができる、こういうことは、私は方向としては大賛成でございます。

⇒千葉法務大臣共同親権という概念には賛成している。

 

○馳委員 またちょっと意地悪な質問をすると、この共同親権ということを、民法を改正して位置づけた方がよいと思いますか。
 今現在でも、単独親権ということについても民法の中には多分書いてないはずですよね。書いてありましたか。単独親権と書いてありましたか。(千葉国務大臣「離婚の際に定めること」と呼ぶ)定めることとありますから、一方を定めることとありますから、書いてありますね。
 では、やはり、共同親権についての概念や、また文言を入れるとすれば、これは民法改正ということになりますから大きな議論が必要になる、私はこのようなことを今大臣がおっしゃったんだというふうに認識します。
 それの前におっしゃった、子との面接交渉に関するかかわりは、これは民法に盛り込むような話かな。そうすると、やはり民法の枠のちょっと外に置いて、これはむしろ議員立法になじむような案件なのではないかなと思っておりますし、私たち議員の中でも勉強会をしながら、先ほど申した棚瀬先生などから、こういう案はどうだろうかという提案も既にいただいております。
 大臣は、単独親権、これを、共同親権を盛り込むかどうか、民法にかかわる大きな改善点である、そういう認識を持っておられると思いますが、民法の中で共同親権を位置づけた方がよいのかという議論をすべきか、そして、面接交渉ができるようにということは民法の枠の外に置いて、これはそもそも、国民の代表である国会議員が意見を集約して議員立法としてやった方がいいのではないかと思っているのか、ちょっとこの辺の考え方をお聞きしたいと思います。

 

○千葉国務大臣 この法整備につきましては、これは当然、国会で、議員の皆さんの御議論の中で一定の方向をつくっていただくということも決して否定すべきものではないというふうに思っております。ただ、例えば共同親権というような形で民法を大きく改正するということになりますと、これは政府が責任を持ってそれに当たるということも大事だろうというふうに思いますので、これはさまざまな対応の仕方があるだろうというふうに思います。
 それから、面接交渉についても、これは法律の問題ではないというふうに、別な形で運用していくということも必要でありましょうし、あるいは、今明文はございませんけれども、離婚の際の、例えば財産を分与するとか、そういうものと同じように、面接交流についてきちっと離婚の際には取り決めなさいよ、こういうような条文を盛り込むということもあり得るのだろうというふうに思います。
 そういう意味では、これは形式とかそういうことに決してこだわることではなくて、まずは、子供の最善の権利、こういうものを保障するためにはいろいろな形で議論が進んでいくということが、そしてみんなが納得をしていくということが求められるのだろうというふうに私は思います。

 

○馳委員 私は、今大臣は重要な示唆を与えていただいたと思います。共同親権について、民法改正を視野に入れた議論が必要なのではないかということではないかと思います。それでよろしいですか。

 

○千葉国務大臣 もう少し正確に申しますと、共同親権ということをこれから方向を定めるのであるとすれば、やはり民法の大きな改といいましょうか、そういう形で行うことが筋ではないだろうか、こういうことを申し上げました。

共同親権民法の大きな改正。

 

○馳委員 今の段階ですから多くは語れないのかなと思いますが、とすれば、共同親権のあり方について、まさしく、法務省、政務三役のもとで研究会等を行った上で、法制審議会に諮問すべき、それにふさわしい問題点であると私は思っております。そのように理解してよろしいですか。

 

○千葉国務大臣 それは当然、議論をさせていただいて、やはり必要だなという方向になれば、法制審議会なり、また国会などにも皆さんの御意見をいただかなければいけないというふうに思っております。
 ただ、今御議論をさせていただいている民法の改正案という中でも、面接交渉については、離婚の原因、それを明確にすると同時に、面接交渉ということも法文上もう少しきちっと明確にしていこうということも検討させていただいておりますので、面接交渉、あるいはその先に共同親権という議論もまた進んでくるのかなというふうに思っておりますが、まだそこまでの段階に至っていないというのが実情でございます。

 

○馳委員 大変前向きな答弁をいただいたと思います。面接交渉、私は本当にこれは必要だと思っています。改めてこのことを強調して、では次の質問に移らせていただきます。

【第174回国会】衆議院予算委員会 第11号 平成22年2月15日

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:下村博文 衆議院議員自民党

     千葉景子 法務大臣

 

○下村委員 冒頭、千葉法務大臣から御紹介があったように、離婚後の子供たちが、親権を持っていない別れた親と会えない。これは特別な事情ではなくて、毎年約三分の一が離婚している、そのうち七割近くが子供がいる。ですから、トータルでいえば我が国において百万人とも言われますが、夫婦は別れたらただの他人ですけれども、親子は別れても血のつながりは永遠にあるわけですね。どうしても子供に会いたい、あるいは、子供も別れた親に会いたい。諸外国では八〇年代から、共同親権を認める、あるいは面会交流を法的にしているということの中で、残念ながら親子のきずなが失われてしまった、それを何らかの形で親子のきずなを復活あるいは強固にするために、少なくともまず面会交流、これはきちっとさせるべきではないか、こういうことで千葉法務大臣とも一緒に勉強会をさせていただいているわけです。
 ですから、千葉法務大臣も、少なくとも親子のきずなは大切にしたいと思っておられるからこそ、その勉強会に出られていると思うんですね。しかし、先ほど申し上げましたように、この夫婦別姓というのは子供に好ましくない影響を与える、これが六六・二%もある、これについてどう思いますか。

⇒親の離婚に直面する子どもは毎年100万人もいる。

 

○千葉国務大臣 ありがとうございます。
 親子の関係は、どのような形になろうとも、これは切れるものではありませんし、そして、親子のきずなが十分に深く結ばれるということは私も願うところでございます。
 この選択的夫婦別姓ということによって、私は、親子のきずなが切れる、あるいはそこにひびが入るということではないと思います。親子のきずなというのは、そういうことではなくして、やはり心をきちっとお互いに通わせているかどうか、こういうことにかかわるわけでございまして、必ずしも氏ということと親子のきずなというのが直結をするというふうには私は受けとめてはおりませんが、ただ、親子のきずなが大事だということについては、多分、下村先生と共通であろうというふうに私も思っております。

 

【第177回国会】参議院法務委員会 第10号 平成23年5月17日

参議院法務委員会



共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:今野東 参議院議員民主党

     江田五月 法務大臣

 

今野東君 外交上の関係もいろいろあることで難しいとは思いますが、特に当事者の方々については、その中央当局がどこになるんだろうかというのは非常に大きな関心でありますし、それによって、問題を今抱えている、実際に抱えている方々は影響されるというふうに関心を持って見ておりますので、できる限り早くにそこのところは決定をしていただくのがいいのかなと思っております。
 さて、我が国では民法の改正というのは大変重い課題で、夫婦別氏制についても足踏み状態が続いております。今回、親権の停止を新たに定めるわけですけれども、これは、子供の利益が害される場合は親権を制限しようということで、こうした改正は、児童虐待防止法の精神が市民社会基本法と言われる民法に及んできたというわけで非常に大きな一歩だと思います。
 さて、我が党民主党も掲げているチルドレンファースト、これを実現するには、大臣、このほかにどのような課題があるとお思いでしょうか。

⇒「チルドレンファースト」にはどのような課題があるのか?

 

国務大臣江田五月君) ちょっと委員の問題意識がどういうところにあるかというのを、今ごめんなさい、十分測りかねておるんですが、チルドレンファーストというのは、当然これは国際的な準則であり、国連においても子ども特別総会で採択された基準だと思っております。
 我が国の全ての制度の根幹に子の利益、チルドレンファーストというのを置いていかなきゃならぬし、国連では今後あらゆる政策の選択をする場合にまず何よりもチルドレンファーストということを考えなきゃならぬということになっているわけでありまして、本法律案については、衆議院の法務委員会の附帯決議で、更に親権制度の在り方全般について必要な検討を加える旨の指摘がなされました。
 これは、例えば協議離婚制度の在り方であるとか、あるいは親権の一部の制限制度の創設とか、懲戒権というものはいいのかとか、あるいは離婚後の共同親権、共同監護権といったものも考えるべきではないかとか、そのような課題がなお残っているものと理解をしております。

共同親権・共同監護も含まれると。

今野東君 大体そういう方向でいいんだろうと思いますけれども、子供の意向あるいは意見をどういうふうに反映させていくかということが大事なんだろうと思います。
 例えば、おっしゃったように離婚調停とか協議の際に当事者ばかりの意向で進められている現状に対して子供の意見表明権を盛り込むとか、あるいは子供代理人制度とかが考えられると思います。また、児童虐待を受けた子供のシェルターを全国化する。これ、公費で全国化するというようなことも考えていかなければならないのではないかと思います。
 ここについても少し議論をしたいところではありますが、ちょっと先を急ぎたいので、ここは、私がそういうことが必要なのではないかと言ったことにとどめておきたい、今日のところは、と思いますが。
 さて、今回の民法の改正では、親権を制限した場合には速やかに未成年後見人を付けるというのがポイントの一つであります。財産権のない未成年の後見人をどういうふうに付けるのか。複数とか法人に拡大することで、それでは後見人を見付けることはできるんでしょうか。
 責任の幅が非常に広い反面、経済的な対価がおぼつかないためになり手が不足しているということがあって、これをすることでどういうふうに解消するのかなというふうにもちょっと思っておりまして、その辺りを是非お伺いしたいと思います。

 

【第173回国会】 衆議院青少年問題に関する特別委員会 第2号 平成21年11月26日

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:馳浩 衆議院議員自民党、前共同養育議員連盟会長、現石川県知事)

     福島瑞穂 内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全担当・少子化対策担当・男女共同参画担当)

 

○馳委員 いやいや、それでいいんですよ、実は。
 つまり、家裁、裁判に係るので、親権を喪失するにはお互いの言い分を裁判所で判定しなきゃいけないので、物すごい時間と膨大な労力がかかるというのは、これは皆さんおわかりいただけたと思います。
 したがって、私がなぜこのことを言うかというと、実は、児童虐待防止法を改正するに当たっての議論の中で出てきたのは、医療ネグレクトの問題なんですよ。親の宗教的な考え方とか、あるいは親としてのいろいろな思い込みもあるんでしょう。お医者さんが必要な手術あるいは輸血、診療を行おうと思っても、なかなかそれを認めてもらえないということで、ではどうしたらよいのだろうかという、医療ネグレクトのこういった観点からも、親権についての一部のあるいは一時的な、はっきり言えば監護教育権、こういったところですかね、やはり制限をすることによって子どもを救い上げなければいけないんじゃないんだろうかという議論があったんですよ。
 実際に私たちも法改正を担当して、実質上、児童養護施設に入ったお子さんの面会の制限、通信の制限、つきまといや徘回をして子どもをおどかしたり不安な思いにさせちゃいけませんよというふうな規定を盛り込みましたし、そういう対応を今現場でもとっていると思いますが、そうなると、児童相談所の所長や職員さんに過大な負担をまたかけてしまうんですね。
 ひどい親は、どんどん押しかけてきて、何で会わせないんだ、おれの子どもだろう、おまえに何の権利があるんだと、こういうことが全国で起きているんですよ。そうしたときに、児童相談所の所長さんが、いや、一応法律にこうありますから面会は制限します、通信の制限はします、つきまといしないでください、徘回もしないでください、子どもが児童養護施設から学校に通ってまた戻ってくる間に姿を見せないでくださいと言うことは、知事の判断で、児童相談所の所長の権限ですることは一応できるようにはしたんですよ。
 しかしながら、この医療ネグレクトの問題などを考えると、余りにも現場の職員さん方に負担をかけ過ぎるんですよ。したがって、親権というものについて議論をより深めていかなければいけないんじゃないんですかという提言を、これは実は平成十六年の改正のときにも我々しましたけれども、法務省はてこでも動かなかった。
 私は歴史を話しているのであって、この実情は高井政務官もよく御存じだと思います。
 したがって、平成二十年の法改正のときにも随分と法務省とぎりぎり詰めた、最高裁判所と詰めたんだけれども、最初に申し上げた立入調査の実効性を高めるための臨検制度、これはつくることがようやくできたんだけれども、親権の制限についてはなかなかハードルを越えることが私たちもできなくて、では、これはまた持ち越して三年後の見直し条項にしましょうねと言って今現在。したがって、平成二十三年にはこの問題について一定の方向性を出しておかなければならない、こういう経緯があるんですよ。
 親権の問題が出ましたので、大臣、この委員会が始まる前に立ち話で申しわけありませんでしたが、ハーグ条約の問題であります。共同親権の問題であります。
 私が先ほど申し上げたように、我が国も、子どもの権利利益を最優先に考えるということを考えれば、離婚した後も共同親権を持つということについて、やはり一定の議論をした上での方向性を出すべきではないのかな。先進国の中においても、我が国の民法の親権の制度というのはちょっと議論が煮詰まっていない。
 また、私はあえて言いますよ。法務省は、実態調査もしないで、共同親権について必要ない、こういうふうな議論があると、私はそういう判断を持っているんですよ。これは、その根拠を申し上げれば、民主党の藤末議員が政府に対する質問主意書を出した中での法務省の答弁でも明確でありました。
 したがって、ここは一応議論の場でありますので、共同親権の問題、ハーグ条約を批准すべきかどうかの問題、また、離婚をした後の面接交渉権の問題等について、やはり、青少年の問題を所管する大臣という立場からも、別に越権行為という意味じゃなくて、大臣という立場からも、どういう議論の方向性をすることが望ましいのかということについての大臣の見解をお伺いしたいと思います。

⇒仰る通りです。さすがです。

 

○福島国務大臣 御質問ありがとうございます。
 日本は離婚後、単独親権、どちらかにしないと未成年の場合だめですから、実際、離婚事件を担当しますと、どちらが親権をとるか非常にバトルが起きたり、あるいは面接交渉もなかなかうまくいかない。子どもをとる、とられるみたいな関係になってしまいがちなことは、実際あるところです。
 スウェーデンを初め諸外国では、共同親権で成っていたり、面接交渉を、どこの国も悩んでいますが、結構ルール化したりというところもありますので、そういう外国の法律を参考にして日本でも検討をしたらどうかというふうに思っております。
 夫と妻であることはやめたけれども、子どもにとってパパでありママでありということは離婚後も変わらないわけですから、できればパパとママ、父親と母親が離婚後も子どもに関しては責任を持つという関係がもっともっと一般化するようにと思っております。
 ハーグ条約に関して御質問がありました。
 御存じ、これは、アメリカ国内においても国際的にも非常に議論になっているところです。それで、これは法務大臣外務大臣の間で、とりわけハーグ条約の批准については協議をするということの確認がされておりますので、政府内において積極的な協議がなされるようにと思っております。

⇒あれ?福島瑞穂氏、大臣の時は「共同親権」を検討すべきと答弁している。

 しかし、現在は反対している。なぜ?

 

【第162回国会】参議院法務委員会 第5号 平成17年3月18日

参議院法務委員会

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:浜四津敏子 参議院議員公明党

     南野知惠子 法務大臣

     寺田逸郎 法務省司法法制部長(後、第18代最高裁長官)

     ※再婚禁止期間訴訟(担当・作花弁護士)で最高裁違憲判決を出した

     

浜四津敏子君 是非とも早急に検討していただき、現実に前に一歩踏み出していただきたいと思います。
 それでは、残された時間であと一点質問させていただきます。それは、離婚後の面接交渉権と共同親権についてでございます。
 近年、未成年の子供がいる場合の離婚について、家裁で親権を争ったり、またそれがエスカレートして子供を連れ去るという事件が少なからず発生しておりますこの背景に、我が国は子供の親権を離婚後は父母のどちらか一方に限定して、もう一方を非親権者としているというところにあるのではないかと思っております。非親権者となった親の一方は、親権者の意向一つで親として子供に会うという当然のことさえ自由にならないというのが実態でございます。
 子供にとって、離れて暮らす親と会い、親が自分に愛情を持っていてくれるんだということを知ることほどうれしいことはないのではないかと思います。事実、親の面接交渉の調停申立て件数も急増して、二〇〇四年には三年前に比べて約六三%も増加という結果が出ております。しかし、実際は離婚のときに決めた面接交渉の約束を守られない例も多く、別れた子供に会っていない又はほとんど会っていないという親が相当数に上ると思われます。一方で、養育費の支払率は二割を切る、これは平成十五年度の数でございますけれども、二割を切る現状にありまして、子に会わせないのなら払わないという親も増えているように感じられます。
 こうした状況は子供の人権や福祉にとっても大きな問題でありまして、このまま放置することは許されないと思います。夫婦が離婚しても親子が断絶しない仕組みづくりが必要だと考えておりますが、法務大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

⇒20年もの間、全く状況が変わっていないことに驚く。でも、親子断絶や養育費不払いを解消するには、「共同親権」が必要だと考えている。その通りだ。

 

国務大臣(南野知惠子君) 御両親が離婚されたということは子供にとっては大きなショックであろうかなと思います。そういう意味では、子供が御両親の両方と面接し両方から愛情を受けることは、これは子供の福祉や健やかな成長のためには重要なことであり、ある意味では子供の権利かなというふうにも思うところでございますが、他方、離婚後の親子の面接につきましては、争いがある場合にこれを実現するには実際上いろいろな困難があると。
 これ、先生が十分御存じだと思いますけれども、これを解決するための施策については私としても今後勉強してまいりたいと思っておりますが、離婚後も共同親権を認めることについては、離婚に至った夫婦間のトラブルがそのまま離婚後に持ち越されて、子供の養育監護についての適切な合意をすることができずにかえって子供の福祉の観点から望ましくない事態が生ずることにならないかという観点から、慎重な検討が必要であろうと思います。
 これもテレビでございましたが、ストーリーがございました。離婚するときに、二十歳になったら、子供が二十歳になったら面会していいよと女の子に言って二人が別れたケースでございますが、二十歳になったからといってお父さんがせっかくプレゼントを持って娘に会いに行ったのに、娘は母親からお父さんのことをしっかりインプットされていましたので、会いたくないと言われたというテレビもございました。
 これも一例かと思いますが、いろいろなことを考えますと、離婚なさらない方がいいなと思っております。

法務大臣の答弁はなんかはっきりしない。

浜四津敏子君 子供が離婚後離れて暮らす親に会うということが本当はどれほど望み、どれほどうれしいことかというのを、先日、朝日新聞の「声」の欄に投稿がありました。この人は女子高校生でございましたけれども、一番悲しかったことは実の父に親権がなくなったことだと、父といつでも会えると思ったけれども現実は違ったと、なかなか会えないと、高校を卒業したら自分のお金で父に会いたいと、そしていろんな話をしたいと思うという趣旨の投稿が載っておりました。こういう声に法的にもっとこたえていく必要があるのではないかと思います。
 面接交渉権というのは、親の権利でもあり義務であると同時に、子供の権利ととらえるべきだと私は思います。親に会いたい、あるいは子供に会いたいというごく当たり前の望みを実現できるようにするべきだと。そのためには、まずは、法的に現在認められていない非親権者の面接交渉権、これは調停で合意すれば面接交渉権は実現できるんですけれども、法、法文上に明記されておりません。
 この面接交渉権を新たに民法に規定して認めるべきではないか。そして、子供に会いやすいと、こういう状況をつくるべきではないかと思います。もちろん、すべての親に必ず会わせろというのではなくて、例えば酒乱やあるいは大変暴力的な親とかというような場合には、もちろんそうしたケースは除外されるのは当然ですけれども、ともかくごく普通の親子関係という関係を是非後押ししていく、そういう制度にした方が私はいいだろうと思っております。
 現状は、子供の人権、福祉を重視した法整備が不十分だと言わざるを得ません。子どもの権利条約でも、九条三項に「児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する。」とあります。こうした条約の精神にも適合させるために日本でも離婚後の面接交渉権を法制化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

⇒親子交流は、親の権利・義務であり、子どもの権利である。

⇒「原則共同親権」、「例外単独親権」の考えが現れている。暴力や虐待がない普通の親子関係は後押ししていく制度にする。

 

○政府参考人(寺田逸郎君) 基本的にこの問題の重要性についての認識は私どもも委員と変わりないわけでございますが、ただ、この面接交渉権を法制化するかどうかということでございますけれども、現在の民法の七百六十六条の一項の子の監護についての事項に既にこの面接交渉権が含まれているというのが実務上確立した扱いでございまして、その子が面接交渉について非常に不利益を受けるあるいは不自由であるということが、この面接交渉権の条文が明文上ないということによるものではないというふうに私どもは理解いたしております。

 

浜四津敏子君 なかなか離婚後は会うのが難しいという状況は、離婚の、離婚後の未成年の子の親権者を一人に決めると、こういう現行民法に問題があるように思います。子供の奪い合いとか、あるいは子供に養育費を送らない無責任な親を生む一因になっているとも言えると思います。
 この問題につきまして、欧米諸国は、七〇年代後半から、別れた親が共同で親権の責任を果たすと、義務を果たすという議論をしてまいりまして、真剣な議論の末、共同親権の法改正が進んでおりまして、離婚後の共同親権を認めるという流れが欧米諸国では定着していると聞いております。また、子どもの権利条約十八条一項でも「児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有する」と、こう定められております。
 この子供の、離婚後の子供の親権問題について、共同親権を日本としても検討すべき時期が来ているのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

⇒おお、単独親権制度に問題があると切り込んでいる。欧米諸国の事例も紹介している。

 

国務大臣(南野知惠子君) 本当に先生の切実なるお気持ち、聞かせていただきました。
 先ほども申し上げましたけれども、子供の福祉の観点からどうなのかなと考えていかなければならない分も残されておりますので、慎重な検討をしてまいりたいというふうに思っております。

 

【第162回国会】衆議院予算委員会第三分科会 第1号 平成17年2月25日

共同親権」を取り上げた国会会議録を読んでみました。

 

登場人物:①大谷信盛 衆議院議員民主党

     ②寺田逸郎 法務省司法法制部長(後、第18代最高裁長官)

     ※再婚禁止期間訴訟(担当・作花弁護士)で最高裁違憲判決を出した

     ③南野知惠子 法務大臣

 

○大谷分科員 時間がないので、次にもう一つ提案させてもらいます。
 共同親権、要するに結婚中は共同親権ですよね、お父さんにもお母さんにも親権がありますよね。親が別れようとも、子供にとっては親はその二人なんですから、これはやはり親子のつながりがあるんですから、これは離婚しても共同親権ということで新しい概念をつくっていくようなことを提案されている有識者がおられて、私は、ああ、なるほどな、それであったら面接交渉権だの云々かんぬんだのというような、けんかではなくて、しっかりと、会う権利も含めて、育てる義務も含めて持てるというふうに思ったんですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
 すべて子供に、お父さん、お母さんから愛されているんだよということを達成するという観点から答えてくださいね。法の解釈論とか法律でこうなっていますという話をしているんじゃないですから。

⇒平成17年(2004年)の段階で、「共同親権」を提案する有識者もいた。

 

○寺田政府参考人 おっしゃる共同での親権、共同での監護というようなことは、アメリカでも認められている制度でございまして、決してあり得ない制度ではございません。また、委員御指摘のように、本来であれば離婚後も両親が子供をそれぞれ見守っているという姿勢を示すという意味でも、一つのあり得る考え方だろうというふうには思われます。
 ただ、日本の現状を考えますと、先ほど、いろいろなトラブルがなお絶えないわけでございますけれども、離婚後も両親が、まあ離婚というのも一つの人間関係だと割り切って、その中で子供を双方でうまく守ってやれるという土壌があるかどうかというのが一つの大きな決め手になるわけでございまして、それがないまま、ただ共同親権、共同監護ということになりますと、結局は取り合いということを離婚後も持ち越してしまうというようなことになりかねないわけでございます。
 したがいまして、簡単にその制度を導入するかどうかということは問題でございますが、しかし委員の御指摘のように、これはやはり共同のある種の枠組みの中で物事を解決していくという、考え方自体は非常に重要な考え方だと思いますので、私どもも、今後もこの研究は怠りなくさせていただきたいというふうに考えております。

⇒日本で、共同親権はあり得ない制度ではない。一つの人間関係と割り切り、父母双方で子どもたちを守っていく土壌があるかどうかが決めてになる。

最高裁違憲判決を出した裁判官だけあって、さすがの答弁だと思う。

 

○大谷分科員 この提案だけが、子供たちが親から、父母から愛されているということを知るための唯一の提案だとは私も思っていません。大事なことは、こんなものも含めて、何とか子供たちが離婚後親に会えないというようなことがないようなものを民法の中に織り込んでいく、そんな意識をまずしっかりと持っていただいた上で、御努力を続けていただきたい。
 この問題はずっとこれからも続けていこうというふうに思っていますので、どうぞ長いおつき合いをしていただきたいというふうに思っています。
 大臣、夫婦がいて、女性が不貞をされてそれが発覚して、それで離婚だ云々かんぬんだという話になりかけて、次の日の朝は、その女性が自分のおつき合いしている男性のところのアパートに子供を連れていく、その足で弁護士さんに駆け込む。子供は確保していますか、子供は確保しています、ではすぐやりましょうと。親権はこっちにつきます。だんなさん、男の人の方は何もしていないですよね。養育費を払っている。子供が会いたいと言ったら、これは今の日本の社会では会えないんですよ。絶対に異常だというふうに僕は思います。
 それは大人ですから、いろいろなことが人生にあるんだというふうに思います。しかしながら、子供は小学生低学年、これは、家庭裁判所で争っているうちに二年、三年、四年たっていくわけなんですよ。その間、やはり親がもめているということは見ますし、親権をとった方の親は、もしかしたら、あの人はもう他人なんだよ、あの人は君のお父さんやお母さんじゃないんだよというようなことで、捨てられたのかなと思ってしまうことも多々あるというふうに思うんですよね。
 こういうものを、大臣であるならば変えていくという、責務はもちろんですけれども、リーダーシップと意識さえあればできるので、ぜひとも最後に覚悟だけお聞かせいただきたいというふうに思っています。

⇒この実子誘拐問題は今も続いている。より深刻になっている。この頃、国会では、この現状が「異常だ」と言われていた。離婚ビジネスはこの頃すでにあったのか・・・。

 

○南野国務大臣 私個人の考え方といたしましては、やはり両親に、人と人とどうつき合っていくか、その中に、どう子供を産み、その子供とどうつき合っていくか、いわゆる家族のあり方ということについては、法に依存する前にもっと解決するものがあるのではないかなと思っております。
 お互い人間的にどうしていくのか、両親の仲たがいというのは、特にDV法の観点からするならば、それは子供にとって一つの虐待であるということにもつながってまいります。
 そういう意味では、両親は他人同士であるかもわかりませんが、一つ大きなそこの結合体が、きずなというものがあると思いますので、その心があれば子供は後ろ姿をちゃんと見てくれるのではないか、法律がこうなっているからおまえこっちに来いこっちに来いということの前に、私は、人間的な何かがあっていいのじゃないかなと。それは、その方が持っておられる仲間からのいろいろな助け合いもあるのかもわかりません、話し合いがあるのかもわかりません。そういうことをやっていくことが真の友情であり、夫婦のきずなを強めることであり、親子のきずなを強めることになるんじゃないかなと思っております。
 私も助産婦の仕事をしておりました、看護婦の仕事をしておりました。そういう中にはバラエティーに富んだ家族がございました。その中から、これからもまた、その課題についてはしっかり学んでいこうと思っております。

⇒心が痛む。

○大谷分科員 いや、もう学ばないでも十分人生経験豊かだし、知っていると思いますので、ぜひリーダーシップを発揮してくださいませ。